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#36:満を持して愛車紹介(合理的選択理由:後編)【ヤマハ FJR1300AS】

遠慮なく書かせていただいたのですが、沢山お読みいただき嬉しい限りです。引き続き遠慮なく書かせていただきます。悪しからずご了承ください。

満を持して語る:FJR1300ASここが好き(合理的な理由編・後編)

バイクに乗るというのは、少なからず手間と付き合うことでもある。エンジンをかける前に点検するべきものがあり、乗った後にはメンテナンスが待っている。そういうものだ、と言われればそれまでだが、僕はできることなら、そういう「手間のないバイク」に乗りたいと思っている。というか、僕はズボラなので、できることならメンテナンスの手間を最小限にしたい。そんな僕にとって、FJR1300ASは、ただただ頼もしい存在であり続けてくれている。

今回は、そんなFJR1300ASの機能のうち、僕が特に「これはありがたい」と思う要素を挙げておこう。


⑥ レギュラーガソリン指定のありがたみ

1300ccの大排気量エンジンを積んでいながら、FJR1300ASはレギュラーガソリン指定である。これは実にありがたい。

最近ではENEOSアプリが大活躍(安いから)

このバイクであちこちツーリングしていると、いろんな人から「やっぱりハイオクですか?」と聞かれることがある。確かに、このクラスの高出力なモデルはだいたい漏れなくハイオク仕様のエンジンを持つ。
「実はレギュラー指定なんですよ」
というと驚かれることが多い。

長距離ツーリングを重ねる身としては、燃料代がバカにならないのも事実だ。それに、ツーリング先で「このガソリンスタンド、ハイオク置いてるのかな?」と心配しなくて済むのは大きい。特に地方では「レギュラーと軽油しかありません」というスタンドも少なくない。そんなとき、「このバイク、レギュラーでいいんだよな」と思える安心感は計り知れない。まるで、気の利いた旅の相棒が「大丈夫だよ、焚きたいだけガソリン焚けばよいさ」と言ってくれているような、そんな気持ちになる。近年燃料代が高騰しているので、尚更助かる。


⑦ 防風性の高さと静粛性

バイクに乗る以上、風との付き合いは避けられない。適度な風なら気持ちがいいが、強風ともなるとそれはただの敵でしかない。特に長距離ツーリングでは、風が疲労の原因となることが多い。顔に直撃する風はもちろん、体にまとわりつく風圧は、乗れば乗るほどダメージとなって蓄積していく。最初は快適だったはずのツーリングが、最後には肩と首がバキバキに固まっている、なんてことはザラだ。

だが、FJR1300ASは違う。大型のウインドスクリーンが、これでもかというほど風を防いでくれる。純正のスクリーンに加えて、サードパーティ製の長いスクリーンを付けてからは本当に楽ちんである。

長いウインドスクリーンに潜りこむと
ペースを上げても自分の周りはそよ風程度

特に高速道路ではその恩恵を大きく感じる。以前、FZ1で一日1,000㎞高速ツーリングをしたとき、それなりのスクリーンが付いているにも関わらず、途中であまりの風圧に耐えきれず、何度もPAに逃げ込んだことがある。しかしFJR1300ASなら、同じ距離を走っても疲労感が圧倒的に少ない。同時にクルマのような閉塞感は僕は感じない。あくまで風が来ないバイク。

そして、この防風性能の高さは、音の静粛性にもつながる。一般的なバイクでは、風切り音がヘルメットの中で暴れまわるものだが、FJR1300ASではそれがほとんどない。インカムでの通話もスムーズにできるし(あんまりしないけど)、ナビの音声も音楽もクリアに聞こえる。

また、温かい時期のツーリングで厄介なのが「虫問題」だ。特に夕暮れ時、山道を走っていると、ヘルメットのシールドや、ジャケットの全面が虫の死骸で埋め尽くされることがある。スクリーンのないバイクなら、テキメンで、走行中にカナブンのような甲虫が顔に直撃することさえある。しかし、FJR1300ASならその心配もない。ウインドスクリーンがしっかりとガードしてくれるので、ヘルメットのシールドが汚れにくいのだ。もちろんウインドスクリーンにはしっかり虫がついてしまうのだけど、その日のうちに洗っておけば何の問題もない。

