不調のサインはカンジダで—35過ぎて私の思うこと。

 築年数35年の物件というのは、たいていの場合、どう見ても中古らしく、言葉を選んで言うならば、味わい深い印象を保っている。私が住んでいる築40年のマンションも「ヴィンテージ風味」のある、なかなかいい味を出している。とはいえ、何事も表裏一体にあることは、常に意識しておきたい。

 共用部や全体の管理は行き届いているように見えるけれど、窓サッシの汚れやドア下の化粧板に付いた傷、天井クロスのちょっとしためくれなど、細かいところまで挙げれば、経年劣化が進んでいるのは明らかだ。

 35歳の人間である私もマンションと同じで、経年変化している。劣化という言葉はあまり好ましいと思えないので、ここからはあえて「変化」と書くことにしたい。

 特に、身体にガタがきている。年上の人からは間違いなく「まだ若いでしょう」とつっこまれるのを承知で言いたい。35年というスパンはなかなかに長い。十分な年数を生きてきたから、35年でもそれなりに弱っているのだと。

 身体にきているガタをもっと具体的に言うと、身体が疲れやすくなっていて、弱っているサインをすぐに出すようになっている。身体が頭に「もう少し休んで」と訴えかけるのに気づく機会が増えた。

 最低3時間は寝ないと翌日死んだようになるし、徹夜を強いられる環境で働いたこともないし、不健康な生活も避けたい、無理したくない人間だから、できるだけ毎日約6時間は眠ろうと試みている。それが叶わず、4〜5時間の睡眠がつづいたり、2時3時と真夜中に寝る日が連続したりすると、不調のサインが現れるようになった。

 風邪とは5〜6年無縁なくらい、身体は丈夫だから、元気そうな人に見えるのだろうけれど、30代後半になってから、調子の悪さがカンジダ膣炎という形で出始めた。

 クリニックで膣錠を押し込んでもらい、お風呂上がりに陰部へクリームを塗り、翌夜からは寝る直前に自分で膣錠を挿入する。1日1膣錠。我が膣に中指を突っ込み、膣錠を奥へ奥へと「出てくるなよ」と念を込めて押し込みながら、クロスが3〜4ミリほどめくれかけた天井を見ていると、一体何をやっているんだろうと虚しくなる。

 これを5日程度つづけて、治ったように見えても、また1ヶ月後に襲ってくるカンジダ。そんなカンジダとの戦いがつづいた日々もあった。集中力を奪うほどの痒みに悩んで、書籍や資料を読み漁り、不快感と対峙しても再発を繰り返すばかり。

 そんなあるとき、パートナーから「とにかく早めに寝ること。23時台を目標に」「たくさん睡眠をとること」を勧められ、生活リズムを立て直した時期があった。夜更かし型な私には、なんて難しい提案なんだと感じられたけれど、1日やってみるとなかなかいいもので、身体の調子がととのっていったのか、嫌な痒みはなくなり、一時的にはカンジダと訣別できた。今もしばらく再発がない。

 そんな成功体験を得て気づいたのは、身体が出すサインに素直に応じて、身体を労ることの大切さ。35年も生きてるのだもの。部分的にメンテナンスしたり、大規模修繕したりしないといけないときだってある。だから、身体に優しい接し方をすること。現役としてまだまだがんばってもらうために。

このコラムは最近読んで感銘を受けた『40過ぎてパリジェンヌの思うこと』の日本版を作りたいと思い立って書き始めたシリーズものです。



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