見出し画像

「ひらがなまっする」はDDTの新世界を見せてくれるものだった。“プロレス観戦復帰”に最適な興行だと感じた話

「久しぶりにプロレスを観たいな」と思い立ち、人生初、「まっする(ひらがなまっする)」を観戦してきました。11月9日、後楽園ホールで開催された「まっする3 II〜必殺技大乱発〜」です。

プロレスが好き、と言いながらも、最後にプロレス観戦をしたのは1月末。プロレスリング・ノアの大会でした。

その後、コロナウイルスの蔓延で世界は大きく変わります。人が集まること=感染リスクが高まるとされ、興行ができなくなり、プロレスも他のスポーツやエンタテインメント同様、中止・休止を余儀なくされることに。無観客開催というのもありましたね。

私は大きな影響力も財力もないため、プロレス業界に貢献できるとは思っていません。しかし自粛期間中、とても微力ながら何かできればいいなと、「ウレぴあ総研」でDDT所属のレスラーをはじめとする方々に協力していただき、コンテンツを作りました。

かなり久しぶり感のあるプロレス。今までのような大会を観にいくのもいいですが、長いことプロレスを観ていないせいで、“プロレスの免疫”がなくなっているのを感じていました。

そこで、THEプロレスではない、プロレス+αの興行を観て「プロレス観戦復帰」をしたいなあと思いました。

プロレス観戦復帰したくて「まっする」へ

画像1

そこで、プロレス観戦復帰第一弾として、行くことにしたのが「まっする」です。

「まっする」はご存知、マッスル坂井さんが主催・旗揚げしたDDTプロレスリングの「マッスル」の新しい試みです。記念すべきまっするの初回大会「まっする1」は2020年1月27日、新木場1stRingで開催され、今回は3回目の開催となります。

ベテランレスラーや芸人のクロちゃんさん、南海キャンディーズの山里亮太さんなど、豪華メンバーがゲスト参戦した「マッスル」とは趣を異にする「まっする」。メンバーを総入れ替えすると言っても過言ではないくらい大幅に変更し、若い世代のレスラーを出演させているのが特徴です。

例えば、竹下幸之介、上野勇希、樋口和貞、渡瀬瑞基、今成夢人、平田一喜……(敬称略)。これからのDDTを引っ張っていくであろうメンツが揃っています。彼らがそれぞれ「必殺技男子」と「パイプ椅子男子」なるチームに所属し、現実世界の自分たちとは違うキャラクターを演じます。

必殺技男子とパイプ椅子男子って何なん!?

もう最初から引き込まれていました。大きなスクリーンに漫画で表現される世界。キャラクターの声を担当するのはDDTファミリーです。けっこうな長い時間、漫画が流れ続けました。

「マッスル」も「まっする」も観たことがない私は、「もしや、今日リングを使わない? 出してるけど……出してるだけ? DDTならそういう大胆な見せ方、仕掛けをしてもおかしくないのでは?」と考えたくらいです。

画像2

必殺技男子とパイプ椅子男子が順に出てきてからは、彼らの役名に笑いを誘われたり、歌やダンスの振り付けに見入ったりと、リングに目が釘付けに。振り付け指導はDDTのアイドルユニット「NωA(エヌ・ダブリュ・エー)」でも、そのスキルを発揮した勝俣瞬馬選手が担っているそう。内製化、すごい。

DDTの何が魅力的かって、いろいろありますが、ファミリーの中にあらゆる能力や個性が揃っていることではないでしょうか。映像班はもちろん、投影資料作成班や企画立案班(そんな班があるのかは不明ですが!)も素晴らしいです。

歌とダンス、プロレス、格闘技を全部楽しめる大会だった

画像3

まっするのレポートは、鈴木健.txtさんのコラムが読み応えがあり、プロレス好きとしては心が震える内容ゆえ、ぜひとも読んでいただきたいと思います。

私があの場にいて感じたのは、DDTの「枠を超えて挑戦し続けるスタートアップ精神」だったり、「失敗を恐れない強さ」です。

DDTの大会を初めて観たのは2016年5月で、私とDDTの歴史はそう長くありません。ただ、そのときから今までに、アイドルをデビューさせたり、フェスを開いたり、昔から路上プロレスをはじめ、屋内のリングにとらわれないプロレスをしていたりと、DDTがやることの面白さ、常に一歩先を見て動き、行動に落とし込むスピード感は、一仕事人として惹きつけられずにはいられません。

まっするでも、そういったDDTらしさを目の当たりにしました。お芝居+歌+ダンス+プロレス+格闘技と、いくつもの層が重なった興行を見ることができたからです。特に格闘技。

画像5

レスラーには格闘技経験があったり、プロレスに活かそうと格闘技を習ったりしている人もいますが、格闘技経験のない人も当然います。または、ずいぶん前に格闘技をしていたものの、最近は格闘技から離れていたという人もいます。それでも本気の戦いを最後に見せてもらいました。迫力がありました。

いろいろな要素があるけれど、どれも中途半端ではなく、満足感の高い形で表現に落とし込んでいる、演者・スタッフがワンチームとなって、新しい表現を作ろうと格闘している——約2時間半に及ぶ、まっするという興行を見て感じたことです。

声援を介してつながれない辛さを乗り越えたい

最後に、まっするの総監督ともいえる、マッスル坂井さんが「(今コロナの影響で)距離が近いことが悪いとされる。でも、人は距離が近づくことで触れ合える」といった言葉をリングから放っていました。

画像4

コロナは人々を遠ざける存在です。プロレスだけではなく、あらゆるスポーツやエンタテインメントの現場で、声援は禁止されてシーン状態が当たり前。プロレス以外に私が観る相撲もそうです。

“推し”の名前を呼べない辛さをひしひしと感じていましたが、坂井さんの話を聞いて、選手たちも辛いのだと再確認しました。声援できない私たち一般人と、声援を受け取れないリングの向こうにいる選手たち。どちらも辛いし、どちらがより辛いということもない。各々の辛さを抱えているのを感じました。

正直、声援できない世界が長く継続してほしくはないです。かといって、以前のような声援し放題の状況がすぐに戻ってくるとは思えません。ただ、自分が好きなもの、応援したいものはこれからも存在してほしいと心から願います。そのために、会場に足を運ぶなり、SNSでポジティブな言葉で発信するなりして、今自分ができる最大限のことをしていきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?