無名人インタビュー:PRINCEに人生を搾取されてしまった人
プリンスファンってどんなイメージでしょうか。キモチワルイ人たち、もしくはヘンタイ。仲間意識が強くて排他的。いや、あながち間違ってないよ…?って思った人は、もう読まなくて良いです。そう見えるのは、それ相応の理由があるのです。熱狂的すぎるが故に、周りが思わず引いてしまうほどの、その熱量。私は好きよ…ということで、本日もお楽しみください。
今回ご協力いただいたのは、立本真己さんことTouchyさんです!
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▼イントロ
そんり:今日はよろしくお願いいたします。
Touchy:これ面白い企画ですよね、インタビューされることなんてあまりないし。よろしくお願いします。
そんり:そうそう、著名人じゃないとインタビューされる機会ってないですもんね。私も無名人インタビューを受けたのがキッカケで、インタビュアーとして参加させていただくことになったんですけど、最初は募集かけても来ないだろうから、絶対一般受けしないだろうけど、私が話を聞きたい人に声かけてもいいですか?って聞いたら、qbcさんが「良いよ」って感じだったんで。じゃあTouchyさんにって。
Touchy:確かにプリンスの話題は一般受けはしないですよね、ちょっとニッチなところで(笑)
そんり:そうそう、私が攻められるところを攻めよって。今週もう一人インタビューしたんですけど、その方はラッパーの方で。ライターの丸屋九兵衛さんってわかりますよね。
Touchy:ああ、わかりますわかります。めっちゃプリンスファンの方ですよね。
そんり:そうそうそう、あのプリンスめちゃめちゃ好きな人ね。なんかそこら辺とかと、繋がりがあったりする人で。
Touchy:はいはい。
そんり:で、次はプリンスフリークの方のインタビューなんですよって言ったら、またニッチなところ攻めますねって(笑)
Touchy:大して面白い話も出ないような気がしてるんですが。
そんり:大丈夫。
▼やっぱ、プリンス
そんり:これが話したいとか、何かテーマとかあります?
Touchy:やっぱ、プリンス
そんり:やっぱり、プリンス。7月に新譜も出ますしね。またまた怪しいけど。
Touchy:そうそうビックリしました。ニュースが立て続けに来ましたね。「The Truth」のアナログ再版と新譜の発売。
そんり:個人的に、未発表アルバムはもう良いよって感じだけど。
Touchy:いやいや、私は早く発売して欲しいですよ。
そんり:あ、そうか。ブート(海賊版)は聴かないですもんね。
Touchy:そうそう、全然聴かないわけじゃないんですけど、積極的には聴かない方なので。音源とかは友達から貰ったりはするんですけど。やっぱり良い音で聴きたいというか。
そんり:全然違いますもんね。
Touchy:そうなんですよ。ブートの方がええやんって時もあるんですけど(笑)
そんり:まあ基本、音がジャリジャリですからね、ブート。
Touchy:うん。
そんり:最初ファンになった頃、ホームページを拝見させていただいて、色々読ませていただいたんですけど、奥様もプリンスファンなんですよね?
Touchy:まあ元と言っても良いですかね。
そんり:今はそんなに?
Touchy:今は離れちゃってますね。
そんり:まあね、なかなかTouchyさんほどに情熱を維持し続ける人の方が、ニッチですけどね。
Touchy:(笑)
そんり:かなりヤバイ。
Touchy:そうですね。僕は飽きっぽい方なんですけど、プリンスに関してはライフワークになっちゃってますね。
そんり:素晴らしいです。そのプリンスの、Touchyさんをアディクションさせる魅力というのは?
