運命の誰か
ある日Mステをつけながら携帯をいじっていたら、バンドの紹介VTRで『運命の誰か、私を掬って食べて』ってフレーズが聞こえて、びっくりして振り返ってしまった。
調べたらマカロニえんぴつのブルーベリー・ナイツという曲だった。
その日、マカロニえんぴつは違う曲を歌っていたのだが、そっちのけでYouTubeでブルーベリー・ナイツを聞いていた。
『運命の誰か、私を掬って食べて
誰でもいいよ、あたしを潰して舐めて』
このフレーズが一番のお気に入り。
運命の誰かがいいけど、そうじゃないのなら誰でもいいのだ。もしかしたらその人が運命の人かもしれないし。
彼氏と別れてから、マッチングアプリを始めた。
理由は3つ。
1、単純に興味があった。
2、まだ正式には言われていないうちから、あと3ヶ月で職場が移動になって引っ越しをする予感がしていたので、たとえやっかいな事になっても、どうせ引っ越すからいいかでどうにかなると思ったから。
3、セックスの練習しようと思ったから。
結局、二人にあった。
定期的に夜その人の家に行って、アイスコーヒーを出してもらって、ドラマを一本見て、部屋の電気を消されたら私もテレビの電源を切って服を脱ぎ始める。行為が終わったら布団の中で少しだけ二人で寝っ転がりながら話をして、深夜1時ぐらいに家に帰る。
お姫様抱っこをしてもらったり、ラーメンを一緒に食べに行ったり、自転車に空気を入れてもらったり、した。
夏だったから、深夜自分の家に帰るときの空気が割と好きだった。
そんな人ができた。
早番の仕事終わり、公園のベンチでお話して、あじさいの裏で通行人に怯えながらキスをして、そのまま咥えて舐めて向こうが果てたらまたベンチでお話して帰る。
笑った顔と話し方が好きなアイドルに似てた。
そんな人ができた。
元カレと別れて落ち込んでいた気持ちは慰めてもらって元気になった。
引っ越してばいばいした。マッチングアプリも消した。
けれど、その二人と会うことに慣れてしまっていたから、引っ越ししてから、一ヶ月経った頃マッチングアプリをまたはじめてしまった。
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2021年に書いていた下書きを見つけた。
引っ越してからのほうがひどかった。
貞操観念を引っ越しの時に忘れてきたのかも