百十八話 あざとい摩耶
喫茶店『天使の扉」で働いて、疲れた私…。
翼さんに休憩していいと言われたので、ありがたく控え室に向かった。
そこには最初見てからずっといないと思っていた摩耶がいたのだ…。
摩耶は、椅子に腰掛けて、VRゲームをずっとしているのであった…。
摩耶は、翼さんに似たキャラを作成したVRゲームをしていた。
私はそのことに、カッとなって摩耶のVRグラスを奪い取ってしまったのであった…。
VR世界と現実世界の区別がつかない摩耶の身体は、痙攣している…。
私は流石にまずいと思い、摩耶を抱っこして、身体を摩ってあげた…。
その甲斐あって、摩耶の身体はだんだん現実世界に適合してくるのであった…。
摩耶は、最初私を翼さんと思って、甘えてきたが…。
そのうち、翼ママとか呼んできて、やばい方向になってきたのである…。
やっと、100パーセント現実世界に適合できた摩耶…。
私が翼さんじゃないと、わかって飛び起きて壁際まで逃げてしまった…。
そこまで逃げなくてもいいじゃないか…。と思う私…。
そして、なぜか、どちらが翼さんのことが好きかみたいな言い合いに発展してしまう…。
摩耶は翼さんのことを、姉であり母親であり恋人であると言ってたいたが…。
羨ましいと思う反面、なぜそんなことを言うのかと疑問を抱き始めた…。
そんなことを考えていると、控え室に翼さんが入ってきた…。
「なに騒いでいるの?お店の方まで声が聞こえちゃうわよ…?」
翼さんは、眉を顰め、少し怒っているようだ…。
その眉毛の顰め方も、怒っている表情も美しすぎます…。
そんな感じで、翼さんの顔に見惚れていると…。
「翼姉さん!今日入ったノアとかいうこの子が、ボクをいじめてくるっす!」
摩耶が突然あることないこと言い出した…。
というか、翼さんのことを、翼姉さんって呼ぶのか…。
「まぁ…!本当なの?ノアちゃん…?」
翼さんは一層眉を顰めて、私に言った。
「い、いじめてないですよ!ゲームのしすぎで具合悪い摩耶を介抱してたんですよ…!?」
私は疑惑を払拭するために、すぐ弁解した…。
「ノアちゃんは初めてあった相手をいじめるような子じゃないわね…」
翼さんはどうにか私を信じてくれたようである…。
「嘘じゃないっすよ?このノアって奴性悪女っすよ!?」
ずっと私の悪口を言う摩耶…。
摩耶はついには、翼さんに抱きついてしまう…。
「ボクのこと信じてほしいっす…」
摩耶はうるうる上目使いで、抱きつきながら翼さんの顔を見ている。
摩耶め…。あざとい上目使いで、翼さんを凝視して…。
悪口ばかり言って、翼さんに抱きついている摩耶に、嫉妬の炎を燃やしてしまう私…。