2023年7月11日 平和宣言懇談会(取材メモ)
8月6日の広島原爆の日に開かれる平和記念式典において、広島市長が発する「平和宣言」に盛り込む内容などについて、被爆者や有識者など市民からの意見を幅広く聴くために開催される「平和宣言に関する懇談会」が11日、広島市役所で開かれ
ました。今年分で3回目で今回が最後。内容が大体固まったと見られます。
非公開での開催で、冒頭の市長の挨拶のみ公開されているので、その様子と、終了後のいわゆるぶら下がり取材について、内容をまとめました。なお、当初13時半開始、15時半終了予定でしたが、予定より30分ほど早く終了したようです。
司会の広島市職員:
それでは、ただいまから、令和5年度第3回平和宣言に関する懇談会を始めさせていただきます。まず初めに、座長の松井市長からご挨拶を申し上げます。
松井一実・広島市長:
本年3回目の提案に関する懇談会を開催するにあたりまして一言ご挨拶をさせていただきます。大変お忙しい中、前回に引き続いてご出席いただきまして誠にありがとうございます。前回の懇談会では、今年の平和宣言の骨子について議論させていただき、皆様方からは、G7広島サミットで、私が各国首脳に対して碑文の意味を説明したことを入れてはどうかとか、平和文化を広める取り組みに対しては若い世代の市民に対して一緒にやっていきましょうと呼びかける形にしてはどうかなど、様々なご意見いただきました。
私の方からは、各国の為政者には、核兵器廃絶に向けた具体的な歩みを進めてもらうことが重要であると同時に、為政者を選ぶ側の市民社会においても、為政者が核抑止力に依存しない外交政策を目指すことを支える行動を呼びかけたいとの考えをお示ししたところ、みなさまからご賛同いただき、私自身平和宣言を起草するにあたっての方向性を確認することができたという風に思っています。
皆様から忌憚のないご意見をいただいたことに対し、改めてお礼申し上げたいと思います。そして今日、こうした前回の議論を踏まえて作成した文案をですね、お示しさせていただくことにします。5月19日から21日にかけましての広島でのサミット、すなわちG7広島サミット、開催されてそこで発出された「広島ビジョン」が、核抑止の肯定するものであるものだから、平和宣言ではそれを否定して、政府に核兵器禁止条約への批准を求めるといった要望が提出されたことをマスコミ等では大きく取り上げられるなど、今年の平和宣言は例年以上にそういう意味で注目度が高まっていると思っております。
平和宣言を世界中の多くの心に響くものにするために、核抑止論を超えた為政者の対応を求めるためにも、「ヒロシマの心」を発信し続けることは、重要であると考えております。今年の平和宣言も、被爆者をはじめ広島市民の思いが、広く国内外に伝わるよう伝える力の強いものにしたいと考えておりますので、本日も活発なご議論いただきますようにどうかよろしくお願いいたします。
ーーー以下、終了後ぶら下がりーーー
幹事社:
まず今日の議論ですが、具体的にどんな意見が交わされましたか。
市長:
具体的な意見を、ですね、今回初めて案分をお示ししまして、そして、書き振りについて、それぞれの点からコメントが出されたんですけど、流れというか基本的な書き振りは皆さん異口同音にこれでいいんじゃないかというようなお話というかご意見がありました。
その上で、あと、まあ、あの最初にあの、申し上げましたことなんかについては、自分なりに今までの経過を踏まえてね、今回の宣言を作ったんだけども、書いた文章全体を見るとですね、最初に行った市民団体からのリクエストにはね、十分応えるものになっているんじゃないかという風なご意見がいただけました。
それ自身わたしはまあ、あの、自分なりの考え方をきちっと整理して書き込んでいるつもりなんでね、そういう風に受け取ってもらえるんだったらありがたいなという風な感じのやりとりがありました。はい。
あとはちょっと言葉とかね、字句を調整するとかいうことでしたので、その場でいただいた意見を、修文してね、確定させるということで大体とりまとまったという風に思っています。
幹事社:
気になるところは、どんな文言が盛り込まれるのか。まだ固まっていないということでしたが。
市長:
いやもう固まってるものを見て修正を施したんで、流れは大体固まりました。
幹事社:
具体的にどんなところを。
市長:
そうですね、ポイントからすればね、G7の話を言及しろっているのがありましたから、G7サミットにおいて、各国首脳によって平和記念資料館の視察とか、被爆者との対話が実現して、芳名録に平和への願いを込めたね、メッセージが残されましたよってなことも記述しました。
そして、碑文の説明を行うにあたり、私自身が直接ヒロシマの心をね、説明するという機会があったということにも言及しました。
それから、あとは、G7広島ビジョン、これがいわゆる核軍縮に特化した独立の文書が、取りまとめられたということにも言及しております。
そして、その中で核による威嚇を行う為政者が現にいるんだからね、核抑止論ってのはもはや成り立たないでしょう、といったことも宣言の中で申し述べました。そうした意味では、為政者は、すべからく平和を維持する理想を追求するべきであるという展開になっています。
