医学部やめるやめる詐欺、再び。
経緯
2023年11月から2度目の臨床実習に参加していたが、再び体調を崩して継続不可能となった。現在は学校を欠席しており、来年度は休学することにした。
今回は週に3日ほど出席しながら1か月間参加し、このペースなら実習を完遂できるのではないかという希望も出てきた。しかし、冬休みを挟んだにもかかわらず体調が回復していなかったらしく、年始に登校した際にこれまで以上に悪化してしまった。
前年度と比較してもかなり頑張ったと自分でも思っている。週3回に限定して出席すること、欠席や早退に罪悪感を感じないことを眼前の目標とした。病気だから、主治医が言ったから、を言い訳に使うよう心掛けていた。
しかし班員との折り合いが悪かったこともあり、学校へ行きたくないという気持ちが強くなってしまった。精神的にも体力的にも、実習を続けるべきではないと考え主治医に相談し、しばらく欠席することになった。
辞めるよ(辞めるとは言ってない)
休学の選択をするのは今回で3回目である。
1回目は元気になって復学し、大きな問題はなく卒業できるだろうと思っていた。
しかし集団生活に苦痛を感じるようになって以降、学校や大学病院で過ごすことがつらくなった。実習に参加し続けること自体が難しくなったのだ。だから2回目に休学するとなった時、もう実習には戻りたくない、卒業できなくても別の道があると考えていた。
休学するとある程度元気になるもので、1年も経つと「これだけ元気なら実習にも行けちゃうんじゃないか?」と思ってしまう。そうして今年度は復学してみることにした。昨年度は1週間で諦めてしまったけれど、サボりながら参加すれば続けられるかもしれないという案もまだ試していなかったから。
頑張ってみた結果は、再度休学するという残念なものだった。しかし復学してみたことで、臨床実習という環境は自分に合っていないと納得することができた。だから前回より未練なく医師への道を去る心持ちになった。金銭的援助をしてくれた親には申し訳ないが、有難いことに理解してくれた。
臨床実習の現実
医学科は4年生前期までの4年半で座学、そこから2年間で臨床実習をおこなうカリキュラムとなっている。普通、座学の試験にクリアして臨床実習が始まれば、あとは実習に適度に出席しておけばよい。もし出席が十分でなくても、臨床科からなにかしらの救済措置がおこなわれる。よって、臨床実習で単位を落として留年するという話はまずない。
医療関係者以外の方はよく「臨床実習は忙しくて大変だ」と考えておられるが、それは大きな誤解である。
前提として、学生の多くは「国家試験に合格して医学部を卒業できさえすればいい」と考えている。学生にとって臨床実習に参加する意義とは、卒業の要件を満たすことなのだ。だから、教授に怒られない程度に出席さえしていればよくて、さほど真面目に実習に参加する理由がないわけである。
実際に臨床実習は忙しいのかと言われると、それも間違っている。
そもそも実習は夕方5時に終了することになっている。実習内容は各臨床科に委ねられているのだが、教育に熱心でない科では学生を放任することがある。要するに学生は暇を与えられるのだ。こういった診療科の期間はとりわけ忙しさとは無縁である。
ただし、臨床実習は拘束時間は非常に長い。
これには2つの要因がある。
1つ目は、外科手術の見学を強いられることだ。
見学は大事だと思われるかもしれないが、これがほとんど勉強にならない。
術野の近くには執刀医や助手、看護師がおり、学生は遠巻きに覗き見ることしかできない。それに手術中の先生は学生に悠長に説明してくれるわけではないし、student doctorには何もさせてもらえない。何もわからなず退屈まま、短い手術でも3時間、長ければ10時間立ちっぱなしでいる必要があるのだ。
2つ目は、学生が蔑ろにされていることだ。
臨床医は患者の診察や手術をすることが主な仕事だ。その片手間に学生を指導しなければならない。そうなると、学生のことは後回しにされがちなのだ。
例を挙げると、約束の時間に遅れてくる、連絡が取れない、ちょっと待っててと言われる、予定が急に変更になる、など。細かい話かもしれないが、この扱いが2年も続くと嫌になるのは当然だろう。
話を戻すが、学生は臨床実習に適度に出席し、多少の理不尽に耐えておけば問題なく卒業要件を満たせるわけだ。多くの普通の学生にとっては大した苦痛ではない。
出席の難しさ
とはいえ、それは普通に健康な学生の話だ。
私のような事情を抱えた人間が臨床実習で躓いてしまうことも、年に1, 2件はある。
それでは臨床実習の何が鬼門なのだろうか。
私にとってなにより難しいのは、出席することである。
出席するのが困難、というのは想像しにくいかもしれない。「椅子に座っているだけでいい」と言われても、その椅子に辿り着けないという状態だ。なぜそんな状態になってしまうのか。
端的に言うと「体が言うことを聞かないから」である。
朝起き上がれないのも、歩くのが極端に遅いのも、訳もなく泣いてしまうのも、病院という環境を受け付けないのも、すぐに疲れてしまうのも。
体が学校に行くのを拒否してしまうのだ。
人間は95%が無意識に支配されているという。例えば心の大部分が不安を抱えている時に、自分で自分に大丈夫と言い聞かせても効果は少ない。「気持ちの問題」で片づけられるのはたった5%程度に過ぎない。
意識は学校に行かなければと考えているのに、無意識は体を動かすまいとする。無意識は自分を守るため、休ませようとしてくるのだ。ある意味、生物としては正常な防御機能だ。その結果、社会生活を離脱せざるをえなくなってしまうらしい。
これから
休学期間が始まる時点で、かなり体調は改善している。
今後はアルバイトをしながら資格試験の勉強に励むつもりだ。
これまでは医師免許という強大な国家資格を前提とした学生生活を送ってきた。しかし医師になるかどうかわからない今、他の進路を探す必要がある。
そこで気が付いた。普通の就職をするには、能力を証明するものが必要だ。
大学中退・資格ゼロの状態で、納得のいく企業に就職できるとは思えなかった。
そういうわけで、現在は様々な資格試験に挑戦している。今年1年は資格の年にするつもりだ。以前記事にした税理士の資格も、いずれ取るかもしれない。資格試験についてまとめた記事を今後出す予定なので、乞うご期待。
税理士になろうとした時の記事がこちら
そうだ、医学部やめて税理士になろう!|もな (note.com)
うつ病史
2020年 11月 大学の試験勉強が手に付かない
2021年 4月 精神科の通院を開始
9月 休学(1回目)
2022年 4月 復学
7月 座学の履修終了
10月 CBT・OSCEに合格
11月 臨床実習開始するも1週間でギブアップ
2023年 4月 休学(2回目)
11月 復学
2024年 1月 臨床実習ギブアップ
4月 休学(3回目)
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