見つかりませんように20


お姉ちゃん覚えてる?

まだお父さんお母さんが離婚する前で
たぶん6才か7才くらいの頃にさ

お母さんとお姉ちゃんと私で家を出て
それはもう帰らない雰囲気の外出で

いつものバスに乗って
降りたことのないバス停で降りて
一軒家が並ぶ住宅街を歩いてさ
お母さんが一軒の家のピンポンを押したんだよ

それで出て来た家人に
明日までこの子達を預かってくれませんか?
って言ったの

もちろん知らない人よ
ああ私達この家に預けられるのかって

いえいえうちは無理です
って言われてさ

その時のその家の街灯がさ
その辺りの家の街灯がさ
ぼんやりとオレンジ色に光ってて

この前オレンジ色の街灯が並んでるのを見て
あの光景がフラッシュバックしてさ

あれを知ってるのは私の他にお姉ちゃんだけだから
知っていてくれる人がこの世にいるってどれだけ大事なことかと思うから

どうか良くなってね

子供の頃のことげろげろと二人で吐き出して、泣いたり笑ったりしよう

だから良くなってね




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