ルーティン
毎日満員電車に乗る。
小競り合いになる日もあれば脳貧血で苦しい日もある。
電車待ちで列に並んでいるのに弾き出されて並び直すことも、後ろから押されて倒れそうにもなる。
会社に着いて仕事をする。
関数を調べてはセルと闘って、いかに効率よく働けるかを考える。
定時に上がる。
地震が来たら天から破片が降ってきそうなガラス張りのビルの高層階からエレベーターで降りてセキュリティカードをかざしてビルから出る。たまに間違えてSuicaをかざしてつっかえる。100歩くらい歩いて地下鉄の改札を通る。ここでもたまに間違えてセキュリティカードをかざしてつっかえる。
家に帰って夜ご飯を作る。
一緒に食べるひとがいるから毎日作っている。一緒に寝食を営むひとは、わたしがお酒をたくさん飲んでよっぱらうことをよく思っていない。だからその人が帰ってくる前にウイスキーとかワインを飲んで、ご飯を食べるときに一杯目の顔をしながら缶ビールを飲む。毎日こんなしょうもない嘘をついて生活している。
睡眠中に夢をよく見る。
夢で私はいつも同じ街にいる。空が灰色によどんでいて、古びた団地だらけの街。団地と団地の隙間を埋めるようにある鬱蒼とした木にはたくさんのからすがとまっていて、黒い瞳でこっちを見ている。夢の中で何度もその街に行ったことがあるはずなのに私は毎回、迷い込んでしまう。