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天才ってこういう人か
PLAY!Museumで堀内誠一展。
展示は三部構成。
ananやPOPEYE、BRUTUS、血と薔薇等雑誌のエディトリアル/グラフィックデザイナーやアートディレクターとしての仕事を集めたFASHION、
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絵本作家や挿絵画家としてのFANTASY、
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このコーナーは撮影可
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泣いてしまう『くろうまブランキー』
そしてその影響を受けた100人が語るFUTURE
が部屋ごとに現れる。
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「くろうまブランキー」、「ぐるんぱのようちえん」、「たろうのおでかけ」などは小さい頃に親しんでいたが、中学生の時に谷川俊太郎が翻訳したマザーグースに挿絵をつけた全5集の「マザーグースのうた」シリーズで、初めてその名前を意識した。この挿絵すごい!と驚愕。
子どもの頃読んだ絵本を描いていた人とわからないくらいバリエーションに富んだ多彩な挿絵が満載。
同じ人がananのエディトリアルを担い、当時の平凡社の雑誌のロゴも手がけていたと知るのは20代になってから。
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1987年に54歳という若さで亡くなった時は大きなニュースになった。
堀内誠一が編集した『絵本の世界 110人のイラストレーター』は私にとってバイブルだったし、『パリからの手紙』や『空飛ぶ絨毯』も隅から隅まで読んだ(当時は老眼ではなかったから平気で裸眼で読めたのだよなあ)。手描き地図がステキで、堀内が見つけた街のなんでもない風景や人物のスケッチが楽しい。
こんなのエアログラムでもらったら、宝物にしてしまう。
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『絵本の世界 101人のイラストレーター1、2』
堀内誠一 編集 1984 福音館書店
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1991 マガジンハウス
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『雑誌づくりの決定的瞬間
堀内誠一の仕事』
木滑良久責任者編集 1998 マガジンハウス
堀内の死後出た本で、カバー裏表紙、谷川俊太郎が
堀内に捧げた「幽霊 H・Sに」という詩が泣ける
本当に天才ってこういう人のことを言うんだなと思っていたので、逝去のニュースはショックだったけれど人の何倍何十倍もの作品を生んでものすごい功績を残すような人は、不謹慎だが凡人より早く神様に呼ばれるんだろうかとも思った。
単に絵が上手いだけではなくて、心から楽しんで描き、全体を正確に俯瞰する眼を持ち、先達への深い知識と敬意があって、人を喜ばせようというサービス精神に溢れていて、そしてとびきりおしゃれ!
去年の秋、図書館のおはなし会で好評だった堀内誠一作画の紙芝居。
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再話/絵 堀内誠一 脚本/堀内紅子
2019 童心社
堀内がフランスに住んでいた70年代に作った後に忘れられていた紙芝居の原画が2018年にパリ郊外の図書館で発見され、長女花子さんと次女紅子さんによって日本で刊行された。
紙芝居、おはなし会でよく読むけれどたまにアタタな画もあったりして正直言って玉石混交。でもこの『うみからきたおとこのこ』は50年以上前に描かれたのにモダンでおしゃれでクオリティが高い。さすが。
PLAY! MUSEUMの展覧会、2009年に世田谷文学館で開催された堀内誠一展と比べると内容の濃さでは物足りなかったし、ファッションのコーナーはananそのものに偏りすぎていると思った。子どもにも開かれている場所なので絵本にももちろんフォーカスしましたよ、という姿勢はわかるとして、あまりにも多岐にわたる業績が多すぎて全貌を展示するには限界があるのだろう。
でもPLAY! のゆとりのあるスペースや展示方法はユニークでいいと思う。
いつかここで南伸坊展をぜひお願いしたい。この方も私がマルチな天才だと思っている美術史家で文筆家で編集者で画家で漫画家で俳人で顔マネの巨匠。
タイトル写真は『ねびえ』毛利子来ぶん 堀内誠一え 1975 福音館書店 かがくのとも より