無名人インタビュー:アイデンティティを模索する写真家の人
「現代アーティスト」より「現代美術家」、「ライター」より「著述家」、「インタビュアー」より「聞き手」、「フォトグラファー・カメラマン」より「写真家」の方がカッコいい。
全てのラベル・属性を引っ剥がしたところに「その人らしさ」がある、もちろんそれはそうでしょう。だけど、そもそもラベル・属性さえ決めかねてる状態だったら、ラベル・属性が欲しくなってしまうんじゃないかな?
ということで、今週も楽しんでいただけると幸いです。
本日ご参加いただいたのは、Yuuki Shibataさんです!
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▼イントロ
そんり:今日はどういったインタビューにしていきましょう?
Yuuki:今日はですね、最近やってる自分の撮影プロジェクトがありまして。それに当たって、自分の在日のエピソードなど絡めて話せたらいいなと思います。
そんり:現在のご職業は?
Yuuki:フリーのカメラマンやってます。
そんり:商業カメラマンですか?
Yuuki:そうですね。商業カメラマンです。お店に撮影に行ったりとか、あと、イベントとかスポーツ撮影なども、最近やったりしています。フリーランスになって、ちょうど10年目です。
そんり:すごい。大体、1件のギャラっていくらぐらいなんですか?
Yuuki:それ、本当にピンキリで。大体相場みたいなのはあって。あとは、撮影内容とかによって全然違うんですけど。
そんり:うんうん。
Yuuki:そうですね。なんで駆け出しの頃は、いい仕事全然来なくって。結婚式とか二次会とか撮っても、2万円とか2万5千円とかしかもらえないから。なんで、土日とか1日3件とかやったりして稼ぐ、みたいな感じでしたね。やっぱ、自分に自信がないから高い金額を言えなかったんですけど。だんだん年数を経て、いいお客さん付いてきてくれたりするようになって、ちょっと値段は上がってきたっていう感じですね。
そんり:じゃあ現在は、カメラマンで生計を立ててる?
Yuuki:はい、独立してからは。
そんり:いいな、フリーランス。上司にへいこらしなくていい(笑)
Yuuki:お客さんにへいこらはしますけどね(笑)
▼おい!キムチ!
そんり:現在は「アイデンティティ・プロジェクト」っていうのをされてるんですね?
Yuuki:そうなんです。
そんり:そちらは創作活動の一環ですか?
Yuuki:仰る通りです。
そんり:「アイデンティティ・プロジェクト」をやろうと思ったキッカケは?
Yuuki:キッカケは、それまでも写真作品を作ったりしてたんですけど、なんか新しいことやりたいなって思った時に、自分のそういう…私、在日韓国人なんですけれども。そん時はまだ韓国籍だったんですよね。それで、結婚する時に、日本の人と結婚することになって、結婚する時に、相手のご両親に日本国籍に帰化して欲しいって言われたんですよ。
そんり:え?なにそれ。
Yuuki:何が起きてんのか、その時はよく分かりませんでしたね。この人達は何言ってんだろう?みたいな。親戚からも、そういう話を聞いたりしてて、「あ、来たな」みたいな感じはありました。帰化するのはイヤだったけど、相手は好きだったので、日本国籍に帰化しました。
そんり:ああ…。
Yuuki:でも、変えたことによって、よりそれを意識するっていうか。けっきょく自分は何も変わらないのに、韓国人・日本人ってだけで、相手の見る目が全然変わるじゃないですか。
そんり:ラベルが変わっただけなのにね。
Yuuki:そう、本当にそうなんですよ、「おお…」みたいな。まあそういうもんなんだなっていうのと、でもそういう違和感みたいなのがあって。なんか、やってやるぞ!みたいな感じ。その固定された考え方がどれだけ時代遅れで、どれだけ人を傷つけるものなのかみたいなの。やっぱり悔しかった、別に悪いことをしてないのに。
そんり:うんうん。
Yuuki:最初、日本で展覧会をやるの、結構躊躇したんですね。今まで私はオープンに「韓国人です」って言ってなかったから。日本人のフリをして生きてきたわけなんですけれども。でもそれにも理由があって。
そんり:どんな理由ですか?
Yuuki:自分の両親は二人とも元々在日なんですが、母の兄が、学校の先生になりたいって言って。でも当時、在日韓国人は公務員になれなかったから。
そんり:学校の先生っていうのは、日本の学校の先生?
