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ゆこたか雑記帖
2022年3月10日 18:18
『安土往還記』や『背教者ユリアヌス』、『春の戴冠』など歴史小説の力作を数多く著してきた辻邦生の、後期を代表する大作です。本作は序を含めると23からなる「帖」で構成されています。西行に師事した(おそらく架空の人物である)藤原秋実が、彼にゆかりのある人物を尋ね歩いて聞き出した逸話や、生前の西行が折に触れ秋実に語った言葉から成り立っており、さまざまな語り手の声が西行の生涯を立体的に浮かび上がらせる構