オススメ映画を紹介するよ! シャマラン監督編
シャマラン監督と言えばいまだに「どんでん返し」を期待する向きもあるようですが、個人的には「思いついたひとつのネタを使い、世界の変容を表現する」ことに徹した監督だと思います。世間的にも一時期の低迷を脱し、コンスタントに面白い作品を世に出すシャマラン監督はお気に入りです。例によって最近サブスクで見た作品たちを紹介します。
シックス・センス
言わずと知れたシャマラン監督の代表作。予告もあらすじもここでは引用しません。まだこの映画を見ていない幸運な人がいるならば、一切の情報なしに見てほしいです。因みに自分の子どもたちはまだ見ていません。羨ましいなあ。
この映画が公開された当初、映画館で見たと思います。エンドロールの後、後ろを振り返ると、高校生くらいの男の子がまさに号泣していました。何が彼をそうさせたのかはわかりませんが、「シックス・センス」はそれくらいのポテンシャルがある作品です。
ヴィジット
この映画、途中に入るテロップのフォントがダサかったり、つなぎが雑だったりします。それはシャマランが適当に撮ったから、ではなく、主人公である姉が、母と疎遠になっていた祖父母の家を訪問する様子を自らドキュメンタリー映画にするという目的で撮られた映像だからです。もっと言えば、私たちが見る映像は主人公によって既に編集された映画」なのです、「ヴィジット」においては。
手持ちのカメラなどで撮られた風を装うPOVは流行りはすぎたもののそこそこ定着した手法です。通常より主観的な映像になりますが、それを編集したのは誰?ということにもなります。
この映画は撮影したのも素材を取捨選択したのも、主人公です。しかもある意図を持って編集されています。だからこそ、ラストを迎えた時、監督としての主人公が伝えたかった思いが伝わってきます。以下は最初に見た時の自分の感想ツイート。
これ見てシャマラン上手いなあと思いました。内容全然紹介していませんが、ショッキングな場面もありホラーとしての完成度も高いです。
オールド
これなんか誰もが一度は考えたことある、「時間の進み方が違ったら」みたいなネタから発展させたみたいな作品。かなり絶望感は強いです。人の一生は有限だってわかっているのに、普段はそれを忘れている。いざ死から逃れられない現実を認識した時、本当に大切なものが何かわかる、と言えば難病ものの映画で繰り返されたモチーフですが、「オールド」ではそれをリアルに突きつけられます。
モヤっと終わるのかなと思っていたら、終盤には黒幕の存在が明らかになります。このあたりはシャマランらしくないとも言えるかもしれません。
アンブレイカブル/スプリット/ミスター・ガラス
「アンブレイカブル」の時点ではシリーズになるなんて予想もできなかったし、「スプリット」も最終盤までは緊張感あふれるよくできたスリラーだな、助かるのは誰かなって見ていたのに、ブルース・ウィリス登場でまさかのユニバース化。シャマランははじめから考えていたのかなあ。
作品としては「スプリット」が面白くて、「ミスター・ガラス」はそこまでではないです。でもシャマランの思い描くヒーロー像(アンチヒーロー?)がテーマとして打ち出され、それが世界に広がっていくエンディングは納得できるものでした。
ブルース・ウィリスの病気はどの程度だったんでしょうね。セリフは確かに少なかったですが、存在感あふれるデヴィッドを好演していました。
ノック 終末の訪問者
この作品もほとんどワンシチュエーション。謎の訪問者の言う終末説を信じるのか、家族の誰かを殺すべきなのかで最後まで引っ張ります。普通そんなことを言う人たちのことなんか信じられないのですが、彼らは1人ずつ死んでいき、世界の最後を思わせる天変地異も実際に起こり始めます。山小屋という限られたロケーションで、世界を救えるかを選ばされるという、アンバランスな究極の選択が魅力的です。
エンディングまで見ても、科学的にスッキリするようなことは何もなく、評価を下げる人がいるのもわかります。それでもそれがシャマランらしいんですよね。
この作品でも、サラッと父親2人家庭が出てくるの、まだまだ日本映画には少ないパターンで好感が持てます。