消えた町の上にピカピカの別の街ができていく - 麻布台ヒルズ
虎ノ門・麻布台ヒルズプロジェクト、もうなんだかすごいことになっている。
麻布台ヒルズの住居棟には3500人が住み、オフィスで働く人は2万人を想定、商業施設の他インターナショナルスクールも入るそう。
外苑東通り沿い、外務省飯倉公館の隣りの超高層、森JPタワーは9割がた出来上がっているのかな。
工事が始まる3年前。外苑東通りには、まだ郵政省飯倉分館が建っている。
プロジェクトの計画は今から30年前には既にあったらしい。
飯倉分館が取り壊され、広大な土地がむきだしに。
なんか高くなりそうなのが建ってきた。
でも、まだ東京タワーの存在感は脅かされていない。
増上寺側から見ると東京タワーの方がずっと高いみたいだけど、遠近法でそう見えるだけ。
てっぺんにはクレーンがあっち向いたりこっち向いたり。
まだまだ伸びますよーと、東京タワーの影をその身に映し出している。
上から見ると東京タワーを追い抜いていた。
完成したらJPタワーの高さは330mで東京タワーよりはちょっとだけ低いけれど、高台にあるぶんずっと高く感じる。
小学校の時の社会の教科書に「日本一高い、かすみがせきビル」(147m)ってあった。あの2倍以上の高さなのね。
タワーがすっぽりビルの中に。
麻布台の下の方にはガーデンプラザ。
低層でも圧倒的存在感のデザイン。
六本木ヒルズ東京シティビューで展示もあったヘザウィック・スタジオの、一体これどうなってるの?なビル。
奥まで龍の背中のように伸びている。
完成したら、CMやドラマのロケなんかにたくさん使われるんだろうな。
ヘザウィック・スタジオ、今をときめく建築デザイン集団だものね。
建築でこんなこともできるんだーと驚き、ヘザウィックのデザインかっこいいな、と素直に思う。
でもなー…。
麻布台プロジェクトの工事が始まる前、サウジアラビア大使館の先から坂道を下ると、我善坊谷という静かな住宅街があった。他にも落合坂や三年坂など起伏好きには魅力的な散歩道。
でも、谷にあった町は根こそぎ跡形もなく消滅。
ガーデンプラザのすぐ隣りには西久保八幡神社。
八幡様の後ろには霊友会。
桜田通りの反対側、飯倉交差点から東京タワーに向かって永井坂を上がると左手に聖アンデレ教会と、
すぐ隣りに聖オルバン教会。
その向かいにはフリー・メイスン東京メソニックセンターのロッジがある。
東京タワーの下には増上寺があるし、パワースポットと言っていいのかわからないけど、このあたりは色々な神様とかなんだかがひしめき合ってるような…。
飯倉交差点から外苑東通りをちょっと上がり、アメリカンクラブがある路地に入って突き当たりまで行くと、
都心とは思えない緑と静けさに包まれた奇跡のような場所。
ここは再開発の毒牙にかからないで残ってほしい。
飯倉片町交差点から飯倉公館の先までの外苑東通りの街路樹、プロジェクト工事前はガードレールに噛みついているスズカケノキが何本もあっておもしろかった。
でも、工事に伴いスズカケノキは撤去され、跡には新しくハナミズキの若木が植えられている。
今では噛みつきスズカケはパン屋のメゾンランドゥメンヌ向かいの1本だけ。
木も坂も町もなくなって、ツルツルぴかぴかのすごい街ができてくる。
ノスタルジーだけで語ってはいけないのだろうけど、人も町もなんでも「永遠」なんてないのだな。