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毒も毛皮もバッドテイストも - いけないのファッション展
上目黒のアクセサリーミュージアムで「いけないのファッション」展。
リアルファーや希少生物を使った物、人体に有害な物質や毒が素材に含まれている物、現代ではアウトな視点が反映されている物、そんな「いけない」ファッションアイテムを集めた企画展。
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一番初めの展示室には各種動物のリアルファーを纏ったマネキンがズラリ。クラクラする。一緒に行った娘は「この部屋、圧がすごい…」と引いていた。「うちはお母さんもおばあちゃん達も毛皮とか持ってないしね〜」と言っていたが、60年代はじめに流行した毛皮の襟巻き、子どもの頃持っていたんだった。小さいキツネの顔の先がクリップになっていて、くるりと首に巻いて尻尾を留めるやつ。
アルマジロ丸ごとバッグ同様、今思うとかなり悪趣味な代物。親から買い与えられたとはいえ、そんなのを私は身に付けていた。
そして、同じころ母もアストラカンのコートを着ていたことを思い出した。フォックスやミンクみたいな、フサフサのザ・毛皮!ではなく、クルクルした巻毛の平べったいアストラカン。
マネキンが着ていたのを見て記憶が甦った。
ダウンもフリースもなかったあの頃は、防寒着には分厚い綿やウールの毛織物、そして動物の毛などの天然素材を使っていて、毛皮反対運動もまだそんなにはなかったと思う。
ブリジット・バルドーが動物愛護の観点から毛皮反対キャンペーンをやったのは70年代。
だからといって、母や自分が毛皮を身につけていたことを正当化はできない。
10数年前着ていたカナダグースのフードにはコヨーテの毛皮が付いていた。
今ではリアルファーを着るのは後ろめたいとか、あり得ないでしょという風潮になっている。ダウンだって中身は鳥の羽毛だし。
じゃあフェイクファーならいいのか?という問いかけを、このミュージアムはしている。
生分解されにくく、自然に還らない化学素材で毛皮に似せて作ったものを「エコファー」と呼んで、リアルファーと比べると自然に優しいように思わせるのはアリなのか?と。
夫もSDGsとかエコ○○に胡散臭さを感じるタイプで、グリーンウォッシュにはうるさい。私が「これはエコだから」とかうっかり言うと「どういうところがエコなの?」としつこく突っ込んでくる。
イヌイットのように、狩猟民族が必要な分だけ狩った獲物を、食べたり衣服として余す所なく活用して初めてエコと言えるのかも。
この圧の強い部屋は、夫同様「ちゃんと考えろ」と促してきた。
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カワセミの羽を貼り付けている。
明の時代には10万羽使われていた冠も。
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カンガルーの睾丸袋。う〜ん…
その次は、染料に有害物質が入っていたハンカチ、装飾素材やアクセサリーなどイケナイというよりアブナイ物の部屋。
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オオカミと7ひきの子ヤギや赤ずきんちゃんなどの童話が描かれていて子どもも使っただろうに、その染料には現在は使用禁止の材料。
おしろいに使われた鉛や水銀では明らかに健康被害が生じ、サフィレットグラスというチェコのガラスにはヒ素が含まれていたと噂されていたらしい。
60〜70年代のレイバンの黄色いサングラス、カリクロームレンズにも有害物質が使われていて、現在は製造されていない。
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社会概念上今はアウトとされているものは、黒人モチーフの香水瓶や
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その他、消費は美徳というような意識を反映した、60年代の使い捨てペーパードレス。短命に終わったそうだけれど。
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着てても落ち着かないと思う。
裏に春画が描かれた帯留めもあったりして、色んな切り口の「いけない」が見られた。
常設の方も、年代やテーマ、文化・風俗ごとにヴィクトリア時代から現代まで、数多くのアクセサリーや装飾品がびっしり展示されていて見応えがある。アール・ヌーヴォーの部屋には、アクセサリーだけでなく名作ガラスランプや花瓶もぽんぽん置いてあった。
食器や絵画や家具など、アクセサリーにとどまらない。
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こういうの好き
宝石そのものに価値があるファイン・ジュエリーではなく、装飾を凝らしたコスチューム・ジュエリーを中心に集めている。
アクセサリー会社創業者のプライベートミュージアムで、館長は社長の娘さん。ご自身もアクセサリーデザイナー。
ところで、展覧会ではそのテーマに沿ったアイテムや服を身につけて行くと入館料が割引になることが時々あるが、ここもそうだった。
リアルファー(フェイクファーもOK)、ヒョウ柄などの自然な動物モチーフが服装にあれば100円引き。
私は該当する物何も持ってないなーと思ったが、服のテイストが迷走している夫のワードローブに一つあった。
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柄があまりにアレで、夫も着こなせず奥にしまい込まれていたのを引っ張り出して拝借。私だって着こなせないが、黒い革のライダースジャケットにエンジニアブーツを合わせ、えぇい、もうバッドテイストじゃと開き直って着て行き無事、割引き適応になった。
目黒の住宅街にぽつんと佇むミュージアム。
外見は普通のお宅だが、
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一歩中に入ると、時間を忘れて彷徨うことになるめくるめくキラキラ異空間が広がっている。
スタッフも、皆さんとてもフレンドリー。
ショップも充実。アクセサリー好きな方は手ぶらで帰れないと思う。