唯一難があるとすれば、雨の夜だ。ヘルメットにはあまり水滴はつかないが、スクリーンにはもちろんワイパーのようなものは無いので、水滴が視界を妨害する。撥水剤の塗布などで、多少水ギレ良くは出来るけど。。
まあそもそも夜の雨なんて何のバイクに乗っていても嫌なものだけど。


⑧ 冬でも暖かい

冬のツーリングは、単なる趣味の延長ではなく、修行のようなものだ。気温が10℃を下回ると、バイクに乗るたびに「これは果たして楽しみなのか、それとも苦行なのか」という疑問が頭をよぎる。手がかじかみ、足の感覚がなくなり、走っている途中で「温泉に入りたい……」という誘惑と戦い続けることになる。

しかし、FJR1300ASはその問題をかなりの部分で解決してくれる。まず、グリップヒーターが標準装備されている。これが実にありがたい。手元のスイッチを入れるだけで、じんわりと指先が温まる。しかも温度調節が細かくできるので、「熱すぎて手のひらが汗ばんでくる」ということもない。まるで「お前の手、冷たくなってきたな。ちょっと温めてやるよ」と気を利かせてくれるような優しさがある。

さらに、ウインドスクリーンが風を防いでくれるおかげで、体全体の冷え方が格段に違う。特に胸元に風が当たらないのは大きい。以前、スクリーンのないバイクで冬のツーリングに出かけたとき、体が冷えすぎてパーキングで豚汁をお替りするまでまともに体が動かなくなったことがある。しかし、FJR1300ASなら、そんな心配をされることもない。ツーリング先で甘味処に入ったとき、「あれ? 意外と寒くなかったな」とデリカシー無くソフトクリームをパクつけるのは、このバイクのおかげだ。

もちろんそれは夏の暑さにも繋がるわけだけど、このスクリーンが電動で走行中でも上げ下げが可能なので夏は下げて走る事が当然のように増える。

目一杯スクリーンをあげるとここまで上がる
無敵の防風性だが燃費や加速は悪化する。

⑨ クラッチレバーレスの変速システム(YCCS)

バイクに乗るうえで、クラッチ操作というのは避けて通れないもの……のはずだった。しかし、FJR1300ASには「YCCS(Yamaha Chip Controlled Shift)」という、クラッチレバーを使わずにシフトチェンジできるシステムが搭載されている。最近でこそ、色んなメーカーがこの領域に踏み込んできているが、FJRに搭載されたのは以外にも昔からで、2006年には既に搭載済みのシステムである。これは、最初に聞いたときは「ズボラなオッサン向けの楽ちん装備だろ?」と思ったが、実際に使ってみると、その認識は完全に間違いだったことに気づかされた。

YCCSは、ただクラッチを省略するだけのものではない。シフトチェンジが驚くほどスムーズになり、特にワインディングロードではその効果を実感する。通常なら、左手と左足を同時に動かしながらスロットルを調整しなければならないが、YCCSならパドルスイッチを押すだけで一瞬でギアが変わる。これがいかに便利かは、一度使えばすぐに分かる。明らかにクラッチレバーを使うよりも速く変速が出来るし、足を動かさなくて良いので、カーブを曲がっている最中などでも躊躇なくギアチェンジが出来る。FJR自体、トルクバンドが広いので、クラッチ付きに乗っているとギアチェンジをサボってもなんとかなったりするが、積極的にギアを変える気になる(なにせ楽なので)ので、欲しいトルクがいつでも引き出せるようになる。自分の走りのデザインをよりきめ細かく出来るのが、愉しいこと愉しいこと

クラッチレバーは無く、左手元のスイッチでシフト操作する
足では不可能なレベルの高速シフトダウンも簡単

また、当然のことながら、渋滞の中での発進・停止が格段に楽になる。一般的なバイクなら、左手が疲れ果てる状況でも、FJR1300ASならクラッチ操作なしでスムーズに進める。長時間乗っても左手の疲労がほとんどないというのは、想像以上に快適だ。

もちろん、クラッチレバーとチェンジペダルを駆使するのが楽しいという人も居る(むしろその方が多い)けども、まあ少なくとも僕は此方の方がスムーズに愉しく走れるのだ。


⑩ 電子制御サスペンションの頼もしさ

バイクの乗り心地を決めるのは、エンジンのパワーだけではない。サスペンションの良し悪しが、長距離ツーリングの快適さを左右する。

FJR1300ASの電子制御サスペンションは、ボタン一つで状況に応じた調整が可能だ。荷物が多い時も、タンデムの時も、最適な状態にセットしてくれる。「お前、今日はどんな走りすんの?」とでも言いたげなその性能には、ただただ感謝するばかりだ。

