社内向け「透明ガイド」を公開します
こんにちは。Ubieのsonopyです。Ubieの透明性維持・向上の取り組みの一貫で「透明ガイド」というものを作りましたので、それについて紹介してみたいと思います。前半は取り組みについての説明、後半は「透明ガイド」をそのまま転載しています。
Ubieと透明性
Ubieでは創業以来、透明性の高さを重視して組織運営してきました。事業・経営に関する各種情報だけでなく、採用情報や口座の残高なども公開しています。おかげで、これまでUbieのメンバーは透明性の高さに自信を持っており、会社のアピールポイントの一つとしてきました。
しかし会社が30名を超えてきたあたりで社内に流通する情報量が爆増し、本当に欲しい情報を各々が取得することが難しくなってきました。単に「チャンネルやファイル権限など何でもオープンだから見ていいよ〜」ということだけでは最高の透明性を担保できなくなってきたのです。(と言ってももちろんSlackでDMが使われるようなことはないですし、情報も引き続き開示されている状態ですが、情報量が多いため処理しきれず、結果的に今までよりも情報を得にくくなったということです)
そこで本格的に透明性向上の活動をはじめました。現在は「透明大臣」がいたり、「透明委員会」という有志のチームが透明性を高める活動をしたりしています。(メンバーは流動的に入れ替わっていて、4〜6名程度が常時活動しています。エンジニアとBizDevが半々くらいの比率です)
▼例えば今月はこんな活動をしました(進行中のものも含む)
・定点観測のための定期的なアンケート調査
・情報共有ツールをいい感じに使うためのChrome拡張機能作成
・アクセシビリティ向上のためのファイル構造の整理
・Notionの目次や内部構造の見直し
・その日行われる会議一覧の自動配信
・その日行われる会議の議事録ファイル自動生成
社内向け「透明ガイド」をそのまま転載します
さて、「透明委員会」の活動の一貫で、Ubieにおける透明性の定義をまとめた「透明ガイド」というものを作成しましたので、その全文を掲載します。透明ガイドとは何かというと、「俺たちの考えた最強の透明性」を言語化したものです。
透明性という考え方は比較的一般的だと思います。それでも定義が必要と考えた背景としては、社内での透明性に関するアンケートで「そもそも理想の透明性のイメージが人によって異なる」ということ、それ故「誰もが透明性を大切にしたいと考えているのに行動がブレてしまう」ためです。
▼ 社内アンケート「どういう状態が透明性が保たれている状態だと思いますか?」への回答の一部
「オープンなことは重要だが、それだけでは充分ではない」ということが、この回答からも分かります。
ではどんな要素があれば充分か、ということを考えていく中で、透明ガイドの作成に至りました。検討の過程では、海外の文献や書籍、他のスタートアップの情報なども色々と参考にしましたが、何よりも「Ubieらしく成長していくために」という観点を大切にしたかったので、一番参考にしたのはメンバーの声とビジョン・ミッション・バリューです。
いちスタートアップの社内資料なのでさほどニーズはないかもしれないのですが、Ubieに入社を検討してくれる方がこれを読んでUbieの価値観の一端を知ってもらえるといいなーと思いまして、noteに置いてみようと考え至りました。ほかにも、透明性を大切にしている企業の方にも読んでいただいて、もし参考になるところがあればとても嬉しいです。
※ 社内向けドキュメントの転載なので、一部社外の方には伝わりにくい箇所があります
※ 原文はマークダウンで箇条書きなので、noteの形式だと少し読みにくいかもしれませんmm
※ これは「定義編」です。この定義を実現するための「取り組みガイド」も存在するのですが、絶賛更新中であることと長編になってしまうことから、ここでは省略します
---------- 以下透明ガイドコピペです ---------
はじめに
透明ガイドの目的
「透明性」はUbieが最も大切にする価値観の一つです
これまでUbieは完全なる無色透明を目指してきましたが、組織規模拡大に伴い、無色透明にする難易度が少し上がってきています
ここではUbieにおける真の透明性を定義し実践していくことで、今後もメンバー皆が「Ubieは極めて透明性が高い」と断言出来る状態を目指していきます
透明ガイドとはなにか
・Ubieの目指す透明性を「定義」することで共通認識をつくり、メンバーが困った時にガイドできるような内容を目指します
・透明ガイドは現在Ver1.2であり、(例えばスクラムガイドがそうであるように)継続的な更新を前提としています