Touchy:ああ、良い質問ですね。
そんり:あ、火がついちゃう。
Touchy:もはやそれが何だったのかも思い出せないんです。もちろん単純に音楽が格好良いし、良い音楽を作りますよね。あとはまあその…彼のマイノリティの中で最強っていう立ち位置というかね、そのアティテュード的なのもすごい好きですね。我が道を行くというか。
そんり:もともとハマったきっかけは何ですか。
Touchy:もともとウチのねーちゃんが好きやって。それを私が傍で聴いたり観たりしてて、それでプリンスを知ったんですね。まあすごいと思ったんやけど、中学生やったんでキワモノやと思ってたから、単純に好きとは言えずに、こう一歩引いてたんですよね。
そんり:うん、想いをせき止めてたと。今思えば。
Touchy:すごいけど恥ずかしいし、大っぴらに好きとは言わんとこうみたいな。
そんり:ここに踏む込んだら、俺はヤバイぞって。
Touchy:そうそう。同級生と話す時は逆にバカにしたりね。プリンスきもー!とかって。
そんり:それ小学生の恋愛と一緒ですよね。
Touchy:まさに。で、高校生の頃にベストアルバムが出たんですよね、「ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション」っていうね。まあプリンス好きやけど「バットマン」と「 パープル・レイン」「LOVESEXY」ぐらいしか知らんかったから、買ってみようと思って、それが始まりでした。沼の。
そんり:最初はどの曲が一番お気に入りでした。
Touchy:えっとね…「If I Was Your Girlfriend」とかがガンときて、正直ちょっと最初から良いと思った曲ばっかりじゃなかったんですけど、まずそのバラエティにやられて、でこれを全部一人の人が作ったんか?っていうところですよね。
そんり:ああ、ありますよね。それね、わかるわかる。
Touchy:で最初ね「If I Was Your Girlfriend」は違うんですけど、最近の年代の曲の方がスッと入ってきたんですよ。「Gett Off」とか「Sexy M.F」とか。で、そのうち「1999」とかも気に入り出して、おお何やコレ?と。で、全部好きになっちゃいましたっていう。
そんり:わかるわかる、一緒ですね。じゃあ好きになったルートはあまり私と変わらないですね。私の場合、中学生の頃に「パープル・レイン」の音と「LOVESEXY」の裸のポスターで気持ち悪い嫌いってなっちゃって。でもその後、90年代の黒っぽいプリンスはちょいちょい聴いてたんですけど、「3121」でガツンとやられてしまって、そこから80年代を辿ったら、もうこの人はヤバイ天才だってなったクチです。
Touchy:はいはい。
そんり:沼ですよね、プリンスの80年代は。
Touchy:本当に沼です。あと昔の音源て音がシンプルというか、今聴くと物足りないですけど、その隙間というか、そういうのがヤバイですよね。
そんり:イケイケなんですよ、あの音がイケイケとかじゃなくて。イケイケなんですよね、80年代って。
Touchy:うん、ヤバイです。
そんり:そう、ヤバイしか出てこない。
Touchy:語彙が(笑)
そんり:でもそれくらい言葉が出てこないくらい、神がかってるというかね。
Touchy:そうなんですよー。新しい年代から入ったとはいえ、やっぱ80年代の殿下は凄いですよね。
そんり:この人死んじゃうんじゃないかって思っちゃうよね。
Touchy:そうそう!生き急いでるよねって。普通の人の2回分人生を生きてるんちゃうかって。
そんり:わかる。音楽も素晴らしいけど、たぶんそういうところにハマっちゃうんでしょうね。
Touchy:ああ、そうですね。彼の行動全てが惹かれるとこですよね。あのワーカホリックなところとか、天邪鬼なところ、ワガママなところ、性格悪いところ。こうなったらアバタもエクボですよ。
そんり:本当にそうね。そういうとこも堪んないですもんね。
Touchy:そう、あの背の低さが愛おしいってのもそうです。あと、彼はもともと綺麗な顔なんですけど、完全無欠なイケメンというか、背が高くてシュッとしててみたいなタイプではないじゃないですか。欠点があって美しいというか、あの危ういバランスが最高ですね。
