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オススメ映画を紹介するよ! 至って普通な岸井ゆきの編

岸井ゆきの(以下敬称略)さんが出演している映画まとめました。どちらかと言えば遅咲きの女優さんなのかな。タイトルは「至って普通な岸井ゆきの」とか失礼な感じになってしまいましたが、かなり褒め言葉です!

愛がなんだ/友だちのパパが好き

それぞれ別記事で触れています。

岸井ゆきのは、「愛がなんだ」ではダメ男マモちゃんに惚れてしまってどうにも離れられないダメ女テルコを、「友だちのパパが好き」では自分の父親に告白し猛烈にアタックしてくる親友マヤに翻弄される妙子を演じています。どちらもそこら辺にいそうで、至って普通な女性です。可愛いんだけど絶世の美女ではない、弱さもある等身大の女性がピッタリですね。だからダメ女テルコにも感情移入できる。そんな女優さんだと思います。年齢的にはもう三十路なのですが、少女らしさもあり、可愛らしさは健在です。

ケイコ 目を澄ませて

生まれつきの聴覚障害で両耳とも聞こえないケイコは、再開発が進む下町の小さなボクシングジムで鍛錬を重ね、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。嘘がつけず愛想笑いも苦手な彼女には悩みが尽きず、言葉にできない思いが心の中に溜まっていく。ジムの会長宛てに休会を願う手紙を綴るも、出すことができない。そんなある日、ケイコはジムが閉鎖されることを知る。

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スポ根ものかと敬遠していました。確かにボクシングを題材として扱っていますが、主人公がいかに困難を乗り越え(この場合は障害)勝利を掴み取っていくか、なんてことはほとんど描写されません。不自由はありつつも、ケイコは淡々と練習に励み、生活を重ね、試合に向かっていきます。映画内ではジムの閉鎖や家族との人間関係などでケイコが悩み、ボクシングから離れ、また戻ってくる様子などが描かれますが、何しろケイコはほとんど喋れないので、内面が吐露されることはありません。しかし、表情や立ち振る舞いで彼女の思いは強く伝わってきます。ケイコのセリフがないだけでなく、この映画は静寂が貫いています。それによって、練習時の音や、息づかいが逆に際立ってきます。ケイコが試合中に一度だけ振り絞る激しい唸り声が心に強く響くのは、そのシーン以外での静けさがもたらしたものなのでしょう。

岸井ゆきのは他の出演作のような軽妙な感じが消えています。本物の選手と見紛うボクシングの動き、引き締まった肉体、流暢な手話と、準備や心構えにどれ程のものがあったのかと思える役者魂です。現時点での彼女の代表作としてふさわしい作品です。

神は見返りを求める

合コンで出会った、イベント会社に勤める田母神と、ユーチューバーのゆりちゃん。再生回数に頭を悩ませるゆりちゃんを不憫に思った田母神は、見返りを求めずに彼女のYouTubeチャンネルを手伝うようになる。それほど人気は出ないながらも、力を合わせて前向きにがんばっていく中で、2人は良きパートナーとなっていく。しかし、あることをきっかけにやさしかった田母神が見返りを求める男に豹変。さらにはゆりちゃんまでもが容姿や振る舞いが別人のようになり、恩を仇で返す女に豹変する。

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コチラも敬遠していました。胸糞映画と聞いていたので。見てみると、やはり胸糞映画でした。愛憎入り乱れる田母神(ムロツヨシ)とゆりちゃんの関係は、中盤くらいから見ていられません。これも共感性羞恥なのでしょうか。周囲の人間もクズです。今泉力哉監督作品等で大活躍の若葉竜也も本当に嫌なヤツです。脱線しますが、若葉竜也は情けない善良な男から悪の顔を見せる男まで、幅広いですね。

見返りを求める求めないの精神的応酬のみかと思っていたら、肉体的な痛みを感じる場面が徐々に出てきます。なんかこれ既視感あるなあと思ったら、監督の吉田恵輔は「ヒメアノ〜ル」の方でしたか。痛さの程度は違いますが、映画の感触は非常に似ていますね。

ゆりちゃんを演じる岸井ゆきのは、前半の屈託のない可愛らしさとダメさ、後半の豹変ぶりを見事に演じています。特にダメなYouTuber時代の「フラフープしながらスパゲッティを食べる」は可愛らしくも恥ずかしく、チャンネル登録即外すレベルてす。全身ボディペイントも痛すぎです。まあそれでも田母神さんがハマってしまうのもわかりますよね。「ケイコ 目を澄ませて」とは対照的な、コロコロ表情の変わる岸井ゆきのをお楽しみください。

最終局面では2人ともハッピーエンドとは程遠い、痛々しい姿に成り果てます。爽快感は全くないので、覚悟をしてご覧ください。

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