コロナ後のLIVE
日々の活力はライブやフェスに行くことだった。本当にパワーが出るし、ドキドキとする瞬間を味わえる。去年持っていたチケットは、中止になったり、延期したりした。再延期をしてくれているライブチケットも、まだ手元に大事に取ってある。
2020年11月、東京ドーム。世界中で見ても、今の状況で、この大規模の会場で開催したアーティストは彼らだけだった。今でもまだ出来ていないのではないだろうか。直前まで悩んで、事前の対策もしっかりとされているし、このツアーが終われば、長期活動休止期間に入ってしまうので、しっかり考えて、行くことを決めた。
当日、彼らは朝刊に大きく広告を打った。
「19,000/46,902 ここから始めます。」
ドームという大きな会場で、バンドのライブで声援も歓声も禁止、拍手のみというルール。当然こんなことは初めてだが、年齢層が高いこともあって、誰一人として大声を上げることなく、ルールをしっかりと守っていて、主催者側だけではなく、観客19,000人全員が絶対に感染者を出さない、という強い気持ちが感じられた。そして、今後も他のアーティストのライブが続けていけるように、成功例を出そう、という覚悟も見えた。
私はこの人達の世代ど真ん中で、中学時代の仲の良い4人組のテーマソングだった。ニューヨークドールズやデヴィッド・ボウイに影響を受けたサウンドとルックスで、クラスの男子たちはみんな好きだったんじゃないかな。ちょうどドラマの主題歌になっていて、そのドラマが地元で撮影されていたのだが、うちのお隣のお米屋さんで撮影があって、出演者が休憩中に買い物に来てくれたり、その撮影を友人達と見学させてもらったり、写真を撮らせてもらったりした。今でもその写真は、LINEのグループのアイコンになっている。
当然、満席でない東京ドームを見るのは初めてだった。いつも熱気に包まれたドームの独特の感覚はそのままだけど、どこか緊張感のある開演前の空気感。前後左右は空席で、始まる前は観客がいない、がらんとした感じがあったが、今回はアーティスト側の、いつもとは違った発想や工夫で、アイドルが使うような、色の変わるライトを空席にも埋めつくして使用したりして、開演前と比べて、会場が満員のようになった。その光景はとてもきれいだった。
普段は、アーティストの方ばかり集中してしまうけど、ちらちらと観客も見てしまう。今回は観客とが一体になって作り上げているステージだと理解した。
セットリストは東京ドームにふさわしいコアなファンだけだけでなく、幅広く楽しめる内容だったし、思い出のテーマソングも聴きながら、中学時代を思い出したりした。年末までに他の会場でのステージをいくつか行い、すべての公演で、感染者がゼロだったことが後日報告されていた。
「今日のことは、自分の歴史に刻みたいと思う。」という彼の言葉通り、もしライブが普通にできて、これから他のアーティストの公演をいくつか行けることが出来ても、きっとこの日の光景は決して忘れられないだろう。