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ホテル・ムンバイ

インド西海岸のアラビア海に注ぎ込むウルハース川の河口付近にあるボンベイ島、そしてその北に広がるサーシュティー島にある人口1200万の大都市ムンバイは、インド随一の商業都市であり、娯楽の中心街である。

ここで、2008年11月26日から29日にかけて、少なくとも172人の死者と200人以上の負傷者を出した同時多発テロが起こった(ムンバイ同時多発テロ)。後に「インドの9.11」と呼ばれるこのテロ事件には、パキスタンのテロ集団「ラシュカレ・トイバ(正義の軍隊)」の関与が強く疑われている。

テロリスト10人の内の4人は、地下鉄駅、ユダヤ教センター、高級ホテルなど、さまざまな場所を襲撃した。彼らはムンバイの街中を移動し、通行人に銃を乱射し、爆弾を爆発させ、観光客やビジネスマンを殺害した。ムンバイの街中に死と恐怖を撒き散らし、狂信的で並外れた残忍な殺戮を行なった。

別の6人は、5つ星のタージマハル・パレス・ホテルを占拠した。そして、彼らは60時間という信じられない時間を持ちこたえた。

鎮圧後の現場検証や検視の結果、彼らがコカインステロイドを使用していたことが判明した。つまり、彼らは薬物の作用によって、60時間もの間、不眠不休でインドの特殊部隊との熾烈な超人的戦闘を続けたのである。

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戦闘は非日常的で例外なく劇的な過程であるため、平時の世界ではとても容認できない多くの活動、行動様式、習慣が当然のように普通に行われる。敵の殺傷は戦闘の目的の一つであり、殺人者がターゲットに近づけば近づくほど、精神的な負担は大きくなる。戦闘における精神作用物質の消費は、確かに社会的な習慣を反映しているのだが、決定的に異なるのは、それがきわめて実用的で、かつ合目的性の観点からのみ判断されていることである。日常的な社会の秩序や均衡を保ち維持するための規範、薬物に対する制約の多くは、戦闘にはほとんど適用されないのである。(了)

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