おならドームで考えた -文句なしにすばらしいんだけど-
立川のPLAY! MUSEUMで『谷川俊太郎 絵本★百貨展』。
谷川俊太郎、もう90歳なのかー。
これまで作ってきた200冊もの絵本の中の20冊を、クリエイター達との映像やインスタレーションなどの作品と共に展示している。
入ってすぐは、
「かっぱ かっぱらった」のケンパ。
もし自分がゴリラに生まれていたら、絶対に好きになっていただろうオサム。
でもオサムは子持ちゴリラなのだった。
「おならうた」
の、ドーム。微妙な黄土色。下の方ちょっと漏れ出している。
一部屋壁をぐるりと取り囲む『えをかく』の、長新太の挿絵。
谷川俊太郎の朗読がずっと流れている。
戦争と平和や
子どもの死をテーマにしたもの。
子どもの自死をテーマにした『ぼく』は、話題になった。
私はこの本、もろ手を挙げて素晴らしいと賞賛はできない。
できないけれど、こういう絵本が生み出されたこと自体はすごいなと思う。
個人的に好きな写真絵本、『うつくしい!』。
うつくしさに決まりはない。その人がうつくしいと思えば、それはうつくしい。
新作『すきのあいうえお』、田附勝の写真全点展示も楽しかった。スクリーンに現れる、五十音にちなむ色々な映像。「む」では谷川俊太郎本人登場。
人間をダメにする椅子に身体を預けて、壁一面の大きなスクリーンで『もこ もこ もこ』を楽しめる薄暗い部屋も。
堀内誠一画『ぴよぴよ』のヒヨコちゃん、会場のあちこちにいる。
谷川俊太郎は文句なしに日本を代表する詩人だろう。詩だけでなく、コミックスのピーナッツ・シリーズやマザー・グースなどの翻訳も手掛け、作詞も数え切れないくらい。
「ひとくいどじんのサムサム」や「空に小鳥がいなくなった日」のような、シュールで怖い歌も書いているけれど…
なんだろう?
なにかがモヤモヤする。
谷川俊太郎のことは、誰も悪く言わないし批判もあまり聞かない。教科書掲載も多い。
それがモヤモヤ、違和感の素なのか?
すばらしい詩や文だけれど、なんだかつるんときれいなままという気もするのだ。
色々考えてしまったけど、来館ノベルティはしっかり受け取る。
この絵本から。
なんだかんだ言っても、日本人のおそらくほとんどが、どこかでこの人の詩や歌詞などの作品に一度は触れたことがあるのだろうな…って考えると、やはりすごい人なのだった。