三百五十三話 サタン様どこ?
「ごきげんよう」「神のご加護を…」
朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。
学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。
そう、ここは神田ミカエル女学院…。
中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。
天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?
その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。
ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。
制服は翻さないように、静かに歩き…。
清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。
この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。
否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。
紆余曲折、いろんなことがあったけれど…。
私の学校はやっと冬休みに入った…。
冬休みに入った私はだらけきっていた…。
冬は寒いので、炬燵が欲しいーと駄々をこねた…。
今、お世話になっているグレモリーにおねだりした。
すると、すぐにグレモリーはド○キに行って…。
炬燵を買って来てくれたのである…。
ありがとうグレモリーさん…!
早速私は炬燵に入ってみる…。
あったかくて、気持ちよくてダメになる〜…。
グレモリーも初めての炬燵に入ってみて…。
あまりの気持ちよさにだらけきっている…。
こないだ半透明のアストラル体になった花子さんも…。
炬燵にずっぽり入って、寛いでいる…。
炬燵は人間も悪魔もダメにする器具なのだ…。
そんなことを思っていたのだけれど…。
「ご主人様、そろそろ大魔王様と契約しないと…」
グレモリーがそんなこと言うのである…。
そもそも私は異世界に転生して…。
異世界というか魔界に転生をしたらしい。
そこで、大魔王たちと契約して…。
召喚して使役する召喚士になったというのだ。
この私が大魔王を召喚する召喚士…!!
しかし、魔界から現生に帰還した私は…。
なんと記憶喪失になっていたのである…。
グレモリーも私の配下らしいのだが…。
駱駝に乗った悪魔だっけ…?
みたいな曖昧な記憶しか残っていない…。
そんな曖昧な記憶を頼りに…。
私は家出をして魔都東京に来たのである…。
「まずはすごい大魔王のサタン様に会いましょう!」
私の内心など気にしないグレモリーは盛り上がっている。
いきなり大魔王サタン様に会うのか…!?
大魔王サタン様は誰しもが知っている魔王の中の魔王。
いきなり大魔王サタン様だと、難易度高くないかな??
誰でも名前は知ってるであろう大魔王サタン様…。
物語や映画、ゲームでもよく出てくるあのお方である。
ある意味、馴染み深いお名前でもあるだろう…。
でも、一応知らないこともあるかもしれないので…。
ちょっとスマホで調べてみた…。
敵対者あるいは悪魔とも呼ばれるサタン。
あらゆる義の敵でありまた神に従おうと努める人々の敵であるという。
サタンはかつては「神の前で権威を持っていた」天使で神の霊の息子。
大魔王サタンって神様の息子なの!?
なんでそれが大魔王の悪魔になったんだろう…?
サタンはルシファーと同一視されていて…。
神に対して反乱を起こし、その罪で魔界に堕とされたという。
私はルシフェル様にも会っていて…。
ルシフェル様はルシファーのことである…。
サタン様にも別に会っている…。
ルシフェル様はすごいお優しいお方で…。
サタン様は、すごい怖い方だったような?
なんとなくだけれど覚えているのだ…。
そして、次の日…。
外は冷たい風が吹いているというのに…。
グレモリーはすぐにサタン様に会いましょう!と言う。
私は寒いので、ずっと炬燵に入っていたい…。
そう伝えると、そんなのダメですと炬燵から出された。
鬼!悪魔!グレモリー!!
グレモリーはそもそも悪魔だったか…。
私は着替えて、コートを羽織った…。
サタン様がどこにいるかわからないので…。
グレモリーも一緒である…。
グレモリーもいつのまにか外出用の服に着替えていてる。
一緒に住んでいるギャルの藍さんはもう遊びに行っていて。
花子さんはお留守番である…。
私たちは、寒い中家を後にしたのであった…。
うぅ、外は寒い…。
寒いのはそんなに苦手じゃない私だけれど…。
今年の冬は、例年より寒くないかな…?
私は藍さんに買ってもらったコートの…。
フードを被った…。マント風のコートなので…。
フードを被ると、魔導士みたいな格好になる…。
ふぅ、少しは寒くなくなった…。
グレモリーはファー付きのコートを着ている…。
グレモリーは褐色の肌をした超美人なので…。
歩いているだけの姿も、絵になっている…。
いいなぁ、大人っぽくて…。
私はまだまだ子供っぽい容姿だった…。
ところで、サタン様はどこにいるのだろうか…?
疑問に思いながらも、歩き続ける私であった。