Yuuki:そうです。で、日本に帰化したんですよ、母の家族全員。で、結婚したのは日本人と韓国人っていうことになってるんですけど。私が生まれた年は、父親の国籍を継ぐみたいなだったので、私は韓国籍で。だけど、1985年に法律が変わって、母親の方か父親の方かで、国籍を選べるようになったみたいなんです。それで、私は弟二人いるんですけど、弟は母親の方に日本国籍にしたんですよ。同じ親から生まれてるけど。
そんり:お母様は元々在日なんだけど、ご結婚前に帰化して日本人になってる。
Yuuki:はい、そうですそうです。
そんり:在日同士の結婚で、国際結婚扱いになってるんだ。
Yuuki:そうそう。結構それも、私の中での大きな疑問で。みんな在日でみんな韓国籍だったら、多分そんなこと思わなかったんですけど。同じ両親なのに、弟は日本人で、私は韓国人みたいな。なんなんだろうっていうのはありましたね、それは。
そんり:ああ、家の中に国境が。
Yuuki:そうなんですよ。父はすごい差別とかもあった時代にいたりとか。考え方はもちろんあると思うんですけども。在日がイヤだみたいな感じだったんですね。
そんり:お父様は日本の学校に通われてたってことですか?
Yuuki:そうです、日本の学校に通って。ずっと日本の学校だったんです。でも就職する時に、当時はやっぱり国籍を書く欄があって。ってなると、日本の企業に全然入れなかったみたいで。そういうのとか、幼少期のなんかも色々あって。なんて言うんでしょうか…あんまりいい思いをしてないから、在日であることに対して。
そんり:在日で在日嫌いみたいな人、いますね。
Yuuki:そうそうそう、本当にそれなんですよ。本当に「韓国人はこれだから」とか言ってるけど、いや、君も韓国人なんだよ、みたいな。父はそういうタイプでしたね。私もそんな父に育てられたので、なるべく在日であることを言わずに、日本の学校に行ってて。必要がないから、誰にも言わないみたいな。
そんり:なんか、複雑ですね。でも、そういう人たちの方が多いのかな、在日は。
Yuuki:人によると思いますよ。家族の方針で全然違うなと思って。韓国名で生活してたりとか、在日のコミュニティで活動とかされてたら、やっぱりそこに誇りを持ってるから、それが当たり前みたいな。在日朝鮮・韓国人っていうアイデンティティがしっかりしてる人はやっぱりいると思う。けど、私みたいなタイプもいるかもしれませんね。
そんり:うんうん。
Yuuki:やっぱり日本の学校とか行くと、少数派だから。なんか浮いちゃうじゃないですか、日本社会の中で。こう、みんな同じが良いみたいな雰囲気。
そんり:さきほど、聞かれないから言わないと言ってたけど、意図的に隠したいっいう気持ちはあったんですか?
Yuuki:やっぱありましたね、隠したいっていう気持ちは。なぜかっていうと、同じ在日の子で、キムさんって本名で、学校に通っている子がいたんですよ。中学生の時。でね、その子が虐められてたんです。明らかにバカにされてたんですよ。「おい、キムチ!」とか言われてたりとかして。
そんり:キムチ!?なんかもっと他にあるでしょ(笑)
Yuuki:そう、本当!「韓国海苔」とか言ってみたり。なんかもう、知ってる韓国食材を全部言うみたいな。子供心に、バレたら私も虐められるって思ったんですよ。だから隠してましたね。逆に、そういう子がすごい人気者とかになってたら、また全然違ったと思いますけど。バレたら私もそうなるんだろうなっていうのは、恐怖でしたね。だから隠して。何事もなく日本人みたいな感じで。
そんり:それに対して、ずっと違和感みたいなのは抱えていらっしゃったんですか?
Yuuki:いや。学生時代は完全に韓国っていうのを見ないようにしてて。何て言うんでしょうか…考えないようにしてたって感じですかね。学生生活でそんな意識する場面ってなかったから。そのまま、高校も大学も過ぎていく感じなんですけど。
そんり:そのあとにご就職?
Yuuki:そうです。大卒でメーカーに就職して。そん時も、別にそんなにでしたね。ただ、海外旅行するようになって、パスポートは韓国のパスポートだから、そういうとこで意識しちゃったりとか。あと、韓国旅行した時、免税店でパスポートとか出したら、店員さんが韓国語で説明してくるんですけど、韓国語わかんないし。そういうので舌打ちされたりするんですよ。
そんり:ああ。
Yuuki:結局、韓国パスポート持って韓国へ行っても、韓国は全然母国じゃないから。字も読めないし。うーんなんか…なんなんだろうなって感じでしたね、すごい。ヘンていうか。
▼アイデンティティ・プロジェクト
そんり:で、結婚をキッカケに自分のアイデンティティを、より強く意識するようになった?