そんり:わかります。私も好きなタイプじゃないんですけど、全部好きってなっちゃった。
Touchy:普通に考えたらおかしいですからね。ヒゲ生やしてフリル着て化粧してヒール履いてますからね。
そんり:そう、MVでワンピースの水着着てるじゃないですか。
Touchy:ああ、マンキニみたいなやつ。プールサイドで腕立てしてるやつ。シュールですよね。
そんり:そう。あれも冷静に考えたら気持ち悪いんですよ。
※これですね。勇気のある方はぜひ。
Touchy:あれも一般的な感性で見ると、完全にギャグですよね。でもあれが堪らないっていうか。だから、プリンスはそういうところの扉を開けてくれたって、気はします。その何て言うんですか…ダイバーシティとか、とっくの昔にそんなことやっとんでって。
そんり:あ、でも本当ね。今思えばそうですよね。男性がハイヒール履いてメイクして、ちょっとフェミニンな感じっていうのかな。物怖じせずに、世間に晒していくというかね。
Touchy:そうなんですよ。すごいマッチョになるわけでもないし、かといってトランスジェンダーでもないじゃないですか。プリンスはプリンスとして、やってるっていうね。あの自由さというか、俺はコレで行くねんって。まあ多少、戦略的なところもあるんだとは思いますけど、あの姿勢と存在感は大好きですね。
そんり:唯一無二ですもんね。初期には既に「Sexuality」って曲を書いてたりね。今思えば、ダイバーシティなんて言葉のなかった時代から、そことも戦ってた人なのかなって思いますよね。早すぎたんでしょうね。
Touchy:そうですね。プリンス自身も昔から背が低くて、学生時代は“プリンセス”ってからかわれたって。本人も、コンプレックスがたくさんあると思うんですよね。
そんり:うん、私があのルックスで産まれたら、コンプレックスだらけだと思うもん。
Touchy:そのコンプレックスっていうのが、常に作品の影にもあるような気がしてるんですけど、良い意味で作品に反映されてるんだと思います。僕は。
そんり:今の時代、こんなこと言うとアウトかもしれないけど、一部才能のある人たちって、プリンスなら音楽だけど。そういう人たちって、自分のコンプレックスを消化して、作品に昇華していくっていうのがあるんだと思うんですよね。プリンスなら音楽を通して、そのままで良いんだって訴えくれてる気はしますよね。
▼プリンスと茶色い弁当と自己肯定と
そんり:私とかだと、今の言葉で言うと自己肯定感の低い人間なので、幼い頃から色々コンプレックスもあったりとか、そういうので、プリンスがそういうのを作品で体現してくれてるっていうので、ものすごくシンパシーを覚えてハマってしまったっていうのが、やっぱりあるんですけど。Touchyさんは、幼少期はどうだったんですか?天真爛漫な子供だった?
Touchy:いえいえ、ほんまにそんりさんと被るところが多いんですけど、僕も自己肯定感は低かったです。
そんり:へえ、それはこう見た目にコンプレックスがあったりとか、周りの状況だったりとか色々あると思いますけど。
Touchy:まあそうですね…子供の頃はどっちかって言うと、褒められて育ったわけではないので、そういう意味では自己肯定感は少なかったですね。で、思春期になると、やっぱり極度に見た目とか、人との違いを気にするようになって。
そんり:ああ、なりますよね。誰もが通る道ですもんね。
Touchy:そうそう。僕の場合は、今は全然気にしてないんですけど、当時からまあガリガリやったと。小学校の頃とかは普通やったんですけど、思春期の頃とかになりだすと、背だけ伸びて横はそのままみたいな感じで、よりガリガリに磨きがかかったんですけど。その辺にちょっとやっぱり、人からえらい細いなぁとか言われる度に、こう思春期の頃なんでね、気にしながら生きてましたね。
そんり:傷付きますよね。思春期の頃は、見た目の事を言われるとね、特に。
