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占い師の身の上話

母は占いや迷信をすぐに信じるタイプ。子どものころそれにさんざん振り回されたので、反動で私はそういうものを信じなくなった。
手相をみてもらうとか、占ってもらうとかも親元を離れてからはしたことがない。
例外はNHK0655のたなくじと、こども用おみくじのたぬくじ。毎週月曜日朝にiPhoneで引いている。
おみくじと占いはちょっと違う?

先週月曜日。こういうくだらない御託宣は好き
今週月曜日。
たなくじはしょぼいのしか引けない


たぬくじスリー1億円揃った!
金運アップだ!


前回のnoteにも書いたが、2月後半から我が家では不運が続き、な〜んか最近シケている。
ひげ太夫のお陰で気分的には一旦盛り返したが、全ての問題が解決したわけではない。

そういうちょっとココロが弱っている時だったせいか、ま〜時間もあるしいっちょ占ってもらうか、という気持ちに。
場所は献血ルーム。

月一回成分献血している都内の献血ルームでは、献血後のサービスの一環でたまに占いをやっている。
タロットとか手相とか、ロビーに何時から何時まで占いやってますの看板が出ていても、興味ないのでいつもはスルーしていた。
占いよりおやつをもっと充実してくれないかな〜などと考えながら。

でも、その日はたまたま自分が献血終わってアイスタイム?ベンチタイム?献血後めまい防止などのためおやつ食べながら強制的に休みを取らされる時間帯に、占いの予約枠が空いていた。
献血中に今後のことなどつらつら考えていたこともあり、ついフラフラと占いの予約を入れてしまった。

ロビー奥に通され、まず生年月日を聞かれる。
占いに全く詳しくないので何という占術だったかもよく覚えていないが、なんとか術?
占い師さん、「あらっ、同い年!」とうれしそう。
その後はひとしきり褒めタイム。
「グレイヘア、すてきですね〜。私はまだどうしても染めてしまって」
「なんかアスリートって感じで身のこなしが同い年とは思えませんね」
等々。

白髪はグレイヘアと言い換えれば便利な褒め言葉に。
「部活帰りの中学生」風、いつでもどこでも走れる服装の63歳にアスリートは持ち上げすぎでしょう。
こういう褒めタイムのリアクションでお客の個人情報を引き出して、そこから悩みを推測したり適切なアドバイスをしたりという手段は占いに疎い私でも知ってるぞ、となるべく自分のことペラペラ話さないよう気をつけ、目下の心配事も話さなかった。

その後分厚い本とか手書きの研究ノートみたいなのを繰って、割り出した結果をいくつかの漢字にして見せられたのだが、その字が模様にしか見えず全然読めない。
解説によると、私は頑固で一本気で頑張りすぎ。一人で突っ走らずもっと人に頼ること、とのこと。

う〜ん、頑固と言われればそうかもしれないが、けっこう人の意見に流されるところもあるんだけどなあ。
ランでは突っ走るけど、自信のない事はすぐ人に頼りますが。
当たってるんだか当たってないんだか微妙。

今年気をつける事に関しては、「脇を締めて騙されないように」と。
「え!てことは、なんか騙されるような事が起きるってことですか?」と聞くと、
「いえ、こういう不安定な時代ですから、常に注意しておくにこしたことはない、みたいに捉えて頂ければ」とのお答え。
どこまでも微妙なのだった。

ぼんやりした結果しか聞けなかったので、ひとつアドバイス的な事でも聞いてみようと、ここで初めて自分から悩みの一つ、老母を今後どうするか問題について話した。
すると、同い年だけあって占い師も似たようなことを経験済み。そこから「ウチは母が先に認知症になって、父がその世話で大変だったんですよー」と身の上話が始まった。
介護の苦労や施設に入るまでとその後など、語る語る。
もはや占いではなく60代おばさん同士の老親問題トーク。
結局アドバイスは特に聞けずお時間となり終了。

適当な御託宣をペラペラ喋って相手を不安に陥れたり決めつけたりする、私が苦手なタイプの占い師ではなかったけれど、占って貰えた感は非常に希薄だった。
推測だけれど、「ぜひ占ってもらいたいんです!」熱が無く、元々占い信じてないし〜的な私の態度を察知しての対応だったのかもしれない。
真剣じゃないお客さんにはそれなりの占い方しかしませんよ、みたいな。
自業自得。
とりあえず今年は脇は締めておこう。

占いや迷信好きの母に昔振り回されたと書いたが、何となく好きだった迷信もあるのだった。

外出しようとして服のほつれに気付き、着たまま急いで玄関先で母に繕ってもらう時、縁起の悪い着針行為を帳消しにするために、縫っている間ずーっと「庄屋どんの通夜行き、庄屋どんの通夜行き」と呟くこと。(急に庄屋さんのお通夜に行くことになっちゃったから、着たまま綻び繕うのもしょうがないのよーって意味?)

それから、これは猫をたくさん飼っていた母方の祖母の家でのことだけれど、行方不明になった猫が帰ってくるおまじない。
「待つとし聞かば今帰りこむ」と中納言行平の下の句を書いた短冊を逆さに柱に貼って、その下に猫のごはん皿を伏せて置いておくというもの。
こういうおまじないは誰も傷つけないし、遊び心があってちょっと楽しい。


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