百十五話 怯える摩耶
お仕事サボって、VRゲームをしていた摩耶。
その摩耶のVRグラスを取ってしまった私…。
いきなりVR世界から現実世界に引き戻された摩耶…。
摩耶は目を白黒させて、身体が痙攣してしまった…。
やばいと思った私は、摩耶の身体を抱き上げ摩ってあげるのだった…。
そうこうしているうちに、摩耶の身体の痙攣は少し落ち着いた。
摩耶の瞳も焦点が合ってきた…。
でも、まだ現実世界と区別できない摩耶は、私を翼さんと勘違いして甘えてくるのである…。
翼さんのことをママと呼ぶ摩耶…。
摩耶はそんなにママが恋しいのか…?
私より年下のように見える摩耶…。
まだまだ子供なのかな…?
摩耶は、私を翼さんだと思い、胸を触ってミルクを飲もうとした…。
翼さんのたわわなお胸なら、ミルクが出るかもしれないけれど…。
私のちっぱいだと、100パーセントミルク出ないよね…?
ごめんね、摩耶…。
私は心の中で、摩耶に謝るのだった…。
摩耶は、私の小さな胸に一生懸命手を伸ばそうとしている…。
でも、摩耶の脳内では翼さんのたわわな胸を触っているつもりなんだろう…。
一向に私の胸に手を伸ばせないでいた…。
つまり、摩耶の手はずっと虚空を掴んでいるのだった…。
摩耶の表情に?が、いっぱい浮かんでいる…。
ついに摩耶の瞳も身体も、現実世界を認識できてきたのだった。
「翼さん…?翼ママの大きな胸のミルク…?」
摩耶は、しきりに虚空をモミモミして、?マークを頭の上に浮かべている…。
「こ、これは翼さんの胸じゃない…???」
ついに気付いてしまった摩耶…。
そうですこれは私のちっぱいです…!
悪かったわね!翼さんみたいに大きくなくて…!?
ついに100パーセント正気に戻った摩耶…。
私のちっぱいをじっと見つめて、そして、私の顔をじっと見つめている…。
その様子を、私は何もできずに見つめているしかなかった…。
「うわぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!何でノアがボクを抱っこしてるっすか!?」
摩耶はビックリして、私の膝の上から飛び退いた。
何か猫がビックリして、ジャンプしてるみたいな速さだ。
摩耶は、壁際まで逃げて、ビクビクしてこちらを見ている…。
何もそこまでして、怯えなくても…。
「VRゲームしてた前後不覚なボクに何をしたっすか!?」
摩耶は何かすごい勘違いをしてるらしかった…。
「な、何もしてないよ!摩耶が調子悪そうだったから、介抱してあげてたんだよ…?」
私は、即座に弁解した。
「本当っすか?ボクの魅力に負けて、道を踏み外したんじゃないっすか?」
確かに摩耶は、年下でかわいいかもしれないけど、大人の女性が好きな私にそれはなかった…。
「絶対にそれはない…!私は翼さんが好きだからっ!!」
私は声高に叫んでしまうのであった…。