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人吉球磨バイオガスセミナーレポート

7/19に、sonrakuが地方創生アドバイザーとして関わっている多良木町でバイオガスセミナーを開催しました。

多良木町は熊本県の南部に位置し、九州山地に囲まれた球磨(くま)盆地にある人口1万人弱の街です。熊本空港からよりも鹿児島空港からの方が近い。そんな立地です。気候条件が揃えば、雲海も発生し綺麗な景色が見られます。


最近は、全国定額で住み放題のサービスを展開するADDress

と連携したり、世界150ヶ国で2,000万以上のWi-Fiスポットを有するフォン・ジャパン

と連携したりと積極的に動いています。

そんな多良木町の課題の一つが畜産糞尿の処理です。
現在は、酪農家から家畜の糞尿を集め、町営の堆肥センターで堆肥を作り、販売をしていますが、その堆肥センターの老朽化や経済性向上に向けて、他の選択肢はないものかと私たちなりに考えていました。そこで、バイオガス発電という使い方もあるよということになり、そもそもバイオガスって何??ということで、バイオガスについて学ぼうと今回のセミナーを開催しました。

講師には帯広畜産大学発のベンチャーで、全国のバイオガスプラントの指導や支援を行うバイオマスリサーチの菊池さんにお越し頂きご講演頂きました。

講演内容のまとめ
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◎畜産糞尿の現状と課題について
・牛1頭当たり約65キロの糞尿が発生
・農家さんたちは、この糞尿の処理に多くの時間と労力を割く
・高額な処理費用(安くて1頭あたり約3.3万円/年、高い場合約10万円/年)
・糞尿の悪臭問題

◎一石五鳥のバイオガス事業
① エネルギー生産
② 地場産業の育成
③ 家畜糞尿処理の軽減
④ 有機肥料生産と地力増進
⑤ 自然と生活環境保全

これから一つ一つ見ていきたいと思います。
① エネルギー生産
集められた畜産糞尿を発酵槽の中で嫌気性発酵させ、メタンガスを発生させ発電します。
乳牛1頭から1日に発生するバイオガスの発生量は2m3になり、発電に利用すると牛3頭で1世帯分の電気使用量が賄える計算になります。
また、生成されたメタンガスをエンジンで燃焼させ発電させるのですが、この時、熱も発生します。この余剰熱を活用し、たとえば北海道では、チョウザメの養殖やマンゴー、さつまいもの栽培が行われています。

② 地場産業の育成
現在、FIT制度により発電した電力は39円/kWhで売電できます。
バイオガスにより発電した電力を売電する事で売電収入を得ることが出来、また、熱供給を行う事で地場産業の育成に繋がります。

③ 家畜糞尿処理の軽減
これまで家畜の糞尿処理に割かれていた多くの時間と労力を削減する事で、本業の牛のお世話に注力できる環境が整い、各農家さんの飼育する頭数が平均13%増加しています。
もちろん、今まで掛かっていた糞尿の処理費用(安くて1頭あたり約3.3万円/年、高い場合約10万円/年)も削減できます。

④ 有機肥料生産と地力増進
メタンガス発酵後の残りの液体は、貯留槽で貯留(40度になるので殺菌もされる)し、消化液となり、農地の肥料に活用されます。

今まで、生糞尿の散布を行なっていた農地に、この消化液を10年間散布することで水はけも良く養分が残った豊かな土壌になったという結果も出ています。

⑤ 自然と生活環境保全
今まで多くの農家を悩ませてきた糞尿から発生しる悪臭も約74%低減され、キレイな空気を取り戻し、生活環境を改善し、水系への悪影響も防止します。

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この他にも、バイオガス事業から様々な事業を展開することによるSDGs(持続可能な開発目標)の可能性に関しても教えて頂きました。

今まで、あまり知らなかったバイオガスの奥深さと可能性を知れたように思います。

今回は、「まずは知ってみよう」ということがミッションでしたので、ファーストステップという形でした。老朽化している堆肥センターが、次の対策をとる際の選択肢の1つとして、多良木町内で議論が始まることを期待しています!


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