【読書記録】縮充する日本 「参加」が創り出す人口減少社会の希望
私は、岡山県の瀬戸内市役所で働いています。
現在は危機管理課に所属し、主に防災対策を担当していますが、地域でお互いに助け合う「共助」の仕組みづくりについて取り組みを進める中で、人口減少や高齢化によって地域の活力が失われつつあることを肌で感じています。
今後、あらゆる「縮小」が加速する日本において、人々が豊かに暮らしていくにはどうすればいいか、「公務員としてどんなことができるだろう」と考える中で知ったのが本書です。
本書は、著者の山崎氏による、まちづくり、政治・行政、環境、情報、商業、芸術、医療・福祉、教育、の8つの分野において活躍されている方へのインタビューを通して、今後の日本社会の「"あるべき姿"を考えてもらうこと」を目的として書かれています。
山崎氏は『参加なくして未来なし』といい、縮充する時代においては、「学び」というインプットと「活動」というアウトプットを、市民自らが常に繰り返している状態こそ意味があるといいます。
最近、「協働」について考える機会がありました。
僕は、「行政が地域の課題を素直に提示し、課題解決に向けて住民と一緒に考え合うこと」が協働ではないかと思っています。
「活動」というアウトプットを促進することだけではなく、「学び」というインプットの部分を設計し、ときに行政も学び合いながら、課題解決に向かっていくプロセスを「共に楽しむ」こと。
協働は「行政が解決できていない仕事を、住民に下請けとして出す」ことでもないし、「既にある住民の活動(サークル活動のようなものも含む)にお金をつけて、より手厚くサポートすること」でもないのではないかと思います。
「住民が参加する」ということは、その場を設定するのも僕たち行政の仕事であり、「主体的」という言葉を都合よく使って野放しにしてしまわないようにしなければならないのだと改めて感じました。
公務員として働くうえでの心構えについて、より深めることができる一冊でした。