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サッカー"シメオネ選手の話"

サッカー日本代表の初のW杯出場がフランスであったとき、初戦はアルゼンチン。次にクロアチア、そしてジャマイカだった。日本はほとんど何もできずに、ただ海外との力の差を痛感させられた。

しかしようやく、あのワールドカップに歴史的参加を果たした。
タダでは帰れないから、4年後にこの悔しさを何倍にも返してやろうと思った人はわたし以外にもたくさんいたはずだ。

その最中、日本に圧倒的に勝って決勝トーナメント入りしたアルゼンチンがイングランドと試合をしていた。

イングランドには若きスーパースターのデイビッド・ベッカムがいた。
彼には今でもわかるように当時から、天才的なフリーキックと絶妙なクロスボールで敵ゴール脅かすことのできる存在だった。しかしこの時まだ23歳の若き青年だ。ここにアルゼンチンチームの“仕事人“「シメオネ」が立ちはだかった。

アルゼンチンとイングランドの試合は先にアルゼンチンが開始早々ゴールを入れるが、キャリア最高潮の働きを見せていたオーウェンが、素晴らしい動きで2点返し逆転していた。しかし、前半終わり間近でアルゼンチンが1点返す。2-2の同点。
お互いにギリギリの緊張感で試合をしていた。

その後すぐにベッカムが倒れていた。
実はプレイ中幾度となくベッカムの苛立ちを募らせるようなプレイをシメオネがしているのがわかった。“反則“ではなく、上手くわからないように。
これはアルゼンチンや南米のチームではよくあることで、彼らはそれを心得ている。
それをしなければ、南米の競合チームの中では生きてこれないからだ。
若いベッカムのプレイを乱れさせるのにそれで、充分だった。

後ろからのプレスで転ばされたベッカムはうつ伏せに倒れ込んだ。
そこで彼はとうとう報復に出た。これがシメオネの狙いであった。
倒れてすぐ足でシメオネの膝を引っ掛けた。
これを近づいていた審判に見られてしまった。蹴ったに近い。
倒れ込んだシメオネは「嘘だろ!!」と言った表情だった。策士だ。
審判はその一部始終を見ていた。そして判断。報復したベッカムにレッドカード、退場を命じた。

ワールドカップのそれも大事な決勝トーナメント初戦。
まだ後半丸々時間は残っている。イングランドは10人で一人足りない状態で戦う。
勝てたとしてもベッカムは2戦は出れない。
最悪のシナリオだった。
リズムを狂わせるよう仕組んだのは、シメオネだったと思う。

この時のことでベッカムが本国で大バッシングを受けたみたいだ。
それはそうかもしれないが、彼は狙われた。
シメオネがうますぎたのだとわたしは思う。

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