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きみの鳥はうたえる
夏に見たくなる映画のひとつ、三宅唱監督『きみの鳥はうたえる』
佐藤泰志の映画化作品、函館三部作の後に作られた4つ目の函館舞台の青春映画。3人の男女のひと夏の物語、というとそれだけなんだけれど繰り返しみたくなるシーンがたくさん。
僕(柄本佑)と暮らす、穏やかな青年静雄(染谷将太)は、歩くだけで絵になる。柔らかな光の中、歩道橋を歩く静雄と佐知子(石橋静河)のシーンが大好き。静かにお互いひかれあっているのをなんでもないシーンでわざわざ見せるのがよい。
余談ですが、染谷くんは『ぶどうのなみだ』の木琴を叩く弟役が最高なのでみんなに見ていただきたい。あとは『ドライブイン蒲生』の役もすき。
この映画の一番の肝はなんといってもクラブのシーンだと思う。音楽はHi'spec、OMSB(出演もしてるよ)結構な尺をとっていて、ふらふらと音楽を楽しむ3人の姿がなんとも眩しいし儚い。ずっとこんな時間が続けばいいのに、って見ているこっちが思ってしまうくらい。
ふわっと雰囲気楽しむ映画なのかと思えば、ラストシーンで、はっとさせられるのもすき。彼らはこのあと、どうなっただろうか。3人であんな風に遊ぶことはなくなったんだろうな、と青春のおわりみたいなものを感じさせられてしまう。
そこのみ同様、見ていると夏の函館が恋しくなる。きみ鳥が公開してから、函館には行けていないので、来年あたりに行けたらなあ。