Nutopia
音楽を聴きながら、このアーティストはどんな音楽を聴いて育ってきたんだろうと想像する。
音楽はその人の歴史でもある。
幼い時は亡き祖父のレコードを触っていただけだし、小学生では90年代のポピュラーミュージックが全盛期で、安室ちゃんのファンクラブにも入ってたし、初めてのライブはSMAPで、ごく普通にJ-POPを好む女の子だった。
ただ昔から、その本人がどんなものに興味があって、どんな音楽を聴いて育って、今に至るのか、このような事にとても興味があった。
安室ちゃんはFugeesなどのブラックミュージックが大好きで、過去の映像を見ればどんなに好きだったかが彼女のスタイルから伝わってくる。
そして世界中には色んな音楽があるということを知った。
ハイロウズもブルーハーツも親が車で聴いていた。ヒロトを知ってからは、Thee Headcoats/The Clash/Iggy Pop/Manfred Mann なんかはもう大好物だ。
情報源はテレビか雑誌かラジオ。
誰に影響を受けてどんなバンドに影響を与えていていったか、黒板を写しているだけの学校の授業なんかよりも面白くて仕方なかった。
ジャンルは狭いけど、気になったらとことん調べてしまう、深掘り気質だ。
インプットがかなり多め。
点と点が繋がって怖くなってしまうこともある。
それにそれを誰に共有するわけでもない。
自分で楽しむだけのこと。
登校の準備をしている朝、CMで流れた曲に耳を奪われて、画面の隅っこに小さく書いてあるoasisという文字を速攻メモした。それでも曲名が分からないからレンタルショップに行き、【CM100選】みたいなCDから一生懸命探したっけ。なんとまあ、アナログな探し方。人に聞くことをしない。
調べれば調べるほど、枝分かれするように好きが広がっていった。
これは好き、これは自分には合わない、そうやって好きなものを選んでいった。
そうしていくうちに、USよりもUKが好きなんだと知ってロンドンに強く憧れた。
初めて行ったロンドンは、目にするもの全てが新しかった。
その帰りの飛行機のラジオでかかった曲にハッとして、紹介するアーティストと曲名が聞き取れなくて、時差ぼけで眠いのにも関わらず、リピートされるその番組を何時間も、その曲が流れるまでずっと聴いてた。
調べることが簡単ではないその当時、聞き逃したら一貫の終わりだった。
今はサブスクで月に1,000円払えばなんでも聴ける素晴らしい時代だ。
配信されたら時刻ぴったりに聴けるし、目を瞑っていても音楽が自然に入ってくるし、情報も多く得られる。
知らなかったアーティストがどんどん入ってくる。
とてもいいことだ。
同時に自分でそれを選択する力が養われる。
本物を見極める力。
何を選ぶかの基準は、
自分の感覚と知識が必要ってことだ。
普段はほぼクラシックなロックばかりなのだが、新しい感覚が欲しくて、最近はtiny deskで新しいアーティストを覚えたり、全く通ってこなかったテイストを好きになることがある。新人からスターまで、ジャンルも世代もキャリアも関係ない、この番組は、音楽を楽しむにはとても悪い環境とライブに無関心な客によって、台無しにされていたバーでの状況がこの番組のヒントとなり発端となり2009年にスタートしたそうだ。
10年も前から続いているけど、これは今の時代の状況とマッチしていると思う。ハウススタジオや家の雰囲気でアーティストがパフォーマンスをする。
まだロックダウンが続いている国も多いし、私もステイホーム中はずっと見漁っていた。これがYouTubeで観れるのはほんと貴重で、なんとも贅沢なチャンネルだ。
演奏は生バンドだから普段聴いていた曲が全く違って聴こえたり、アーティストのリラックスした表情が垣間見れる。私の場合は、確実に音源よりも魅かれる部分が多いから、全く知らないジャンルのアーティストでも、自分の好きに引っかかる時がある。特殊な機材やスポットライトもない、そんなライブ感が楽しめるのも魅力。
最近目を奪われてしまった女の子が、Lous and the Yakuza。
ファッションアイコンとしての存在も抜群で、5ヶ国語も堪能な彼女。
日本の規律などの国民性や、奥ゆかしさみたいな日本人の心に興味があって、聞き馴染みのあるネーミングは、日本のそれを意味している。
まだ来日したことがなく、日本に来ることが恐れ多いとインタビューで言ってたのだが、日本の事をそこまで想ってくれてることに感激する。
世界の状況が落ち着いたらぜひ来日して欲しい。
今、最も勢いのあるBTSは、パフォーマンスのクオリティ、人柄の良さはもう説明不要だが、何よりアイドルという枠を軽々と超えて、社会的メッセージも強く、頭脳派パフォーマンス集団の一面もある。楽曲やMVは緻密で丁寧に作られているし、年代の違ういくつかのMVは全てストーリーが繋がっている。ただただdynamiteを歌って踊ってるだけの兄ちゃん達ではない。
PRの仕方もすごいし、ビジネスモデルとしても感心してしまった。
次世代に、語り継げられていく伝説となる存在で、世界的アーティスト、トップスターになっていくその瞬間をいま同じ時代に見れているってことがすごい事だと思う。
どんなものでも、いいものはいいし、自分の好きに引っ掛かる感性はずっと大事にしていきたい。今までは、狭いところで楽しんできたけど、世代もジャンルも何もかも、今はもうボーダレスだ。