多田李衣菜を担当する理由
2017年3月、デレステをプレイし始めたと同時に、私は多田李衣菜というアイドルに出会った。それは私にとって大きな人生の転機で、こういうのを「運命」という言葉で表現するのだと思っている。
私の思い出の大半はTwitterに残っているのだけど、2017年時点で私は完全に別界隈にいたので、あまりデレステの話を書いていない。だから記憶の整理と記録を兼ねて書いてみようと思う。
ちなみに、今回のお話では、中の人(推し)の話はしません。青木瑠璃子さんを知ったのは多田李衣菜がきっかけではあるけど、決してそれだけが理由ではなくて、その話をするとごちゃっとするので。
デレステを始めた理由は、精神的に病み始めていた自分が逃げるためのゲームが欲しいというもので、決して健全なものとは言えなかった。とにかく一瞬でも現実から逃げられればそれで良かったから、正直に言えばデレステにこだわりがあったわけではもなかった。
ただ、ニコニコ動画で育った私にとって、ある意味アイマスは身近な存在で、まだアニメも見ていなかったけど765ASのアイドルの名前は全て把握していた。そういうわけで、非公式ではあるけれどアイマスに触れてはいたのである。
だから、何か新しくゲームを始めるにあたって、アイマスについては多少の土台ができていたから、ちょっとハードルが低かった。あと、Twitterのフォロワーには既にプロデューサーさんが結構いたりして、情報も割と流れてきていた。そんでもって、CMでSMAPの中居くんが出てたりとかでインパクトもあって、「いまアイマス始めるならシンデレラなのだろうか」とか思った。直近のアニメもシンデレラだったしね。それがデレステを始めた理由。
実を言うと本家モバマスも遥か昔に一瞬登録だけしていて、データが残っていたのだが、2017年時点でポチポチゲーをやるのはちょっと……という気持ちがあったことと、私のアイマスの入り口として大きな役割を担ったのが音楽の部分だったから、音ゲーは十分に選択肢になり得たのである。
めちゃくちゃ長い最初のインストールを終えて、私はとりあえずガチャを引いてみることにした。シンデレラはアイドルが多いから、事前に決めうちで担当を決めるのも難しかったので、まずはぶっつけで「やってみるか」という感じ。リセマラという概念も考えてなかったから、チュートリアルを終えてひとまず単発で引いてみる。
その時、出会ったのが多田李衣菜というアイドルでした。
初対面の印象……これは「かわいい」でした。
私はボーイッシュ寄りのショートカットの子を好きになりがちなので、包み隠さず言えば、「めっちゃタイプの子だ」という感じ。この時は全然どんな子なのかも知らなかったから、ガチの第一印象は「かわいい」が強かった。
とりあえず、最初に来てくれたSSRというのもあるし、担当にするかどうかは別として編成に組み込んでみるかね、と。
そしたらこの子、「ロック」がどうとか、明らかにライブを意識したセリフとかを言ってくる。あれ?なんか思ってたのと違う……??
まあ、なんにせよ、もっといろんなアイドルを見て、そうして担当を決めていこう。だからとりあえず、もう一回単発で回してみよう……。
光り輝く封筒。私、めっちゃ運良いじゃん。
で、あらわれたのが………
ダブった!!!!!!!!!!!!
ゲーム初めて2回単発ガチャ回して、同じSSRを2枚抜きすることあります??????
