かわいい大行進 - だけじゃなかった、太田じろうの世界展
「太田じろうの世界展」。
生誕100年を記念しての原画展は、都内2ヶ所で時期は少しずれるが同時開催。
集英社の「こばと幼稚園」に連載されていた『こりすのぽっこちゃん』、当時読んでいたわけではないのに、なぜかうっすらと記憶にあった。
ポスターやフライヤーの惹句「見て‼︎ このかわいらしさ!」そのまんま。原画見ると「なに⁉︎ このかわいらしさ!」と素直に感動。
表情もしぐさも動きもファッションや小物、建物もカラフルでキュート。
今回新たに発見されたぽっこちゃんの貴重なTV人形劇の映像も、秋葉原会場では視聴できた。
参考資料として会場に置いてあった同人誌によると、クッピーラムネのパッケージイラストの元絵にも関わっていたらしいが、その点について展示では何も言及はなかった。
東京オリンピックの時のお菓子パッケージは担当していたとあったが。
ディスプレイされていた「チロリン村とくるみの木」の絵本や粉洗剤の缶。この人形アニメは子どもの頃大好きだった。太田じろうがキャラクターのデザインをしたのか、人形劇を太田が絵におこして描いたのかは不明。
タイトル写真は「婦人生活」(婦人生活社)掲載の『こぶたのぶうちゃん』。
原画は今は残っておらず展示はなかったが、会場で復刻版のカバーを無料で配布していたのを頂いた。
幼児向けの絵本や漫画だけでなく、すもう漫画や学研の「まんが人物日本史」、伝記なども手掛けていて「あっ、これ読んだことある!」と記憶が蘇ってきた。
描画、墨の濃淡、彩色もとても美しい。
ものすごい数の作品群だが、デッサンや下絵等、何度も試行錯誤を経て作品を仕上げていたことがよくわかった。
いやー、ほんとにもうかわいい大行進だな〜と秋葉原のフォーラム・ダンク会場でホンワカしていたら、奥の方に意外なイラストが現れた。
太田は「リイドコミック」という成人漫画誌の表紙も描いていた。
自由閲覧の大きなファイルに入った原画の中には、エマニュエル夫人的なギリギリもちょっと越えたお色気が大行進。
ひぇ〜、こんな絵も描いていたのね。
でもさすがの画力。
ジャンルはバラエティに富み、生み出した作品も膨大でさぞ忙しかっただろう。
でも、フォーラム・ダンクで流れていた昔のプライベート映像の太田じろうは、子煩悩でずっと笑顔。
フォーラム・ダンクの展示は終了したが、森下文化センターは今月17日まで。
こちらの会場では「リイド・コミック」の絵は数点で、お色気は大行進していません。