百十二話 勘違い
初めて喫茶店『天使の扉』で働いて、クタクタに疲れた私。
午前中ずっと接客してて、疲れてしまったのだ…。
優しい翼さんに、休憩してきたら?と言われた。
私はお言葉に甘えて、控え室で休憩を取ろうとしたのだが…。
控え室には、すでに摩耶がスマホVRゲームに興じていた。
私がずっと接客頑張っているのに、ここでサボっていたなんて…。
私は怒って、摩耶のVRグラスを取り去ろうとしたのだが…。
摩耶のやってるゲームに少し興味を惹かれた私は、摩耶のスマホを覗き込んだ。
摩耶のやってるゲームは、どうやらファンタジー要素のあるゲームで…。
超きわどいビキニアーマーを着た女の子が戦うゲームらしかった。
かなり大きい胸を、それなりに包み隠している胸部アーマー。
たわわなお肉が、こぼれ落ちそうになっている。
下腹部は、いけない部分を申し訳ない程度に隠している下着のようなアーマーだ。
お尻のお肉は9割ぐらい見えてしまっている。
女の子のキャラが動くたびに、たわわなお肉もぷるんぷるんと揺れるのであった。
摩耶の目元はVRグラスで隠れているが、多分ものすごい弛緩した表情でやっているのはわかった。
口元が緩んでいるし、よだれが一筋垂れていたからだ。
そして、女の子のキャラは懸命にスライムのようなモンスターと戦っている。
でも、女の子はスライムに負けそうで、身体中スライムまみれになっていた。
私は、摩耶と女の子の様子を見て、余計になんとも言えない感じになってしまうのだった。
VRゲームの女の子のキャラクターは、どうやらキャラメイクで作れるらしくて…。
翼さんの顔に似せて作ってるらしかった。
私はそのことも少し許せなくて、摩耶のVRグラスを取り去ることにした。
私は、ハァハァしてる摩耶のVRグラスを容赦なく取った。
摩耶は目を白黒させている。いきなり現実世界に引き戻されたわけだ。
脳も視界も現実世界に適合できないでいる。
身体も腰が弓なりになって、ぴくぴく蠕動している…。
口元からは、よだれが大量に出てきていた。
仕事サボっている罰で、私はVRグラスを取ったわけだけど…。
確か、強制的にVR世界から現実世界に戻されると、まずいと何かの本で読んだ。
私はやりすぎたかなと思い、摩耶の身体を揺すった。
「ごめん、摩耶…!やりすぎた…。正気に戻って…!」
私は懸命に、摩耶の身体を揺する。
揺すってもダメなのかと思い、摩ってあげた…。
「翼さぁん…!好きですぅ…」
摩耶は突然そういうと、私に抱きついてきた。
現実世界とVR世界の区別がつかないので、私を翼さんと間違えているようだ…。
摩耶も翼さんが好きなのか?
私はその事実に、愕然とした…。