三百五十二話 サタン様!?

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


ある日、道端で倒れていた宮園花子さん…。

天使側の人間たちに生命エネルギーを吸収されてしまったらしい。

私はその花子さんをすごい恥ずかしい方法で助けたのだ…。

なんとも、破天荒で破廉恥な方法だった…。

花子さんは半透明になって、消えてしまうのであった…。

私は悲しくて泣いてしまい、家に帰ったのだけれど。

なんと、花子さんは私の家にいたのである…。

花子さんの魂が消えてなくなる寸前に…。

女悪魔グレモリーが魔法で魂を固定したという。

魂全部を固定できなくて…。

花子さんのアストラル体だけを固定できた。

花子さんの魂はとりあえず消えなかったのだ…。


花子さんはそれからはグレモリーの家からは出れないらしく。

学校の方では行方不明という扱いになった…。

花子さんは神出鬼没で…。

私が着替えていると、突然出てきたり…。

お風呂に入ってる時にも、突然出てきたり…。

突然、出てくるので勘弁して欲しい物である…。

考えても取り止めもないので…。

あまり考えるのをやめた…。

とりあえず、家では花子さんがいてくれるので…。

私は本当に良かったと思うのであった…。


そんなことがあってから数日後…。

冬休みに入った私は、ゴロゴロして過ごした…。

今現在、私は女悪魔グレモリーの家にご厄介になっていて…。

グレモリーにお願いして、炬燵を買ってもらったのである。

炬燵って本当にいいよね…。

一度入ると二度と出れないぐらい、暖かくて気持ちいい…。

ダメだ…。炬燵は人をダメにする魔性の器具だ。

一緒に住んでいるギャルの鈴木藍さんは…。

この寒い中、すでにクラスメイトと遊びに行っている。

元気だなぁ…。前はちょっと嫉妬したけれど…。

藍さんが楽しそうなら、それでヨシ!と思う。

グレモリーと花子さんは炬燵に入って寛いでいる。

グレモリーは悪魔だし…。

花子さんは半透明のアストラル体だけれど…。

炬燵はやっぱりそういった人?たちも魅了する…。

人をダメにする大発明なのであった…。

炬燵考えた人、すごいよね…!?

もうここから出たくない…。


そんなことを思っていたのだけれど…。

「ご主人様、そろそろ大魔王様と契約しないと…」

グレモリーがそんなこと言うのである…。

そもそも私は異世界に転生して…。

異世界というか魔界に転生をしたらしい。

そこで、大魔王たちと契約して…。

召喚して使役する召喚士になったというのだ。

この私が大魔王を召喚する召喚士…!!

しかし、魔界から現生に帰還した私は…。

なんと記憶喪失になっていたのである…。

グレモリーも私の配下らしいのだが…。

駱駝に乗った悪魔だっけ…?

みたいな曖昧な記憶しか残っていない…。

そんな曖昧な記憶を頼りに…。

私は家出をして魔都東京に来たのである…。


「大魔王様たちもこの東京に集まってきています」

グレモリーの説明が続いている…。

私は冬休みはグダグダと過ごしたいので…。

正直、めんどくさいなぁと思って聞いている…。

魔界では会ったことのある大魔王様たち…。

でも、記憶にあまりないのでほぼ初対面…。

人見知りの私にとっては辛いのである…。

「まずはすごい大魔王のサタン様に会いましょう!」

私の内心など気にしないグレモリーは盛り上がっている。

いきなり大魔王サタン様に会うのか…!?

大魔王サタン様は誰しもが知っている魔王の中の魔王。

ちょっとスマホで調べてみた…。


敵対者あるいは悪魔とも呼ばれるサタン。

あらゆる義の敵でありまた神に従おうと努める人々の敵であるという。

サタンはかつては「神の前で権威を持っていた」天使で神の霊の息子。

大魔王サタンって神様の息子なの!?

なんでそれが大魔王の悪魔になったんだろう…?

サタンはルシファーと同一視されていて…。

神に対して反乱を起こし、その罪で魔界に堕とされたという。

私はルシフェル様にも会っていて…。

ルシフェル様はルシファーのことである…。

サタン様にも別に会っている…。

2人は別々に魔界で存在していたけれど…。

ルシフェル様はすごい優しい方で…。

サタン様はすごい怖い方だったような?

私はサタン様に会うのがどんどん憂鬱になってきたのである。

いいなと思ったら応援しよう!

そのさき@小説
よろしければサポートお願いします❗ たいへん励みになります。