ウェス・アンダーソンじゃないけどウェス・アンダーソンの世界
行こうかどうしようか迷っていた『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』。
去年韓国で開催された時は大人気だったそう。
ウェス・アンダーソンは好きだが、そもそもこれはウェス・アンダーソンの展覧会ではない。
そして、展示内容は既に本で見て知っている。
さらに、個人的な意見だが2000円のチケットは高い、ような気がしていた。
展覧会の元になっている本のことは、以前にも書いた。
"Accidentally Wes Anderson"、頭文字AWAは、ワリーとアマンダという夫婦が2017年に始めたインスタのコミュニティ。
いかにもウェス・アンダーソンの映画に出てきそうな世界中の風景を、いろんな人たちが撮影し投稿した作品群。ウェス・アンダーソン自身も「実際、ぼくが撮りそうな写真だ」と認めている。
期せずして?うっかり?たまたま?ウェス・アンダーソンっぽいのが撮れちゃいました的な写真がたくさん。
パステルカラー、往々にして左右対称、ノスタルジック…そんな特徴を持つ建物や風景、駅、プールなど。
見ていてどれも楽しいので、やっぱり行ってみようと決心。でもチケット高いから交通費や飲食費はかけませんよ。家から往復徒歩(片道1時間半)、コーヒー入れたサーモスとおやつのクッキーと苺を持って。
会場は寺田倉庫G1ビル4階。
殺風景な受付から上にあがると、いきなりパステルカラー。
展示内容は写真も解説も本と同じで、図録を先に見てから実際に展覧会に行ったようなものだなと最初思ったが、構成は本とは違う切り口。
本では撮影された地域ごと(カナダ・北米とかイギリス・北ヨーロッパとかアジアとか)に編集されているが、ここでは旅の体験にフォーカスして、部屋ごとにテーマが変わる。
キーワードは「Mind the Gap」、「Check in, Please」、「Cities to Explore」とか色々。
まず前に旅した時の思い出のアルバムを見て、新たな旅へ出ようという原動力にしましょう、と。そしていざ、旅へ。駅から電車に乗ったり船に乗ったりして車窓の風景を楽しみ、各地の素敵なホテルにチェックイン。
荷解きしたらプールで泳いだり、市街地を歩いたり、望遠鏡から景色を眺めたり、自然を満喫してリラックスしたり。
みたいな流れで構成されていた。
オハイオ州にあるマリーズ・チョコレートの円筒形タンク。本に載ってる写真はタンクだけで、空の雲も違う。ってことは、これは新しい写真?
このピンクと水色はほんとにかわいい。
ピンクとブルーだけをまとめたコーナーも。
おしまいの部屋は「Visiter Center」。設置してあるPCで行きたい場所を選んでアドレス登録すると、スマートフォンに本展特製ボーディングチケットが送られてくる。
行き先は本の表紙にもなっている、ホテル・ベルヴェデーレがあるスイスにしてみた。
というわけで、本とは異なる構成がとてもいいと思ったし、新しい発見や気づきもあったので「なんだ、全部本で見たことあるのばっかりじゃん、つまらん」とは全くならなかった。
時おり聞こえてくる、見に来ている若い人たちの会話も楽しかったし。
写真さあどうぞ撮って下さいと、まさに「Photography Encouraged」。
ワリーとアマンダの旅の動画もおもしろかった。スコットランド、行きたい。
今後『ウェス・アンダーソンすぎる風景みつけたコンテスト』もやるそうで、A. 左右対称の構図であること B. パステルカラーが強調されていること C. はっきりした模様があること の3つのうち少なくとも1つを満たした写真を撮影して応募するらしい。
応募するかどうかはわからないけど、帰り道、天王洲運河から高浜運河沿いの水辺の遊歩道で探してみた。
ところで、本物のウェス・アンダーソンの新作は今年の夏日本公開予定の『Asteroid city』。
「人生の意味における詩的な瞑想」って紹介は意味不明だが、おなじみのキャストに加えてトム・ハンクスとマーゴット・ロビーも初参加らしい。
楽しみ。