・メンバーは誰でも透明ガイドに修正依頼ができます
透明性低下の兆候(そもそもの課題感)
2019年後半〜2020年頭(30名〜50名規模)にかけて、例えば以下のような事象が実際に発生しました。こういった事案を解決していきたい、というのが発端で透明化プロジェクトが発足しました
・Slackの情報量が多すぎて追いきれない。結果として重要な情報にアクセス出来ていない
・透明性についての認識にズレがあったために公開情報にばらつきがあり、不安を感じるメンバーがいた
・興味のあるテーマなので議論の段階で参加したかったが、気づいたら結論がシェアされていた
・(例えば資金調達の進捗など)重要な意思決定プロセスにどこまで参加できるのか明瞭でなかった
・外出やリモートワークの多いメンバーが情報をキャッチアップしにくく、心理的安全性や当事者意識を下げる一因になりそう(例:病院BizDevチームが全国を駆け回って常に不在だった時期)
・意思決定の記録などがドキュメントとして残っていないので、新しく入社したメンバーが背景をキャッチアップするのが難しい。過去の情報が探しにくい
透明性を高める目的
以下3つの実現により、革新を生みやすい健全な組織(Giant Leap、Launch&Launch、Stay Healthyしやすい組織)づくりをしていきます
1. 業務効率を上げる
情報へのアクセシビリティ向上によって、業務効率を向上させていきます
透明性を高くすることで、必要な人が必要な時に必要な情報にすぐに当たることができます。例えば別のチームで最近リサーチしたデータに簡単にアクセスできたり、最近入社したメンバーでも必要な情報を少しの労力で取得できるということで、業務効率向上させられます
2. 意思決定の精度を高める
流通する情報の量と質を高めることで、意思決定の精度向上に役立てていきます
Ubieはメンバーそれぞれが意思決定する組織です。社内の透明性を高めることで各々の意思決定精度を高め、ひいては事業拡大スピードを加速させていきます
3. 政治を排除する
透明性を高めることで、政治的行動を最小化します
Ubieはオープン・率直なやり取りによって課題解決できる組織です。政治的活動に時間や心身を浪費する必要はありません。あらゆる情報が誰にでも見えるところでやり取りされるので、政治活動が生まれる可能性について心配する必要もありません
透明性の定義
透明性が高い状態とは
Ubieにおいて透明性が高い状態とは、情報が然るべき方法で「公開・整理・配信」されている状態 と定義します
情報が開かれていること=「公開」は最も優先すべき重要な観点ですが、一方で、ただ単に「情報が開かれている」というだけでは上述の透明性向上の目的を果たせません。例えば、「他人が読んでも分からない」状態の情報の流通量が増えることは、業務効率向上という目的に背反します
ただ情報が開かれていれば良いのではなく、適切に整理され、必要な人に配信されてこそ透明性が高いといえる、とUbieでは考えています
①【公開】あらゆる情報が開かれており、求めれば無条件に得られる状態である
・誰でもあらゆる情報にアクセスできることはUbieのアイデンティティとも言える重要な価値観で、他の観点に優先される。「必要なタイミングで配信するので、公開はしていなくてもよい」という判断はNG
・徹底的にオープンな状態を作る
- 会議:社内の全ての会議が見学可能。但しどの程度発言するか、どの程度意思決定に参加するかどうかは別問題なのでここでは定義しない
- コミュニケーションツール:Slackなど全てのオンラインコミュニケーションが閲覧可能
- ドキュメント類:GoogleDriveやNotion、DocBaseなど全てのドキュメントが閲覧可能
- 突発的議論:立ち話や飲み会など会議ではない場でも、重要な議論が成された場合はメモをシェアする
・ローコストで公開状態を保てるよう会議やツールの運用ポリシーを設計し、メンバーはそれに準拠する
- 「情報は公開された場所で流通され、記録は公開された場所に置くこと」が大前提。わざわざ個々人が公開の設定をせずとも自然と公開されている状態にする
- 例:Slackは原則オープンチャンネル、GoogleDriveは共有フォルダにファイル保存、会議はカレンダーのmeetで実施しているので個別のURLなど知らなくても誰でもJump inできる、など
・公開対象外とする情報
- 個人の給与/SOの具体的内容
- 本人の採用面接評価の一次情報
- サプライズで誰かにハッピーをもたらす企画をしている時 例)Value Awardの投票