Touchy:あと今は微塵も思わないんですけど、その頃って他人と違うって事を極端に恐れてたんですよね。なんでかよう分からんけど。一般的で標準的なものを目指そうとしてて、自分が特殊でありたくないっていう。良くも悪くも、目立ちたくないっていう心理があったような気がします。
そんり:そこら辺ってでも、思春期って捻れてません?なんかみんなと一緒じゃないと嫌なんだけど、でもチヤホヤされたいとか。
Touchy:ああ、そうそう。そうなんですよね。
そんり:みんなと同じなりたいっていう感覚が、平均でありたいっていうよりも、今思えばなんですけど、学校でもヒエラルキーがあるじゃないですか。そのヒエラルキーの上位に人達に近付きたいみたいな意味で、普通になりたいみたいな。いわゆる人気者になりたいですよね。なんかそういうちょっと捻れた、でも目立てないし目立つこともできないし、あんなに明るく振る舞えないし、だったら目立たないでおこうみたいな。そこらへんのモヤモヤがぐちゃぐちゃだった気がする。私は。
Touchy:ああ、ありますね。やっぱり奥底では、チヤホヤされたいってモチロンあるんですよね。でもなんかこうね、それができないから、もうここでええわみたいなポジションにいるみたいな。その捻れはありますね。中学の時が一番歪んでましたね。唐突に来たんですよ、思春期が。それまで普通にクラスメイトの女の子とかとも話をしてたんですけど、急に意識して出来なくなって。あとね、見た目のガリガリ以外にも、顔とかあらゆることにもコンプレックスを持ち出したりとか。今なら笑い話なんですけど、当時はお弁当を持って行くじゃないですか、お弁当を隠して食べてたんですよ。
そんり:あ、わかる!それも見た目と一緒ですよね、華やかなお弁当を持ってくる人いるじゃないですか。
Touchy:そうなんですよ。僕の弁当茶色いなっていう、そういうのが恥ずかしいっていうね。
そんり:なんかカラフルな弁当というか、今覚えばカラフルな弁当なんて簡単なんだけど。茶色の方が手間がかかる。
Touchy:そうそう、だからオカンに謝れ!と、当時の僕に怒鳴りつけてやりたい。当時はそれを恥ずかしがってたんですよね。自意識過剰になって、だから暗黒時代でしたね、中学の時は。でも高校になってからは、割と抜け出して普通になったんですけど。その時のちょっとこうコンプレックスとかいうのは、やっぱり、後々にも影響を与えたんかなという気がしますね。
そんり:でも今になって思えば、そういう経験とかそういう思いをしてきたから、今があるなっていう感じもするし、それこそプリンスに出会えたなって感じもするんですよ、私は。
Touchy:確かに、そういうところで幅が持てるようになったなって、気はしますよね。
そんり:だから今、その渦の中にいても、そこまでこうね人生終わりたいとかって思う必要ないと思いますよね。今思えば。当時の感覚では長いですけど、人生のうちのたった数年ですから。
Touchy:また居場所がね、少ないんですよね。世界が狭い。なんか未だに悔やまれるんですけど、今の状態であの暗黒時代に戻りたいって思うときが時々ありますね。今から思えば、なんやあれモテてたんやっていう。あの時行っときゃ行けてたのにってのあります。
そんり:あの頃にそれに気づいて、その船に乗ってたら、今の景色は違ったのかなって想像しなくはないですよね、やっぱり。
Touchy:そうですよね、めっちゃチャラくなってたりして(笑)
そんり:そんな自分を見てみたかったなとかある。
Touchy:ええ、でも当時は本当に超シャイだったんですよね、プリンスじゃないけど。
そんり:ああ。
Touchy:思春期はやたらと自意識過剰になってしまって。でそこにコンプレックスがあると、そこが作用して変にグルグル回っていくっていうとこですよね。
そんり:そう捻れるんですよね。後々の人生に大きく影響を及ぼすし。なんかポジティブにとか自己肯定感高めてとか、世間ですごい言われてるけど、なんかそれも結局苦しいから、もうそのままで良いよっていうのが、一番良いんですけどね。
Touchy:本当にそう思いますね。結局何かこう無理してね、抑圧されてたらそれもシンドイですからね。
そんり:だからそういうの丸出しでくる、プリンスがやっぱり堪んないなって思っちゃう(笑)
