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失敗しない道北移住 その3
移住のトライアルのひとつとして広く知られているのが「地域おこし協力隊」に応募する方法です。ミッションを終えたらその土地に腰を据えることもできます。去るのも自由。
今日、地域おこし協力隊の青年がひとり町を離れたと聞きました。
彼の夢は叶ったのでしょうか。
夢は持って行くな。
憧れるなかれ。
余計なお金を持っているとあまりの安さと助成金に目がくらんで家を買ってしまい、その後何かの問題が発生した場合、移転したくても移転できなくなる場合があるという話をその2でしました。
(あ、家を何件も持っていられる方なら何も問題ないことではありますが。)
もう一つ、持っていると不自由になりがちなのが「夢」です。大きな原動力にもなるかわりに執着しすぎると私たちの足枷にもなるのが「夢」。
「夢」。
森と暮らす。
オリジナルのビジネスを起業する。
イベントを企画実行する。
おしゃれなごはん屋さんをやる。
そんな「夢」。
「そこ」の事情をよく知らない状態での「夢」は、ただの夢想です。
よくできた企画書が書けたとしても、現地の「人」と出会わずに描いた「夢」は、夜中に書いたラブレターみたいなものです。
思い込みで突っ走って一人で完結しちゃってるんですね。
進化していかないんです。
人と出会って人は進化します。新しい刺激を栄養にして自身も変わる、それにつれて描く夢もどんどん進化してゆくのが自然です。なのに変化を嫌うあまりに、オリジナルを手放せなくなっちゃう。
未完成のままでいい。
思い切り何も考えずに移住先に飛び込んでみて、起こることを材料に次の展開を考えるというのではだめなのかしら?
企画書通りに、なんて教科書的な活動をしている限り移住は単なるパック旅行です。想定外の出来事をどれだけ包容して大きくなっていけるか、そういうチャレンジが移住だと思うんですけどね・・・。
私の場合、仕事も決まらないままこの町に来ました。
住む場所が決まれば、最低限の生活費を稼ぐ方法は町に何かあるはず。家賃が安く抑えられるから月に10万円もあれば充分。
後はなんとかなるだろう、と。
で、まあ、なんとかなったわけです。
買い出しを手伝ってくれたFさんがトマト農家のバイトを紹介してくれて、それがきっかけでその農家で週4のバイトをすることになりました。
その最中にツイッターで知り合いから紹介されて気になっていた近隣の市(とはいえ100キロ以上の距離ですが)での2週間の林業研修に応募。研修を受けに行った後は、施設管理のバイトに鞍替えもしました。
施設でMANGA作品を置かせてもらえるなんていう幸運にも恵まれつつ
最低限の収入を得ながら知り合いを増やして行きました。
移住者同士で仲間を作って、ってのはやらなかったですね~~。
そういう会にも出ませんでした。
普通にしていて出会う人と仲良くなればいい、そう思ったんです。
明確な目標なんてありませんでした。
しいていえば「生きのびられれば」それでいい、と思ってました。
そのうち夢のほうが近づいてくる。
ZOOMのセルフカウンセリングカードの講座を主催していたので、対面しなくても講座でなにがしかの収入は得られるはず、という算段はありました。でもMANGAだけで暮らそうとか、はなから思ってなかったです。
菜食生活に欠かせない「旨味」を自給するってのも夢で、原木椎茸を育ててみたかったんですけど、ホダ木用の材が手に入らないっていうのがわかって、これも長い間棚上げにせざるを得ませんでした。
たとえば町民と移住者の集いに出るとかして自分の目標のために協力してくれる知り合いを作れば、とアドバイスしてくれる方もいるかもしれませんが、それはどう考えても気が進みませんでした。
そういう関係って絶対ほころびがでるような気がするんです。
そしてその勘はあたっていました。結局は、普通にしていて知り合った人との縁が自然と夢を叶える方向へ私を導いてくれたのです。
夢のほうが私にむかって近づいてきてくれたみたい。
思いついたことはやってみる、の延長線上にちゃんと、MANGA作家としての活動としいたけの旨味を使った料理を提供するプライベートレストランの料理人である私が見えてきたのです。