三百七十二話 体育座り

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。



その後、月日はあっという間に経ち…。

冬休みも終わり、2月もあっという間に過ぎた。

2月のバレンタインデーには藍さんたちにチョコをあげた。

かなり喜んでくれたけれど…。

お小遣いがあまりなくて、大したチョコをあげれなかった。

うぅ、自分で自分が情けない…。

ホワイトデーはなにか返してくれるかな…?

私は今から期待してしまうのであった…。

藍さんからもらうならなんでもいいのだけれど…。

藍さんに買ってもらったお洋服代も返さないとだし。

グレモリーから借りた薬代も返さないとかなぁ…?

そんなわけで、私はバイトがしたいと思った…。

楽してお金がいっぱいもらえるバイト…。

そんなバイトがないかな…?


私はバイトをする決意をしたのである…。

3月に入り、気温も少し上がってきたことだし…。

外出もそんなに辛くない…はず…。

できる限り楽して、稼げるバイトないかなぁ…?

何もしなくても、お金がもらえるバイト…。

座ってるだけでお金もらえるようなバイト…。

そんなのないかなぁ?

あったら、すごいやりたい…。

そんな都合のいいバイトないか…?

前に喫茶店でバイトしたことあるけれど…。

もう接客業は懲り懲りなのであった。

なんにもしなくても稼げるバイトがしたい〜。


というわけで、一緒に住んでる…?

花子さんに聞いてみることにした…。

花子さんは訳あって、半透明の魂みたいな存在。

花子さんが学生だった頃に…。

バイトの斡旋をしていたという人物に聞いてくれた。

マダムKといういかにも怪しい人物…。

電話でマダムKに私を紹介してくれた…。

そして、一枚のメモ書きを渡してくれる…。

花子さんが紹介してくれたけれど…。

マダムKという人物を信じていいのでしょうか?


数日後、私はメモ書きを持って…。

放課後に着替えて秋葉原に向かった…。

メモ書きに書いてある住所が…。

秋葉原のとある雑居ビルだったのである。

地図も書いてあったので、迷わず行けた。

雑居ビルの3階にバイト先?があるらしい。

私はエレベーターで3階に向かう…。

3階に着いた途端、怪しい人物を発見した…。

真っ赤なチャイナドレスを着て…。

サングラスをした人物…。

羽飾りのついた扇子で自分を扇いでいる。

私はその人がマダムKだと思った…。

その直感は当たっていて…。

彼女はマダムKであった…。

3階のある部屋に案内される私…。


私はその場で合格と言われ…。

部屋の中に入った…。

部屋の中は薄暗くて…。

椅子に座ったお客様らしき人が数人いる。

部屋の中央にはガラスで区切ってある…。

部屋がまたあった…。

その中で、数人の少女たちが寛いでいる。

クッション等に座って、スマホを見たりしている…

どの少女もすごいミニスカートを穿いて…。

パンツが見えそうであった…。

というか見えてる子もいる…。

その様をお客様たちは固唾を飲んで見ている。

お客様も全員女性であった…。

これは少女を鑑賞するお店だな…。

私は瞬時に理解したのである…。


その部屋の奥にまた個室があって…。

マダムKにそこで着替えてくれと言われた。

私はその個室に入ると…。

そこにはいっぱい衣装がかけてあった。

高校の制服っぽいのから…。

ナース服、メイド服、巫女等…。

コスプレちっくな衣装がいっぱい!

どれでもいいから着替えてと言われる。

というか、今日から働くのか…。

と私はびっくりしてしまうのであった。

私は高校生なので、制服に着替えることにした。

どの服もクリーリングしてありそうで…。

綺麗である…。普通の紺ブレザーにした。

高校生の私がこんなお店で働いていいのかな?

着替えながら私はそんなことを考えた。


着替え終わったので…。

個室の外に出た…。

「すごいかわいいわ!いいわよ!」

マダムKはすごい喜んで…。

私の制服のスカートをめくった。

私はびっくりしてしまう。

「下着は自前?ある下着を着てもよかったのに」

マダムKはそこは残念そうに言う…。

あの部屋に下着もあるなんて気づかなかった。

緊張しているので、目に入らなかったのだろう。

「このお店は女の子好きな女性が…」

マダムKがなにやら説明を始める…。

「かわいい女の子を鑑賞するお店よ」

マダムKはなぜか人差し指を立てて説明する。

「貴方は普通に寛いでいればいいから…」

緊張しなくていいからねとも言ってくれた。

「間違ってもあからさまにHなポーズしちゃダメよ!」

マダムKは指で✖️を作ってそう言った…。

警察のお世話になってしまうという…。

私はわかりました…。と答えた。


「じゃぁ、あのガラス張りの中に入って」

マダムKはガラス張りの部屋の扉を教えてくれた。

ガラス張りの部屋は少女たちが寛いでいる。

「空いている場所に座っていいからね」

マダムKはそう言ってくれたけれど…。

私はかなり緊張して…。

扉をどうにか開けて、中に入った…。

中に入った瞬間、中の少女たちが…。

一斉にこちらを見る…。

私は失礼します…。と場違いなことを…。

言って、中に入っていった…。

少女たちは一瞬こちらを見たけれど…。

もう関心がないようにスマホや雑誌を見ている。

私は空いているスペースに腰を下ろした。

ピンクのクッションとかタオルケットが置いてある。

あと、ぬいぐるみとかもあった…。

私はクッションに腰を下ろした…。

体育座りみたいな座り方になったけれど…。

どうやっても、スカートが短すぎて…。

下着が見えてしまっているだろう。

私は恥ずかしさと緊張で…。

頭がグルグルしてしまうのであった。 

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そのさき@小説
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