【お盆の時期に、絵本で「死」を考える】
『このあとどうしちゃおう』ヨシタケシンスケ
2016年4月25日初版 ブロンズ新社
『かないくん』谷川俊太郎作・松本大洋絵
2014年1月24日初版 東京糸井重里事務所
祖父の死を題材にした絵本2冊。絵柄も雰囲気もまるで異なっていますが、どちらも読後に考えさせられる魅力を持っています。
『このあとどうしちゃおう』はおじいちゃんが残した「じぶんが しょうらい しんだら どうなりたいか どうしてほしいか」を記したノートを紐解いていく内容ですが、ヨシタケシンスケらしい小ネタが満載の神様やお墓の想像、天国や地獄の様子がユーモラス。例えば、天国には「けしきのいいトイレ」があるのに対し、地獄には「トイレがいっこしかない」(しかも仮設っぽい)のです。うーん、これはキツイぞ。
こんな具合でクスクス笑いながら読んでいくと、後半でふっとシリアスになるのですが、この転調がうまい。そして最後には再びヨシタケさんらしい、とぼけたオチをもってくる、緩急のつけ方がさすがでした。
一方『かないくん』は、絵本作家のおじいちゃんが書きかけている、子どもの頃、級友の「かないくん」が亡くなった話を孫娘に話すところから始まります。亡くなった直後は悲しんでいた皆んなも、しばらく経つと「みんないつもとかわら」なくなる。「いきていれば みんなともだちだけど しぬとひとりぼっち」。
おじいちゃんの筆はここで止まっています。自分の余命が長くないことを悟っているおじいちゃんは「死を重々しく考えたくない、かと言って軽々しく考えたくもないので、どう終わらせればいいのかが分からないのです。
しばらくして、孫娘はおじいちゃんの訃報に接するのですが、ここから終わりの場面まで、言葉を最小限に切り詰めて、絵の力で孫娘の思いを読者に伝えていっているのが素晴らしい。絵本にしかできない表現となっていると思います。
それぞれ1冊だけ読んでも、もちろん面白いのですが、2冊併せて読むことで、より読み応えが増しているので、機会があればぜひ。