- これらについて、詳細は「透明取り組みガイド」に追ってまとめていく
②【整理】情報が可読性・検索性・網羅性の高い状態で保存され、取得しやすい状態である
・受信者側の情報取得を容易にするため、発信者側の責任で情報を整理する。相手に読むためのコストをかけさせないおもてなしが大切。情報を受け取った人が、少ない時間で、少ない知的労力で把握できるよう工夫する
・可読性や検索性が低い状態の情報は、共有されていたとしても透明性を高めているとは言えない。むしろ不透明化を助長する
・適切に構造化またはタグ付けされて整理されていることが重要
- 例)
- フォルダが整理されているので、保存場所を探す必要がない
- タイトルだけ見て何のDocumentか分かる
- Documentの概要や結論が最初に書いてある
- 事実と意見が分けて書いてある
③【配信】必要な情報が必要な人に届く仕組みができている
・情報が適切な人に容易に届くようにする。所属チームや職種、個人によって必要な情報は異なるので、個々人に最適化された情報が配信される状態が理想
- 個人が影響を受ける度合いに応じて、タイミング・粒度が最適化されている状態
- イメージ(詳細は「取り組みガイド」で別途定義)
- 所属チームの情報は、検討開始段階で配信される
- 隣のチームの情報は、意思決定前に配信される
- 遠めのチームの情報は、決定事項サマリが配信される
- 全社の組織に関わる情報は、検討開始段階で配信される
・用途に応じて最適なツールを最適なタイミングで選択する
- ストック情報はNotion、フロー情報はSlackとDocBase
透明性と関わる重要な観点
透明ガイドの対象範囲について
透明ガイドは、今いるメンバーだけではなく将来入社するメンバーも対象にしています。「いつか入ってくる誰か」がキャッチアップに苦労しないということも重要な観点です
一方、DevチームとScaleチームでは組織運営方針が根本的に異なるので、Slcaleチームとの間では透明ガイドは適応されません(Scaleチーム内での方針もここでは定義しません)。以上を踏まえ、透明ガイドの対象範囲は以下の通りです
・対象範囲
- Devチームメンバー
- DevチームにひもづくOpsメンバー
- 将来入社してくるメンバー
・対象外
- Scaleチームメンバー
- ScaleチームにひもづくOpsメンバー
- 社外のステークホルダー
※参考
https://note.com/ubie/n/n192cef30c5eb
透明性維持とコストについて
そもそも透明性向上の目的の一つは業務効率化であり、透明性維持のためにコストをかけすぎてROIが見合わなくなるようなことは本末転倒です。透明性向上のROIを最大化する方法を常に検討していきます
・一定のコストをかけて透明性を維持する行動が全員に期待される
- Documentを残すことなどは短期的にはコストを払うが、適切に実行されていればReturnも大きいのでROIはよい(ことが多い)
・ROI最大化のためにはInvestを最小化する仕組みと個々人のスキルが必要
- 仕組み
- スキルを担保、補助出来る(例:メモのテンプレート、配信タイミングを一覽化したフローチャート)
- 運用が簡単に出来る(例:会議室が常に中継可能、デフォルトの公開権限)
- スキル:
- メッセージング・文章力
- 意見とFactを分ける
- わかりやすいサマリやNextを記載 など
- 判断力
- どのタイミングでどの情報をどの手段で発信するか など
---------- ここまで透明ガイドコピペでした ---------
透明ガイド(定義編)は以上です。
この透明ガイドの中では、特に「公開・整理・配信」という3つの方針を定めたことで、理想の透明性に関する認識を揃えやすくなるのが良かった点かなぁと思っています。例えば、「情報が公開されているだけでは透明性が高いとは言えない」という共通認識を作りやすくなりました。
自分個人としても、公開(全ての会議は見学可)の原則に則り、「興味はあるがアサインされていない会議」や「最近話していないなーと思う人が参加している会議」を頻繁に傍聴し、情報収集しています。
リモートワークを前提としたチーム作りということを考えても、透明性の維持は生命線ともいえます。
真の透明性への道のりは険しく、まだまだ道半ばではありますが、これからも透明性向上やっていきたいと思います!
読んでくださりありがとうございました。
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