Yuuki:ただ、「アイデンティティ・プロジェクト」はその前から始めてるので。ずーっとわだかまりがあったんでしょうね、どっかに。あんまり考えないようにとかしてましたけど。まあやっぱり、ああいうヘイトスピーチみたいなのとかが、日本ですごいやってた時とかあったじゃないですか。あれなんか、すごい嫌だったし。それでフツフツと湧き上がってきたんですけども。とはいえ、どうしよう、どうやってそれをやっていくんだみたいなことを考えてたんですね。
そんり:どう表現するかみたいな?
Yuuki:そうです。どういう表現でどんな写真を撮ってみたいなことを考えてた時期に、展示会でフランスのSaint-Étienne(サン=テティエンヌ)っていう街に行ったんです。そこでアフリカ系イギリス人と知り合ったんですけど。彼は、イギリス生まれイギリス育ちで、ロンドンに住んでても、アフリカ人って言われるっていう話をしてまして。でも彼自身、まだアフリカに行ったことがないんですって、そもそも。そういう疎外感?みたいな、イギリス人なのにイギリス人になれないみたいな、話を聞いて、すごく共感したんですよね。その経験が大きくって。
そんり:なるほど。
Yuuki:その時、彼のポートレートを撮って、ちょっとインタビューというか、話ししただけですけど。あ、これと同じようなことを色んな人にやっていきたいなみたいなって思って。そしたら、そこに何人かいたんですよね。メキシコから移住してきて、フランスに住んでる人とか。
そんり:移民とか、在仏外国人?
Yuuki:そうです。で、途中、間が空いちゃったりとかしたんですけど。日本でやったり、海外でチャンスがあればやってみたりとか。すると、国が変わると、また国ごとの事情があって。セルビア(旧ユーゴスラビア連邦)に行った時は、同じ国内でも、〇〇人って区別があったり、それぞれの気持ちが違うとか。あと、ロシア(旧ソビエト連邦)に行った時は、両親とも国籍はソ連だったのに、ソ連崩壊後に、ウクライナ(旧ウクライナ・ソビエト社会主義共和国)とロシアに分かれちゃったとか。だから、その時から、〇〇人っていうのが変わっちゃうっていうか。その子もハーフでもなんでもなかったのに、国籍すらも外的要因でいくらでも変わっちゃうんだなって。
そんり:うんうん、変わっちゃいますね。
Yuuki:そうこうする中で、その人のナショナル・アイデンティティはどこにあるんだっていうのを、色んな人に聞いていったんです。でも、答えの出し方とか定義付けも、本当に人それぞれで。
そんり:で、○○人っていうのは、何で決まると思いました?そのプロジェクトをやってみて。
Yuuki:結局ね、答えが出なかったんですよ。人それぞれだなっていうのが答えですかね、答えっていうと。国籍っていう人もいれば、自分が生まれ育った国っていう人もいれば、より親しみが湧く国っていう人もいて。中には、国籍なんて気にしたことない、みたいな人とかもいて。それをどう思うかって、結局は自分自身だなと思って。
そんり:なるほど。
Yuuki:じゃあ私はどうか?ってなった時に、わかんなかったんですよね。今もまだ揺れてますけど。今は日本国籍ですけど、韓国籍の方が長い。だけど、日本で生活してたから。難しいですね、日本人って言えたら簡単なんですけど。日本人になったが故に、余計に在日家庭の雰囲気が恋しい。あと、日本の家族の風習とか文化に触れると、日本人の家庭はこんな感じなのかって。自分は部外者に感じて。
そんり:疎外感あります?
Yuuki:ちょっと感じますね。で、「アイデンティティ・プロジェクト」がひと段落して、今は在日韓国人の青年会(在日本大韓民国青年会)の方の取材をやりだしたんですけど。その人達と喋ってると、なんか分かり合えるっていうか。
そんり:ああ。
Yuuki:「そうだよね」みたいな。家の文化とか、食事とか。今まで私は日本で生まれて日本で育って、国籍も日本になったし、日本人と思って生きてきたけど。案外と韓国の方がシンパシー感じてるみたいな、に気付きだしたって感じですね。
▼在日であることと、新たな写真プロジェクト
そんり:ご実家では祭祀(チェサ)はしてたんですか?
