#4 なぜオートバイなのか③あるスコットランド人女性ライダーの証言
Youtubeにとても素敵な動画があったので、内容を翻訳して紹介したい。スコットランド に行ってみたくなった。
恐れを直視しなければならなかった。ただそれを乗り越えた先に何か価値のあるものが待っていることを知っていたからだ。そして実際、その通りだった。
わたしはグラフィックデザイナーでイラストレーターだ。スコットランドの西海岸に生まれ育ち、今はシドニーで暮らしている。わたしにとってバイクに乗ることは、一種のマインドフルネスだ。人によってはヨガや日記を書くことが心を落ち着ける方法かもしれない。でもわたしにとっては、バイクに乗り、風景に集中し、目の前の瞬間に完全に入り込むことが、頭の中の雑音を止める唯一の手段なんだ。
バイクに乗っているとき、ほかのことを考える余地はない。それがわたしにとっての救いだ。そして面白いことに、始めた頃は不安の元だったバイクが、今では不安を癒す存在になった。神経が高ぶり、パニックが迫ってくるような時でも、バイクにまたがり走り出せば、すぐにその重みが消えていく。わたしにとっては瞬時のセラピーであり、長期的なメンタルヘルスの解決策でもあったんだ。
他のライダーたちも、自分の心の健康について意外とオープンに話してくれる。バイカーというと、どこか無骨でクールなイメージがあるけれど、実際にはそれぞれが自分なりの心の葛藤を抱え、それに向き合っている。わたしが知る限り、彼らはとても親切で支え合う人たちだ。
スコットランドの丘陵や山々を駆け抜けるとき、たとえ短い間でも、まるで映画の主人公になったような気分になる。バイクと自分、そして周りの風景だけがそこにある。単に集中するというだけでなく、コミュニティのつながりもまた大切だ。わたしはスコットランドを走りたいと願っていたけれど、ここに知り合いは一人もいなかった。それがバイクのおかげで、わたしは多くの仲間と出会うことができたんだ。
特にパンデミックを経て、エディンバラではライセンスを取る人が増えた。彼らは自由を求めていたんだと思う。エディンバラに来て誰も知り合いがいなかったとしても、バイクを手に入れることで一気に友人の輪が広がる。それがバイクコミュニティの魅力だ。さらに世界中でつながれる安心感がある。たとえばスペインのライダーたちを知らなくても、彼らとオンラインでつながることができるし、彼らのガレージを訪れれば必ず助けてくれる。
後半:グループインタビュー
「バイクに乗ることは、最高の精神的な逃避手段だ」とわたしはいつも思う。エンジンの振動、風の冷たさ、景色の美しさ、そのすべてに集中することで、心が解放される。まるで瞑想のように、降りたときには生気とエンドルフィンに満たされるんだ。太陽の中を走る日も、土砂降りの中を走る日も、ヘルメットを脱いだ瞬間、みんなが笑顔になる。それがバイクの持つ不思議な力だ。
わたしにとってバイクは血の中に流れているものだ。祖父はマン島TTを走り、父は70年代にインバネスからカルカッタまで旅をした。そしてわたしが7歳のとき、父が最初のバイク、ヤマハのPW80を買ってくれた。それは今でもわたしのガレージにある。
今年からわたしは女性向けの整備ワークショップを始めた。バイクのメカニックやメンテナンスを学ぶことで、女性たちがもっと自信を持って安全に走れるようになってほしいと思ったからだ。わたしたちはスコットランドを1000マイル走るツアーを行っている。20代の若者から60代の熟年ライダーまで、多くの人が「人生最高の体験だった」と言ってくれる。それはスコットランドの多様で劇的な風景、そして「バイカーの楽園」とも呼ばれるその魅力を表しているんだと思う。
スコットランドには、あらゆる風景があり、あらゆる天気がある。そして、それらすべてがバイクとともにある人生を豊かにしてくれる。