『君に贈る火星の』ショートショート
道端に一冊のノートが落ちていた。
S子はそのノートを拾い、なんとなくページをめくった。
真ん中辺りのページに
”君に贈る火星の”
と書かれていて、その後が黒く塗り潰されていた。
(火星の何?)
それが気になって仕方がない。
他のページを見てみるが、何も書かれていない。
(君に贈る火星の…石とか?それとも大気?)
色々と考えたが答えは分からない。
(あぁ!気になって気になって眠れない!)
S子は何日もその文の続きを考えている。
遂には、ネットや有識者にも聞いてみたが、勿論答えは出てこなかった。
そこから、その文は全世界に広がり、色々な人を巻き込んで論争が始まった。
しかし答えは一向に出ず、そのせいで世界全体でストレスを抱える人が増えた。
そして、答えを手に入れるためにも武力を使う者まで現れた。
世界は混沌に陥った。
「君に贈る火星の…」。
356字
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