今より圧倒的にSSRの種類が少なかったとはいえ、ピックアップでもなかった時だし、正直バグか何かだと思った。
でも、そんな僅かな確率をすり抜けて自分の元に来てくれたわけだし、これは「運命」なんじゃないかなぁとか思い始める。
なら、もっとこの子のことを知りたい。ちゃんと向き合って本気で担当したいと思えるか考えたい。
そう思って、李衣菜のコミュを見たら、もともと歌手志望で、アイドルを目指しているわけではない……と。
本家デレマスも含め、自分でも色々調べてみる。
ロックが好きで、とにかくロックに憧れがある。そのくせ、ロックがなんなのかよく分かってなくて、「にわか」だとか言われている。でも、ロックに対する想いは本物で、まだまだ道半ばのようだった。
なるほど、話が変わってきた。
この2017年付近、私自身もとにかくたくさんのCDを借りて、洋楽とか色々聴いたりしてカッコつけたりしていたから、「これで俺もロックを完全に理解したぜ」…………となるはずだったのだが、実際はよく分かっていなかった。要は、私自身も「にわかロック」だったのだ。
そして、李衣菜はその「ロックとは何か?」というある種の哲学に近い追及をしようとしている。それはカッコつけが始まりかもしれないけど、とても真摯で、ロックに憧れる少年・少女の誰もが通る道で、決して恥ずべき「にわか」ではない。私もロックを追い求める途上にいて、李衣菜も同じ。
アイドルをステージで輝かせるのがプロデューサーの仕事だけど、私は多田李衣菜とともに「ロックとは何か?」という問いの答えを追い求めたいと思った。
どうやらこの子は、想像以上に自分の元に来るべくして来たのだと確信し始める。
イメージ通りな「ロック」なキャラはいるし、ギターを弾けるキャラだっている。
でも、李衣菜はギターを練習している最中で、私から見た彼女はまだ「ロック」を目指す「普通の少女」だった。ならば、私は多田李衣菜を担当して、私と彼女が作り上げる、私たちだけの「ロックなアイドル」としてステージに送り出してあげたいと思うのでした。
そして、多田李衣菜に感じた魅力がもう一つありました。
「ロック」という言葉から連想されるのは曖昧なものが多いけど、形としてイメージしやすいのは、ライブハウスでギターを弾きながら歌う……だと思う。
それは間違ってないと思うけど、私が思うロックの理想形は、いわゆるスタジアムバンドみたいな、とにかくでっかい箱で、ボーカルが縦横無尽にステージを駆け回って客を煽り、10万人近いファンが一つになるやつ。まるで世界の中心がそこなんじゃないかと錯覚させるようなパフォーマンスを見せつける。
私はそれを目指して進んできたポルノグラフィティで育っているから、自然にこの思想が刷り込まれていた。もちろんギターを弾きながら歌うことはあるけど、それが全てではなくて、でっかいステージを端から端まで使うのは、限られた者にしかできない「才能」の類だと思う。誤解を恐れず言えば……ギターを持てば誰でもカッコ良く見えるけど、ハンドマイク1本で熱狂させるのには才能がいると思っているのです。
そして、多田李衣菜はそれをやれる才能があると思った。
いくつかそれを感じる要素があって、彼女に似合うのはメタルのような重低音ではなく、J-POPが内包する軽快なロックサウンド。薄っぺらく言ってしまえば「大衆向け」なのだけど、J-POPというのは異質な文化で、どんなジャンルでも取り込んでいけるアメーバみたいなものである。
ロックなアイドルを目指すからには、ロックがベースにはなるのだけど、でもそこに何を乗せても違和感がないというのは大きな武器で、「Twilight sky」を聴いた時、これは大きな箱で背負うにふさわしい曲だと思ったし、「Sparkling Girl」はポップ感が強めでライブで一気にボルテージを上げられると思った。
あと、色んなカードから様子を伺ってみると、李衣菜はライブ中の煽りがかなり上手いというか、お客さんとステージを作り上げるのを自然とやれているのがあって、これは間違いなく才能。
彼女のロックはまだ何色にも染まっていないし、小さくまとまる必要もない。
私が考えるロックと、李衣菜が考えるロック。2つを掛け合わせて、一緒に最高のロックを作り上げたい。これが私が多田李衣菜のプロデューサーをやっている理由です。
李衣菜のプロデュースを始めてからというもの、「これじゃ李衣菜に顔向けできないなぁ」とか、自分の信じるもの(=ロック)を曲げたら李衣菜のプロデューサーとしてふさわしくないなとか思うこともあります。何かを決断する時、一歩を踏み出す時、李衣菜の顔が見え隠れする。知らないうちに、李衣菜が自分に与える影響も出てきているのです。(だから、プロデューサーとアイドルと言いつつ、上下の関係じゃなくて、限りなく横の関係に近い気がする)
やっぱり、あのとき自分の元にきてくれたのは運命なんじゃないかって思う……シンデレラ的にも、私の状況的にも、李衣菜に出会ったのがあの日じゃなかったら、こんなにも李衣菜と”一緒に”進みたいとは思ってなかったと思うから。誰かが言ってた「運命は必然という偶然でできてる」という言葉を借りたい。
少しずつ、李衣菜が目指すロックと、私が思うロックが形になる瞬間があって、その度に「多田李衣菜のプロデューサーで良かった」と思えるのです。
まだまだ私たちのロック探求は終わっていないんだけどね。というか、多分永遠に終わらなくて、ずっとずっと一緒にロックを探し続けたい。
I love you because you are you.