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小説あれこれ

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2020年12月の記事一覧

筒井康隆『驚愕の曠野』

この長いながいお話、とうとうこんなに読んできてしまいました。・・・どうやら「おねえさん」が子供たちに読み聞かせをしているようです。ふむふむと肯いてページを繰ると、いきなり「第332巻」とあるのに驚かされます。どれだけ長いお話―それもようやく半分近くまでいったという長さ―を読んできたのでしょうか。しかも物語の舞台は荒涼とした世界で、登場人物は絶えず裏切りや暴力におびえ、巨大な蚊になやまされながら生き

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ウイルキー・コリンズ『月長石』



この小説についてよく引き合いに出されるのは、20世紀を代表する詩人(代表作は『荒地』ですが、現在ではミュージカル『キャッツ』の原作となった『ポッサムおじさんの猫とつき合う法』の作者と紹介する方が分かりやすいでしょうか)であるT.S.エリオットによる「最大にして最上のミステリ」という言葉です。とはいえ、今となっては本作より長いミステリは多数あります。それに最上かどうかは人ぞれぞれとしかいいようが

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