Touchy:堪んないですよね、そこにも憧れるのかもしれないですよね。本当にビックリするぐらい丸出しですね。本当にもう、プリンスなりに色々考えてるんでしょうけど、本能的というか、やりたい事をやるっていうね。
そんり:あの人は絶対に誰にも媚びたくないしね。なかなか誰もそこまで貫けないから。
Touchy:そうなんですよね。もうあの人の色んなことを知っていく度に、この人すごいってなるんですけど、ホンマに音楽一筋というか天職というかね。好きでやってるというか、寝る間も惜しんで、毎日やってるじゃないですか。あんなにピタッとハマるものに巡り会えて、しかもそれに打ち込んだから素晴らしい結果がついてるんだと思うんですけど、そこまで思い込めないじゃないですか。途中で挫折したりとか、普通。
そんり:うん、するする。
Touchy:ホンマに信じてやり続けたっていうか、本当にその通りにしたっていう、ねえ。もしプリンスは売れてなかったとしても、同じようなことしてたと思いますね。
そんり:あ、わかるわかる。だから好きなの。これしか出来なかったんだこの人はっていう。
Touchy:そうそう、ミネアポリスの片隅でね、やってたんでしょうね。
そんり:俺の良さがわからんお前たちがバカなんだって、悪態つきながらね。
Touchy:そう、ブツブツ言いながらね。
▼プリンスとヘンタイたち
そんり:それから高校生になりプリンスにはまり…その頃は既にカミングアウトされてたんですか?ってカミングアウトって言い方もアレだけど。
Touchy:しましたよ。ベストでハマって、過去のカタログをアホみたいに買い漁ってましたね。キチガイになってました。もうリリースの量がね、追いつくのが必死で。
そんり:なるよね。ヘタしたら年に3枚とかリリースしてるでしょ。
Touchy:そうそう、サイド・プロジェクトなんかもやってね。昔にリリースされたものでも、僕にとってはニューアルバムなので、あの過程って本当にプリンスファン歴の中でも、珠玉の時間やったなって気がします。
そんり:うん、わかりますよ。本当に。リアルタイムじゃないけどハマった良さってありますよね。嵐のように迫ってくる、旨味が。
Touchy:ある意味贅沢ですよね。昔からのファンの方ってね、まだアルバムの数が少なくて、一年待ちながらこう聴いてたけど、それを一気に聴けてしまうという、この背徳感。これは消化しきれないですよね。なんか色んな音楽も好きなんですけど、一つ自分ルールがあって、他の音楽とプリンスは混ぜて聴かないとか。プリンスの時はプリンスに集中するという、自分ルールがありまして。
そんり:あ、わかる!他のと混ぜて聴けないの、プレイリストに入れられないの。
Touchy:そうなんですよ。もう今はそんなに気にしてないんですけど、当時の自分ルールで、車では聴かなかったんですよ。なんかしながら聞くのはダメで、聴く時はステレオの前で正座して聴くレベルでした。
そんり:教祖!
Touchy:ホンマそれでした(笑)宗教、宗教。なんかしながらとか聴くとかが許されなくて、これはBGMじゃないやろと、プリンスの魂やと、集中せえと。一語一句に集中して聴いてました。今は車でも聴きますけど。
そんり:私も当時は、プリンスを聴いてる空間に、他の人がいるのが嫌でしたね。私はいま、殿下と向き合ってるんだって気持ち。周りからしたら、本当に気持ち悪い人だけどね。
Touchy:もうただの変人ですよ。でもプリンスファンになってからは、変人と呼ばれることに抵抗がなくなりましたよね。むしろ褒め言葉みたいな。なんていうんですかね、プリンスを好きな自分が好きじゃないですけど、それこそね、有りのままの自分を好きになるってところに、辿り着くっていうのもあるかもしれないです。
そんり:以前ね、インタビュー後の雑談でたまたまインタビュイーもプリンスファンだって分かって、妙に意気投合しちゃって。そこで急激に仲良くなるっていう(笑)
Touchy:それは嬉しいですよね、プリンスファン自体がレアだから。
そんり:そうあまりにも嬉しすぎて、本当はダメだけど、当時の未発表音源をプレゼントしちゃったっていう。
