ハッカ飴のたもつ君
この頃ハッカ飴をよく舐める。
外出前に口臭が気になるので息をミントにしてしまおう作戦の立役者だ。
僕とハッカ飴の出会いはいつか覚えていないので書けない。
小さい頃に飴をあげるよと言われ、ハッカ飴をもらっていたら私はその飴をくれた大人の顔を毎晩寝る前に思い出すだろう。
幸い、毎晩寝る前に大人の顔は思い出さない。
ハッカ飴と言えばNETFLIXのドラマ「FirstLove」。
2周したが、どの場面で出てきたかは覚えていない。
満島ひかりが泣きながらナポリタンを食べるシーンしか記憶にない。
自分はあれほど悲しい状況で、あんなに美味しそうにナポリタンを食べることができるだろうか。
タモツは元気だろうか。
彼は口癖のように「ハッカ飴いる?」と聞いてきた。
校則では勿論禁止されているのに。
彼にはハッカ飴専用の筆箱があった。
授業中に当てられるとほのかにミントの香りをまき散らしながら爽やかに答えを導き出す。
昼ごはんの直前までハッカ飴をなめているせいで母親が早起きをして作ってくれたであろうから揚げを一口食べ、
「お、今日のから揚げはハッカ味か。」とまるでえくぼがあるかのようにほほ笑む。彼にえくぼなどないのに。
そんな彼にもハッカ飴をなめていない時期があった。
なぜハッカ飴をなめていないのか尋ねると、
「なんでだろう。馬鹿らしくなったんかな。」
彼は好きでハッカ飴をなめていたわけではなかったのだろうか。
こんな実際にいもしない友達のこと思い出してもしょうがない。
たしか、缶に入った火垂るの墓に出てくるドロップにハッカ飴、ミント味の飴が入ってた気がする。他のはフルーツ味で美味しいのに。
あのハッカ飴の外れ感が僕とハッカ飴の最初の思い出かもしれない。
記憶違いだったらごめんタモツ君。