Yuuki:してましたね。
そんり:例えば、我が家はキムチが常備されてるんですけど。
Yuuki:はい、うちの実家も常にあるって感じです。韓国海苔も常にある。恋しいんですよ、それが。あと家族とか身内に対しての距離感とか。
そんり:はいはい。
Yuuki:やっぱり日本人って違いますね。
そんり:私、弟が二人いて。末弟のお嫁さんが日本の方なんですよ。多分、お父さんとお母さんが学校の先生とか公務員とか、なんかそっち系で。多分あの感じは、典型的なサラリーマンの日本人の家庭みたいな。このニュアンス、多分伝わらないと思うんですけど。別にディスってるとかじゃないんですよ。
Yuuki:ああ!わかります!
そんり:Yuukiさんのご実家は自営業だったんですか?
Yuuki:はい、自営業でした。
そんり:自営業の在日とサラリーマンの日本人って、完全に違う人種だって感じるんですよ。
Yuuki:わかる!
そんり:弟のお嫁さんが嫌いとかではないんですよ。ただ、すごい遠い所にいる、だから彼女もすごく、疎外感はあると思うんです。
Yuuki:そうですね、本当そうだと思います。仲間が欲しいっていうか、そんな気分だと思います、やっぱりちょっと。でも、旦那さんのご両親もすごく優しいんですよ。国籍を変えてくれってい言われた意外は。別に意地悪でもないし、すごく良い人達だと思うんですけども。だから、なんか余計に感じちゃうっていうか。溶け込みたいって気持ちはあるけど、心情的に分からない事が多すぎて、なんか難しいな…みたいなのを感じますね。
そんり:で、どうですか、その青年会の方の新しいプロジェクトの名前は決まってるんですか?
Yuuki:決まってないんですよ、全然。
そんり:それは在日のみにフォーカスしていく感じですか?
Yuuki:はい、今のところは思っています。前はいろんな国の方でやったので。そん時は、あんまり在日にフォーカスしたくなかったんですよね。ザ・在日みたいな感じの方は一人だけで。その時はあえて、在日に偏らないようにしたんですけど、今度は在日の方にどっぷり行くのも良いかなって、思っています。
そんり:そのプロジェクトを進めることで、掴みたい何かってあるんですか?
Yuuki:うーん。掴みたいっていうより、どっちかっていうと、自分より若い世代の子達は、どんなこと考えて生活してんのかなと思ったんですよ。
そんり:若い世代っていうのは、いくつぐらいの世代ですか。
Yuuki:20~30代前半、私より年齢が下の世代。そうすると一世と触れてない世代はどんな感じなのかなって思ってて。そもそも20代とかって結構、他にも楽しいことあるじゃないですか、いっぱい。なのにわざわざボランティアで青年会の活動するみたいな、興味とかエネルギーがないとできないと思うんですよね。何を思って、それをやってるのかなっていうのに、興味があって。
そんり:うんうん。
Yuuki:そもそも、そういう活動に参加したことがなかったから、何やってんのか知りたいぐらいの動機でしたね。長期で話とか聞いたりできそうな人と仲良くなって、密着できるといいなっていうイメージでした。
そんり:どんな感じですか?今のところは。
Yuuki:ええっと、難しいですね、なんか。
そんり:私も民団(在日本大韓民国民団)の方は全然わかんないんですよね。限りなく日本人なんだろうなって、勝手に思ってるんですけど。
Yuuki:ああ、そうですね。だからこそ葛藤してる。人によるんですけど、そういうこと考えながらやってる人もいれば、ただ単純に気が合う仲間と楽しく集まりたいみたいな人もいて。でも、共通してるのは、日本の友達よりも素が出せるって言ってたんですよね。あんまり気を遣わないっていうか。だから結構参加してるみたいな。
そんり:その違いって何だと思います?
Yuuki:うーん、なんていうんですかね…取り繕って接しなくても、多分この人達は自分を嫌わないだろうなみたいなものかなって思いました。
そんり:結構在日の人って、キツかったり、ハッキリと言う人多いし、感情表現も豊かというか。
Yuuki:うんうん。ケンカしても仲直りできるんですよね。日本人同士だと、ぶつからない、あんまり。
そんり:でも、確かに日本の人の強い言葉って、嫌味っぽいなって感じちゃう。バイアスかかってるのかな…?