Touchy:分かります、分かります。
そんり:こうプリンスファンの方って、心のヘドロみたいなのを抱えながら、でもそんな自分が好きって思ってる人のように感じて、勝手にシンパシー抱いちゃうんですよ。
Touchy:ああ、確かに。深いファンであればあるほど、そういう傾向が強い気がしますね。みんな変人じゃないですか、ディープなファンて。で、その変態が褒め言葉っていうコミュニティって、ハタから見ると気持ち悪いですけど。あと、プリンスファンに共通するところを、もう一つ思い出したんですけど、私も昔はプリンスのこと気持ち悪かったんで、一般の人ってプリンス好きっていうと、ええ?ってなったりするじゃないですか、気持ち悪いとか言われて。だからそういうケナされることに、耐性が付いたというかね。しかもファン自身も、プリンスをケナすことが多いんですよね。
そんり:だってそれは…好きすぎて言っちゃうんだもん。
Touchy:そう、愛があるんですよ。
そんり:毒舌と悪口の違いですよね。
Touchy:そうそう。好きだから言えるっていうね。
そんり:それって言い方で分かりますよね、人ってそんなにバカじゃないから。
Touchy:そう、悪意があるかどうかってね。だからその辺もちょっと、コミュニティによってはね、熱狂的とは言っても、文句というか毒吐いたら叩かれるみたいな世界もあるじゃないですか。そういう意味ではプリンスファンのコミュニティは、寛容なんかなという気がします。
そんり:みんな熱狂的なんだけど、品行方正は求めてないというか。だから、何かを熱狂的に愛してる人に対して否定をしないというか。
Touchy:なんかね、ちょっと好きってのと、すごく大切にするっていうスタンスの違いが分かるというか。
そんり:プリンスファンって、そこらへんが優しいというか。こう熱狂的なファンが多いじゃないですか。
Touchy:そうですね、ライトはファンは振り落とされがちですからね。
そんり:私なんか、若輩者って思っちゃうもんね。
Touchy:まあ一部のキング・オブ・ヘンタイみたいな人達はヤバイですからね。私が言うなって感じですけど(笑)
そんり:そうそう、本当にみなさんヤバイですもんね。
Touchy:でもそんな諸先輩方の中でも、昔から僕はプリンス好きやって公言してましたけどね。なぜなら、素人でもプリンスを好きな気持ちは誰にも負けへんでって自信があったっていう。
そんり:ああ、私はまだ遠慮しちゃうわ。
Touchy:それはあれですかね、ヘンタイ度合いの違いですかね。
そんり:そうかも(笑)
Touchy:確かにみんなアホですからね。プリンスが日本に来おへんから、海外に行ったりとか。人生がそれ基準になってるっていうね。
そんり:そうですね、ミネアポリス行かなきゃ。
Touchy:ホンマそうですよ。僕も生前に一回行ったんですけど、プリンスが亡くなった年にもお別れを言いに行ったんです。
そんり:さすがです。
Touchy:たいがい引かれるんですよね、この話すると。何?もう死んでるのにって、御墓参りにでも行ったのって。
そんり:そうじゃないんだって。
Touchy:生まれて初めてプリンスを観たペイズリー・パークに、プリンスを感じに行ったっていう。
そんり:それもわかりますよ。で、そういうところが変態って言われるのもわかる。
▼プリンスがくれた繋がり
そんり:そこらへんの感想がね、Touchyさんの運営するプリンスファンサイトにコラムとして掲載されてるのでね。あのウェブサイトって、立ち上げられてどれくらいですか?
Touchy:もう20年近いんちゃうかな。
そんり:これからも、サイトは運営されていく予定ですか。
Touchy:そうですね、死ぬまでやろうかなとは思ってます。
そんり:素晴らしい。
Touchy:今は割と歳も重ねてきまして、人生の中の比率も変わってきてはいて、仕事を頑張ったりしてますけど、それと平行してちょこちょこと趣味も楽しみつつ、その中でもプリンスっていうのは、自分の中の熱量が変動したとしても、一つの柱として生涯やっていくやろなって思いますね。
そんり:みんなにプリンスの良さを分かって欲しいなって、気持ちはあるんですか?
