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#33 【峠探訪】三ヶ根山/三河湾スカイラインと甘いもの 愛知県岡崎市・蒲郡市・西尾市あたり【ツーリング】
冬のツーリングには少し覚悟がいる。というより、ちょっと気合がいる。気温が低いことは当然として、問題はその「低さ」が常に一定ではないことだ。朝の寒さに身を縮めていたかと思えば、昼過ぎにはヘルメットの中がうっすら蒸れてきたりする。そんな気温差のトラップに翻弄されるのも冬ツーリングの醍醐味と言えば醍醐味だが、まあ、普通に寒くない方がいいに決まっている。走れるだけマシでしょ、と言われれば何も返す言葉がないけれど。
それでも今日は、なんとなく「走れそうな気がする」気温だった。決して暖かいわけではないが、冬らしい北風がやや手加減している。こういう日を逃すと、次にまともに走れるのはいつになるかわからない。事実次の日の予報は小雨。だから、行くことにした。
とはいえ、無謀に北上するほどの情熱は持ち合わせていない。無理はしない主義である。夏には暑くて絶対に走らない太平洋沿岸のルートを選び、久しぶりに三河湾スカイラインと三ヶ根山スカイラインを流すことにした。目的は単純明快、リハビリがてらのワインディングと、ついでに美味いものを探すことである。
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愛知県は全体的にそういう傾向がある気がする。
期待は裏切られるものだ
とりあえず、スカイラインを走る前に腹ごしらえをしておこうと、山中の県道沿いにある「ここ数年で出来た風」のカフェに立ち寄った。店構えは悪くない。バイク用駐車場を店前に、車用は少し離れてところにあるところも好感が持てた。いや、むしろ期待させる雰囲気だった。ツーリングマップル的に言えば「雰囲気のあるカフェ」だ。
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しかし、まあ、そういう店が必ずしも「当たり」であるとは限らない。むしろ、期待値が高すぎるとだいたい外れるのが世の常だ。
で、案の定、ちょっと期待したほどではなかった。いや、誤解しないでほしい。決して「不味い」わけではない。きちんとした食事だった。たぶん、店の人は誠実に料理をしているのだと思う。ただ、なんというか、僕の心のどこかにある「ツーリング飯としての食ったった感」がそこにはなかった。それだけの話だ。
まあ、新規開拓を続けてるとこういうこともある。お店の名前は伏せるが、繁盛はしていたので問題があるとすれば僕の方にあるだけなのだろう。
甘いものでリカバリー
このままではツーリングの満足度が下がるので、口直しに三ヶ根山スカイラインを走った後、馴染みのジェラート屋に向かうことにした。こういう時、確実に「美味いもの」がある場所を知っているというのは心強い。
三ヶ根山スカイラインはR1に乗ってた15年前以来。
然程広くも無く、当時も舗装状態はそこそこだったが大きな印象の変化は無く、ちょこちょこ廃墟が並ぶやや裏寒い雰囲気も変わらない。山頂から三河湾の見晴らしは良いものの、曇り空で爽快とは言えない。そうそうたるA級戦犯となった面々と数々の旧軍部隊の慰霊碑が並ぶのであれば、せめて陰鬱な廃墟は綺麗にしておいてほしいものだ。
ただこんな裏寒い冬でも凍結もなく走れるスカイラインは貴重ではある。通行料金は280円なり。
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@三ヶ根山スカイライン 駐車場
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ジェラートでととのう
三ヶ根山を降りて半年ぶりに訪れたその店は、相変わらずのクオリティだった。お気に入りのピスタチオジェラートとはちみつゴルゴンゾーラジェラートを注文し、濃いエスプレッソをダブルで添える。スプーンですくって口に入れると、ナッツの香ばしさと濃厚な甘さが、さっきの「ちょっと期待外れのカフェ」の記憶を一気に洗い流してくれる。エスプレッソの苦味と相まって、これがまた絶妙なバランスなのだ。
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手書きのメニュー
店主のこだわりが垣間見える。
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「ツーリングにおけるリカバリーは、甘いものに限る」という、何の役にも立たない自論を再確認しながら、店の外のテラス席でジェラートを食べる。冬の空の下、冷たいジェラートを食べるというのも一見矛盾しているようだが、実際のところは何の問題もない。
流すだけのスカイライン、そして甘味で締める
海沿いで少し気分を落ち着かせた後、広域農道と三河湾スカイラインを流すことにした。別に攻めるわけではない。ただ、道に身を任せ、エンジンの回転を感じながら走るだけだ。こういう「走ること自体が目的」という時間は、バイクに乗る者にとっては何にも代えがたいものがある。尚三河湾スカイラインは東半分が道路補修のため長期通行止めになっている。地域生活の利便性も薄そうなレイアウトなのでおそらく後回しにされそうである。通行可能な西半分もこちらは無料であるが、舗装の荒れ具合もそれなりといった具合。探り探りの走りとなる。
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ところどころスピードバンプがあるのでご用心
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まあ真冬にこういう道が走れるのは貴重
とはいえ、走り続けるだけでは冬のツーリングは寒さに押し負けてしまう。だから、最後の締めとして、岡崎の老舗洋菓子店に向かうことにした。
ここも、期待を裏切らない店だった。店内に入ると、ほんのり甘い香りが漂っている。選んだのは、りんごのシブーストタルト。メレンゲ含みの淡い甘さのカスタードとタルト生地の間にほんのりジャム状のりんごが仕込まれている。軽い口溶けにあっという間に平らげる。
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中で食べることができる。
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寒い季節にバイクに乗るのは、決して楽なことではない。だが、こういう時期に走るからこそ、普段は走らない近所の新しい店を開拓したりすると、意外な発見があったりする。
今回のツーリングで新規開拓した店は、二軒。うちリピートしてもいいかなと思ったのは一軒だけだったが、それでも「家族サービスに使えそうな店のストック」は確実に増えた。こういう積み重ねが、後々活きてくる。たとえば、何気なく「この間行ったカフェがなかなか良かったよ」と言うだけで、家庭内での自分に対する評価が若干プラスに傾くことだってあるーーかもしれない。
まあ、そういう目的と割り切れば、冬のツーリングも悪くない。
それに、甘いものは裏切らないのだから。
でも1人ツーリングのメシはもう少しB級に振るべきかな。。