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幸せになる方法 何が幸せ?

 私は幸せ?毎日忙しくしているけれど幸せ。
 私は幸せ?悩みがいっぱいだけど,幸せ。
 終の住処と決めた家が震災で,あちこち壊れ,憔悴してるけど,幸せ。
 90歳を過ぎた母が入院中。毎週往復2時間かけてお見舞いに行くけれど,幸せ。
 ご飯の用意もしないで,ひたすら,お悩み解決に向け、考えてばかりの毎日だけど,幸せ。
 そんなおしゃれもせず,若い時に買った服を今だに着ていて,娘にいつまで着ているん。もう60やよ。年相応の格好をしたらと注意されているけど,幸せ。
 息子に生き方を注意されて,キレて怒っているダメダメ母さんだけど,幸せ。 
 リフォーム業者に連絡不足と腹を立て,以前した太陽光発電工事のせいで雨漏りの被害になったと大きな声をあげ,怒りを露わにしては自己嫌悪の毎日だけど,幸せ。
 こんなはずじゃなかったと思うことばかりだけど,幸せ。
 ダメダメばかりの私だけど,幸せ。
 なぜ?


 自問自答すると,少しずつ答えが見えてきた。

 一つ目,
 私は、両親がそろっている中で育ててもらえた。

 その昔、父が言った。母が亡くなり,片親の寂しさがわかるから、だから,何があっても,離婚はしないと。
 母は姉さん女房。感情的でいつも怒っているイメージ。だから,私は母より子煩悩な父の方が好きだった。それは,父の悪い所が見えなかったから。短気でカッとなると,ちゃぶ台をひっくり返す星一徹なような父だけど,父のことは大好きだった。なぜなら,母が父への不満はあっても私達に悪口を言うことがなかったから。
「いいお父ちゃんや。」「かたいお父ちゃんや。」そう私達に言った。働き者で,家族思いで,頭も低い。そんな父のいい面をたくさん見つけてこられたのは,母のおかげ。
 そんな父は,60歳前半で亡くなった。初老の頃患った糖尿病が原因。
 足が壊死してきて,親指を切断。
 目が悪くなって,手術するも眼圧が高くなって,義眼に。
 腎臓も悪くなり,透析生活に。
 平均4年と言われた4年目に心不全で大好きな車の中で意識不明。そのまま帰らぬ人に。
 息子は,亡くなった父の布団に入った。私も一緒に入った。幸せな父との最後だった。
 「お父ちゃん」  
 今も私の傍で見守ってくれている。

 そんな父が亡くなる一ヶ月前。
 妹家族と初めて企画した東京ディズニーへの旅行。ワクワクしながら計画していた私達に「お母ちゃんも連れて行ってやってくれ。」と父の一言。仕事柄,家族旅行もできなかった私達。思いもよらぬ申し出にオッケーし,交通手段と寝るところも手配。
 いよいよ家族旅行も迫り,残って仕事を前倒しで片付け,帰宅。娘のもとに,父から1日遅れの誕生日祝いの電話があったことを知る。ああ,残念。私も話したかったなあと床につく。
 翌日,仕事に向かう私のもとに,妹からの電話。ただならぬ様子に合点がいかず,仕事場へ。すぐに帰るよう言われ,家には戻らすすぐさま実家へ。
 父は,蘇生を願い長時間手を尽くしてくださったが,私達のもとに帰ることはなかった。
 そして,葬儀の翌々日か,父の遺言となった母を連れての家族旅行。このことを悟ってのことだったのか?父の遺影を胸に抱いた母と一緒にパレードを見た。

 互いを思い合う夫婦のもとで家族ができた私達は幸せであったと思う。それは,今も感じる大きな幸せである。
 父が亡くなってから20何以上が経ち,かろうじて自分の名前を言える母。父の名前を尋ねると,首を傾げた。先月までは言えたのに。そんな母は,何を思ってこの20年間を生きてきたのだろう。いつも,家族の写真を整理していた。私達家族や妹家族の写真はもとより,父の兄弟達の写真まで集めて。そして,眺めていた。
 施設に入居が決まった日,うちを守らんでごめんと言った母。
 LINE電話で,「私も頑張るから,あんたも頑張られ。」と。一人で頑張ってきた,そして今も頑張り続けている母に涙が出た。跡取りの私が嫁ぎ,妹も結婚して家を出た。そんな中,父が亡くなった後も家を守り,家族を守り続けてくれた母。ありがとう。
 病院で誰かわかるかを尋ねた際,口にした母の言葉。
「わかるわいね。私の○○(私の名前)やもん。」
この歳になって,初めて聞く言葉。この上ない幸せを感じた。この先,忘れることはないであろう私の宝物である。本当にありがとう。
 お父ちゃんとお母ちゃんの子に生まれて,私は幸せであった。心からそう思える。

 無償の愛を私はもらった。返せない愛情を今息子娘に送っている。人を愛おしいと思える気持ちが私にあるのを感じる。それが私なのだと思える。

 ダメダメで日々自己嫌悪の私だが,人を思う気持ちがたくさんあることが,私の幸せである。
 それは,間違いなく,父と母からもらった愛である。

 もらう愛,与える愛,愛を感じられるから,私は幸せを感じられるのだと。そう思う。

 二つ目は、
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