Yuuki:ストレートじゃないからじゃないですかね。
そんり:なんか私もわからなくなってきたわ。
Yuuki:そうなんですよ。やればやるほど複雑になってきちゃって。今、ちょっと迷走してるんです、私自身。それを、どうしたらいいんだろうと思って、「ナショナルジオグラフィック」の写真を撮ってる、アメリカ人の女性フォトグラファーに相談したんですね。
そんり:うんうん。
Yuuki:そしたらね、それは誰もがぶち当たる問題で、解決できる一つの方法は時間だって言ってました。やり続けろみたいな。わかるまでやり続けろみたいな。
そんり:うん、一生もののプロジェクトだなって思います。もしかしたら、死ぬ時でもわかんないかもしんない。でも、やる価値はあると思います。私は「そもそも在日だし」って思ってたから、そんなに考えたことがなかったんですよね、逆に。
Yuuki:所属意識だと思うんですよね、やっぱ。国、家族、コミュニティで肯定されてるから、アイデンティティが確立されてるんだと思うんですよね。所属意識があると安心するんだと思います。
そんり:うんうん。Yuukiさんみたいに、自分が在日であることを否定して生きてきて。ずーっとそれを隠してたわけじゃないけどって言いながら、やっぱりどっかで隠して生きてきて…あ、「おい、キムチ!」思い出しちゃった(笑)
Yuuki:未だに覚えてるの、「おい、キムチ!」って(笑)
そんり:忘れないぐらいのインパクトだったんですね。
Yuuki:そうですね。
そんり:自分のことが好きとか嫌いとか、そんなレベルの話じゃなくてね。開き直れてもないし、でも嫌えないし。
Yuuki:本当にそう。韓国人としても日本人としても、どっちに付いてもそういう気持ちなんですよ、なんか。在日としての…そうですね、肯定感。別で一つカテゴリがありますもんね。韓国人・日本人・在日みたいな。
そんり:あるある。
Yuuki:うんうんうん。そうですね。そのカテゴリの肯定まで。まだ接してないから、そのコミュニティに接したかったのかもしれない。なんかちょっと寂しかったっていうか、仲間がいないみたいな。結婚して余計に。
そんり:冷蔵庫にキムチが常備されてない、みたいな。多分そういうことなんだと思います。
Yuuki:そう!親戚で集まっても、誰も騒いでないみたいな(笑)
そんり:みんな、ワーワー言ってますもんね。
Yuuki:にいさん!ねえさん!って(笑)
▼アウトロ
そんり:あと残り5分ほどです。
Yuuki:ああ、あっという間ですね。
そんり:もしYuukiさんが在日じゃなかったら、自分のアイデンティティって考えてなかったと思います?
Yuuki:考えてなかったと思いますね。
そんり:どうせ日本に生まれたなら、日本人が良かったなって思います?
Yuuki:ああ、以前は思ってましたけど、今はコレで良かったなって。まあこういう運命なんだ、みたいな。なんか受け入れる感じがありますね。それがなかったら、今の活動もしてないし。もしかしたら、写真家にさえ、なってなかったかもしれないと思うと。それはそれで良かったなと思います。
そんり:もし“生粋の日本人”だったら、どう生きてたと思います?
Yuuki:日本人だったら…OLとかやって、サラリーマンの家庭の人と結婚して。なんか、こころ平和に暮らしたいですね。気持ちの問題ですけど。なんていうの?そういうこと考えずに、私、テレビとか全然見ないんですけど。テレビのバラエティとか毎日見て楽しんだり、ママ友とかとお茶とかランチとか習い事とかして…心の葛藤がなかったら、そういうことも純粋に楽しめるのかな?
そんり:ああ、日常の何気ないことを。
Yuuki:そうです。余計なこと考えて、本読んだり映画見たりとかやっちゃうじゃないですか、ついつい。それをする必要がないんだったら、本当にそういう、何気ない日常を楽しんでたと思います。でも、今は在日が何かっていうものも、だんだん理解してきたっていうのもあって、今の自分も肯定出来る気持ちになりました。
そんり:ありがとうございました。、今日は本当に。
Yuuki:いえいえ、取り留めのない話で。
そんり:何かお手伝いできることがあれば、いつでもお声がけください。
Yuuki:ぜひ、お願いします。すごく喋りやすかったです。
そんり:良かった!改めてありがとうございました。
Yuuki:はい、ありがとうございました。
〜終〜
編集協力:有島緋ナ
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