Touchy:いや、みんなは無理ですね。好き嫌いもあるので、言うても無理やなって思うし(笑)ただ、僕がずっとファンサイトをこれからも続けたいなっていうのは、これから興味を持ってくれた人達が、入るキッカケになってくれたら良いなってのがあって。僕自身もそうでしたけど、後追いファンやったんで、当時は情報もあまりなくって、でまあ先輩とかと仲良くなって色々教えてもらったんです。だけど仲良くならないと情報を得られないっていうのも不便じゃないですか。なんで僕の知ってる情報は、ここに全てありますよみたいな場を作っておいて、プリンスに興味を持った方がウェブサイトを見て、そっからハマってくれたら嬉しいなってのはありますね。
そんり:でも私も、プリンスに興味を持って初めて拝見させていただいたファンサイトは、Touchyさんのサイトだったと思うんです。
Touchy:ありがとうございます。
そんり:他にもファンサイトはいくつかあったんですけど、当時の私にはディープすぎてちょっとビビっちゃうんですよ。だけど、そういうのがなくて、ライトなファンからディープなファンまで網羅してるし、初心者にすごく親切だけどちゃんと情報はあるっていう、すごく魅力的なサイトだなって思ったんですよ。
Touchy:ああ、嬉しいお言葉。ありがとうございます。
そんり:こうディープなファンの新規ファンに対しての、意地悪な心理ってのも理解出来るので…だけどそういう雰囲気が全然なくて。だからそういうサイトを運営されてるって、本当にこの人のお人柄なんだろうなって、そういうのもあって、最初はあしげくサイトを覗きに行ってたっていうのがあったんですよ。
Touchy:ありがとうございます。その初心者の方を大切にするっていうのは、うちのサイトのコンセプトとして、ずっと持ち続けてるのもありますし、僕自身がコレクター的な気性ではないんですね。例えば、このライブ音源は○年○月のどこどこっていう情報には、ほとんど興味がなくて、単純にそれが好きかどうかっていうのにウェイトがあるんです。このプリンス可愛いよねとか。だからその感性に合う方には、見てもらえてるのかなって思います。逆にコレクター気質の方には物足りないと思うんですけど、そういう方はほっといても調べはるんで。
そんり:うん、そうですね。でもそういう方達との繋がりも持ってらっしゃるんで、すごく良いサイトだと思います。
Touchy:ありがとうございます。
▼アウトロ
そんり:あ、あと5分ほどですけど、何か言い残したことがあれば。
Touchy:あ、もう、今の会話で十分サイトの宣伝にもなったし、プリンスのことも話せたので(笑)
そんり:良かった。これも、プリンスが繋げてくれた縁でね。
Touchy:実際に20年くらい運営しているサイトですけど、こうやってそんりさんとも知り合えたし、それ以外にも色んな方との繋がりが出来たのもあって、本当に一番良かったことの一つだなって思いますね。あの掲示板も、一通り盛り上がると世代が変わっていくんですよね。何十年もやってると、書き込んでいただく方々が変わっていくんです。
そんり:ああ、確かに。
Touchy:語り尽くした人たちはいなくなっていくんです。それに今はSNSがあるじゃないですか、だから掲示板って存在意義がなくなってきてるんですけど、それでもたまにちょろっと書き込みがあったり。そういえば、プリンスが亡くなった時は、掲示板がチャット状態になってたんですよね。いわゆる潜在的なファンとか離れてたファンがバッと戻ってきて、凄かったんですけど、それも長くても一年くらいかと思って見てて。実際一年くらいで落ち着いたんですけど。気長にこの場所さえ置いとけば、フラッと立ち寄ったり、ふと思いだしてみたりして、あの場がそういう場であれば良いなと思ってます。
そんり:私も初期ほどは伺わないですけど、やっぱり今回みたいに新譜出るってなったら覗きにいきますし。
Touchy:ありがとうございます。引き続き、細く長く続けていきます。
そんり:ぜひ今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
Touchy:はい。このインタビューをご覧になられて、プリンスが気になってる方がいらっしゃったら、ぜひ「partymind」で検索していただければ嬉しいです、という言葉で〆させてください。
そんり:あ!凄く良い〆!今日はありがとうございました。
Touchy:とりとめのない話ですみません。ありがとうございました。
〜終〜
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