ここがあそこだったのね - 島尾家が暮らした洋館
水色のペンキが美しい旧尾崎テオドラ邸。
老朽化して2019年に取り壊されそうだったところを、漫画家の山下和美や笹生那実をはじめとした保存プロジェクトの尽力によって今年の3月に改修保存され一般公開されることになったという話は、色々なメディアで見聞きしていた。
築135年のこの古い洋館が昭和の一時期共同住宅として使われていた頃、潮田登久子・島尾伸三夫妻と娘のしまおまほが暮らしていたのだった。
ずいぶん前に写真集で見て、一体この家はどんなところなのだろうとずっと不思議に思っていた。
私にとっては「あのすごい一家」が住んでいたとんでもなくすごい建物。
玄関や廊下、階段はもちろんトイレ台所共同でお風呂はなく、居住スペースも建物の中の一部屋。
一家が実際に暮らしていた2階の部屋と、その隣りの部屋をギャラリーとして「Return to '78'- '85 洋館で暮らした私たち 島尾伸三+潮田登久子+しまおまほ」展が開催されている。
これは是非見に行かなくてはと、豪徳寺へ。
これまで写真集『マイハズバンド』や『まほちゃん』、潮田登久子の写真展などで見たことのある写真も多かったけれど、実際に一家がいた場所でそれらを見ると感慨もひとしお。
去年の2月に見に行った潮田登久子の写真展で展示されていた島尾家の私物の中にあった。
それにしても、島尾家の物持ちの良さには驚きを超えて感動すらする。
展示什器は引き出し式で、開けるとどの段にもしまおまほがちっちゃい頃のおもちゃや文具や工作、わけのわからない物がぎっしり詰まっていた。
私は物が多い生活は苦手で、家の中には極力物を置きたくない。そのくせ、物がぎっしりのよその部屋やお家を見るのは大好きで心が踊る。
以前雑誌で見た潮田登久子と島尾伸三の家、ダイニングキッチンもテーブルの上から壁から柱から色んな楽しい物が飾ってあって、ワクワクしながら隅々まで虫眼鏡で拡大して見た。
しまおまほの『ガールフレンド』という著書には、片付けられない話しが何度か書いてあったが、おばあちゃんやおばさんもそうだったらしく、物が捨てられなくてどんどん溜め込んでしまうのは祖母譲りなのだろうか。あれだけ物を手当たり次第とっておくというのは娘だけではなく、両親もそうしてたということなので、両家のDNA?
でも、そのおかげでこんなに素敵な展示が開催されてたっぷり楽しめたのだから、捨てられない島尾家、ブラボー!
旧尾崎テオドラ邸の1階には、元々の住人尾崎家の人々の写真。
その隣りの部屋は、重厚な家具に商品が並べられたショップ。
その奥は喫茶室。
島尾家の朝食を再現したという特別メニューのモーニングセットを頼んでみた。
スティックサラダ、パリッとした粗挽きソーセージ、ゆで卵、オレンジジュースに冷製スープ、クロテッドクリームとジャムを添えたスコーンと厚切りトースト。
素敵な洋館に相応しいけど、島尾家、こんなに贅沢な朝ごはん食べてたの⁈
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