手元のボタンでサスペンションを調整できるとは
昭和育ちのおじさんはビックリである

かつて、旧式のバイクに乗っていたころ、サスペンションの調整は手動で行わなければならなかった。しかし、今ではボタン一つで完了する。ツーリングの合間に余計な手間をかけずに済むのは、正直ありがたい。


⑪ シャフトドライブであること

最近ではすっかり少数派になってしまったシャフトドライブ。現在、シャフトドライブを採用しているのは、BMWのボクサーエンジンモデルやモトグッツィの一部のモデルくらいで、国産車ではもうほとんど見ることがなくなった。かつてヤマハは、クルーザーやスポーツツアラー、果てはビジネスバイクにまでシャフトドライブを採用するほどの「シャフト好き」なメーカーだったのだが、今ではこのFJR1300ASが最後のシャフトドライブ車になってしまった。少し寂しい気もするが、そんな貴重な機構を今も味わえるというのは、むしろ贅沢なことなのかもしれない。

一般的に、バイクはチェーンドライブが主流だ。これはコスト的にも軽量化の面でも優れているため、ほとんどのメーカーがこの方式を採用している。しかし、チェーンドライブには避けられない問題がある。そう、「チェンシコ」問題だ。

「チェンシコ」というのは、バイク乗りの間でよく使われる言葉で、「チェーンシコシコメンテナンス」の略である。バイクのチェーンは定期的に清掃し、注油しなければならないのだが、これがまあ面倒くさい。ツーリングから帰ってきたら、まずチェーンの汚れを落とし、専用のオイルを注して、さらに余分な油を拭き取る。そしてそのオイルがリアホイールに飛び散り、気づけばホイールはベタベタになり、再び清掃が必要になる。これを怠ると、チェーンが錆びたり、摩耗が進んで交換が必要になったりする。つまり、バイクのチェーンドライブは、「走ったら掃除、走ったら掃除」の繰り返しなのだ。

チェンシコよさらば

だが、FJR1300ASは違う。シャフトドライブなら、この手間がほぼゼロになる。チェーンの清掃も、注油も、リアホイールのベタつきも、一切気にしなくていい。僕がズボラであることを見抜いたかのように、このバイクは「お前、そんなマメにチェーン清掃とかしないだろ? だったら、俺が面倒見てやるよ」と言ってくれるのだ。

もちろん、シャフトドライブにもメンテナンスは必要だ。具体的には、デフケースのオイル交換を10,000〜20,000kmごとに行う必要がある。しかし、これは年に1回程度で済む。チェーンドライブのように頻繁に手を入れる必要がないので、まるで「気が向いたときにでいいから、たまに様子を見てくれればいいよ」と言われているような感覚になる。バイクがそんな風に気を遣ってくれるのなら、こちらも「お前のために、ちゃんとオイル交換くらいしてやるか」という気持ちになる。

シャフトドライブは、どうしてもシステム重量やコストの面で不利とされがちだが、それを差し引いても余りあるメリットがある。少なくとも、僕にとっては「メンテナンスの手間を省ける」という一点だけで、十分に価値がある装備なのだ。


合理的理由だけでは、、、もちろん無い

FJR1300ASは、まさにズボラな僕にとって理想的なバイクだ。燃料に気を遣う必要もなく、風に苦しむこともなく、寒さにも耐えられ、クラッチ操作の手間も省けて、そしてチェーンメンテナンスさえ不要なシャフトドライブまで備えている。こんなに優秀な相棒を見つけたのなら、もう他のバイクには乗れないのではないか、という気さえしてくる。

合理的理由編も前後半に分けたのに、ボリュームはいつもの倍。
それだけ偏愛が深いとご理解ください。

合理的な理由だけでもこれだけの魅力が詰まっているのだから、情緒的な部分まで語り始めたら、それこそ終わりがない。
なので次回は、その話をしようと思う。
ひきつづき、お付き合い・・・・くださいm(__)m。

情緒的理由。。。
おそらく全て個人の感想になります。

以下続編↓

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