あとは、平和文化というものを市民社会にね、根付かせていくための取り組みもしっかりやりたい、そういう流れの中でですね、展開するというようなことになっています。大体そんなとこかなと思います。はい。
幹事社:
去年はトルストイの言葉の引用がありました。今年は著名人の言葉って引用が。
市長:
著名人の言葉も引用してますが、それはもう最終まで、もう少し、〓確定してお話しします。入ってはいますが、どなたかはまた、後ほどというか直前に、はい。お示しします。
幹事社:
日本人の方ですか、海外の方ですか。
市長:
海外の方です。はい。
幹事社:
はっきりとは難しいと思うんですけど、海外のどんな方なのか(笑)。ヒントじゃないですけど。
市長:
ヒントももうちょっと待ってください。確定して、今、大筋決まりましたんで、きちんと整理した段階でまた発表いたします。そんな時間かかりませんから。
幹事社:
幹事社質問として最後に。最初のご挨拶でも市民団体の要望、広島ビジョンということと核抑止論の最初の言葉でも言及されましたけど、どういったことを平和宣言に盛り込む方針とかっていうそのあたりのこともお話しできることをお聞きしていいですか。
市長:
今申し上げたつもりですけど、重ねて申し上げると、G7で策定されたビジョンの紹介をした上でね、現に核による威嚇を行う為政者がいるということはですね。核抑止論がもはや成り立たなくなっているということでしょう、というようなことを、わたくしがコメントを加えるというような展開になっている。
幹事社:
はい、わかりました、ありがとうございます。
司会の広島市職員:
それでは各社さんから。
記者:
今も出た話ですが、被爆者団体からリクエストがあったということで、抑止論を否定する文言をいれてほしいというようなことが何件か出たと思うんですけど、率直に、そういったリクエストが出たことについてどのように思われますか。
市長:
被爆者の方々のお気持ちもわからなくはないなっていう風には思っております。私自身は、市長という立場でこれまでずっとね、こういった平和宣言は何度も書いてきているという流れの中で、また、今まで言ってきている論理も踏まえた上で、それをどう展開するかという視点で書いた、その書き振りが、先ほど言ったように読んでいただいた方からすると、市民団体からのリクエストにも十分応えるものになっていますね、というようなコメントをいただいたということであります。
記者:
また同じような質問なんですけど、広島ビジョンでの核抑止論を平和宣言で明確に否定するという意味合いでよろしいですか。
市長:
うん、明確に、その広島ビジョンで書かれているかどうかは別として、それをどう解釈するかというのがあるので、書いてあることは引用しておりますけども、もういっぺん申し上げますけども、核による威嚇を行う為政者が現にいるということですから、核抑止論ていうのはね、威嚇をしない、つまり防衛目的のためにだけ核を持っていて、自分の方からね、使うなんていうことをやると核抑止論は成り立たないという風にもう、認めている、それはもう破綻しているということをちゃんと申し上げるということであります。はい。
記者:
前回の懇談会で若い人たちへの呼びかけを触れられるんじゃないかと思っていたのですが、今回は。
市長:
あ、それはとりわけね、平和文化について言及する中で、その取り組みをお願いすると。そういったことに力を入れていくことで、いわば、市民の指示を得て為政者というものが、成り立ちうるので、そういった為政者に向けて、若者がしっかり意識を持って平和文化を醸成していけば、必ずそういった為政者へのね、思いが届く。そういった流れで若者に、被爆の実相についてしっかり知ってもらって、で、広め伝えるということも頭に置きながら、平和文化活動をね、やってもらうというようなことも言及しています。はい。
記者:
広島ビジョンについて言及されるというお話がありましたけれども、これはビジョンを肯定的に評価されるのか、それとも否定的に評価されるのか。
市長:
事実を淡々と書く。(笑)事実を書く。こういう記述があったということを引用します。そこで私の意見を展開する。はい。
記者:
それはビジョンについての市長のご意見。
市長:
核抑止論についての意見を。はい。
記者:
「絶対悪」という表現を市長は使われることがあると思うんですけど、今回は絶対悪という表現はされる予定でしょうか。
市長:
そういう文脈は、ありません。はい。
記者:
こういう時代にこそ、こういう時にこそ、という思いはないでしょうか。
市長:
核兵器については根源的にそれを前提としてどのような取り扱いをするかということをやり続けてますから、はい。
司会:
よろしいですか。
記者:
先ほど、核による威嚇を行う為政者がいるといういうことだったんですけども、具体的にこれはどういった人を指しているのか。
市長:
は、書いておりません。みなさんご存知であろうと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?