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薪工場 2019年度を終えて、2020年度にやるべきこと

こんにちは。sonrakuの半田です。

私は株式会社sonrakuが運営する西粟倉村薪工場のマネージャーを務めております。

日々日常の管理が苦手で関係各所にご迷惑をかけながらも、3年目の年度を迎えようとしています。

先日、年度末ということもあり、2019年度の振り返りと2020年度の収支計画を作成しました。

その工程で見えてきた課題改善ポイントについてお話してみたいと思います。


薪による熱供給事業について説明

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薪による熱供給事業がどのようなものかと、事業の特性について説明します。

当事業は以下のフローで行われます。

①燃料となる木質材を仕入れ
②それを燃料の形に変えて
③ボイラーに燃料供給をし燃焼させ熱をつくり
④提供した熱代金を回収する

主なオペレーションは、玉切り、薪割り、薪運搬、薪投入、ボイラー管理です。

ただ薪を作って熱供給をしているのではなく、ボイラーの管理まで行うのが特徴です。

普通の化石燃料ボイラーであれば、燃料規格が安定しているのでそこまでボイラーに気を使うこともないですが、バイオマスボイラーは生物を扱っているので、結構な頻度でボイラーが体調を壊します。

そんな時に、日々の点検をきっちり行っていれば事前に体調不良を感知でき、大きな故障を防ぐことができるので、ボイラー管理は非常に重要なオペレーションの一つです。

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事業としての特性は、毎年売上がほぼ固定されているという点です。

木質バイオマスボイラーは設置に何千万円というお金が必要なので、お家のガス給湯器を設置するみたいに手軽に拠点を広げることができません。

加えて、民間資金で設備投資しても回収の目処が立たないため、日本に導入されているバイオマス施設の多くが公共資金によって設置されています。

西粟倉村も例外ではなく、公が設置し民間が運営する公設民営のスタイルをとりながら導入を促進しています。

要するに、売上規模は自治体に依存しているということです。

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設置されたボイラーからの売上はその施設の熱使用量に比例します。

西粟倉村では、3つの温浴施設に設置されていますが、毎年そこまで大きな変動はありません。

現状の設備のままで売上をあげようと思うと、熱価格を上げてもらうしかありません。

しかしこれはお客様に直接ご負担がかかってしまうため、よほどでない限り実行できるものではないです。

このように、熱を販売するというインフラ事業で、売上がある程度固定されているというのが薪による熱供給事業の特性になります。


2019年度の成績

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薪による熱供給事業の特性を踏まえて、2019年度の成績を振り返ってみます。

売上と経費、利益構成を見るのにSTRACグラフが一番わかりやすかったのでつくってみました(会社の数字のため、値は削除しています)。

規模感は、売上が1200万円を想定いただければと思います。

2019年度は、少しばかりですが経常利益を残すことができました。

要するに黒字です(一安心)。

図1

STRACグラフを見ていただいてわかるように、経費の中で変動費が多くを占めています。

変動費とは、売上が上がれば上がるほどかかってくる経費でストーカー経費といわれたりします。

変動費の構成は、人件費、原木代、燃料代です。

固定費には、土地代や機械の修理代金、保険などが含まれます。


ここで一つ、このグラフの中に含まれていない費用があります。

それが私の人件費です。

オペレーターとして入った時の人件費は計上していますが、マネージャーとして働いている時の人件費は入れていません。

一つの事業としてみた時、当然マネージャー業務に対しても人件費を当て込まなければならず、それを考慮すると2019年度の経常利益では足りないことになり、持続的な事業とはいえない状況であることがわかります。


2020年度に向けて

2019年度の振り返りをして見えてきたのは、実質的に利益が足りていないということでした。

当事業を持続可能なものにするためには、経常利益をさらに確保することが求められます。

2020年度は、そことの勝負になります。

当事業の特性を整理すると、以下のようになります。

①売上がほぼ決まっている
②経費の中で変動費の割合が高い
③固定費を削ることは難しい

②の変動費ですが、人件費、原木代、燃料代の中で唯一改善できるのが人件費です。

ちなみに、人件費は変動費全体の中で50%以上を占めていて、改善効果が最も高い経費です。

人件費を改善と聞くと、給料を下げるかのように聞こえますが、そうではなくて生産性を改善するという意味になります。

むしろ、生産性を大きく向上させて工員さんの時給UPを計っていきます。


生産性UPに向けて、玉切り台をさらにバージョンUP

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2019年8月に玉切り台を設置して生産性UPを計りました。

玉切り台とは、今まで手作業でやっていた丸太切りの工程を、専用の台を使って効率化するためのものです。

イメージはこのような形です。

玉切り台

しかし、実は効果としてはイマイチといったところ。

なぜかというと、赤で囲った部分のローラーの部材が足りずに、その部分を木製テーブルで作成してしまったことにより、結局手で押し込まなければならなかったからです。

したがって、この部分のローラーを確保することによって作業効率をUPさせることに繋がります。

早速、先日ジモティーというアプリを使って、ネジ工場さんから中古ローラーを仕入れてきました。


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ちなみに、原木を上に乗せるのでアルミ製ではすぐにボコボコになってしまいます。

ローラーはスチール製が必須条件です。


それから、毎年4月から7月の間は大量に薪を割って冬分の備蓄をつくります。

本年度は約200ラック(=1㎥)分の薪をつくりましたが、それでも冬場に足りなくなり後半お客様にご迷惑をかけてしまいました。

今年の目標は300ラックの備蓄をつくり終えることです。

人員の確保と効率改善が急がれます。


儲けの見通しを立て工員の時給UP

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「先ほど人員の確保」と言いましたが、地方で運営しているとこれが一番難しいです。

その要因として、人口自体が少ないということもありますが、満足な時給を得られないために離れていってしまうことも大きいと思います。

したがって、本年度は大きく工員さんの時給UPを測ろうと考えています。

具体的には、10%UPを目指します。

また、儲けが残ってから増やすでは人員確保できないため、儲けの見通しが立った時点で増やす作戦をとります。

薪事業は外で身体を使う仕事で、大変なことを重々理解しています。

だからこそ、工員さんが働く環境を向上させることが一番のミッションだと考えています。

加えて、マネージャー業に対する報酬も補填できるようにしなければなりません。

2019年の振り返りでも記載した通り、現在マネージャーに対する報酬が払えていない状況なので、2020年は生産効率UPをはかり工員の時給UPと合わせて少しばかりのマネージャー報酬も支払える環境を整えたいと思います。

(・・・ちなみに、私は薪事業だけを担当しているわけではないため、その他の部署からしっかりお給料をいただいています。)

2020年度に実行することまとめ

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最後までお読みいただきありがとうございました。

最後に、改めて2020年度に行うことを整理したいと思います。

①生産効率の改善(4月)
②儲けの見通しを立てる(4月)
③人員の確保(5月)
④冬分の薪300ラックを備蓄する(8月)
⑤儲けの中からマネージャー業に対する報酬を確保

よし、頑張ります!

2020年度もよろしくお願いいたします!


ではまた。


文責:半田


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