隙あらば自分語り | 高校時代のバイト編
私は高校1年生の時に居酒屋でバイトしていた。
特にお金に困っていたわけでもないのに、兄が載っていたマグナ50という原付のくせにやたらかっこいいバイクが欲しかったのと、
なんとなく高校生でバイトをやっているのがカッコいいという謎の理由でバイトを始めた。
そのバイトがとんでもないブラックで、初めて始めたバイトの初任給で月給9万円を叩き出した。その時母親がパート的な感じで働いていたがその母親の月給を抜いていた。
バイトの内容は主に皿洗いで、シンクにお湯を張って洗剤をぶち込み、そのお湯の中でただひたすら皿を洗って乾燥機にかけるという作業を6時間ぐらいトイレも行く暇もなくぶっ続けでやる仕事だった。
この仕事のせいか、元々アトピー体質だった手が荒れまくって、その病院費用でバイトの稼ぎを超えたんじゃないかと思うぐらいだった。
仕事中は本当にトイレに行く暇もなかったので、あまりのキツさに隙を見て居酒屋にあるデカい保冷室みたいなところで30秒ぐらいほぼ泣きながら仮眠を取ったりしていた。
バイト先はチャリで45分かかるところにあった。今考えると何でそんな遠いところで働こうと思ったのか、我ながら理解に苦しむバイト先のチョイスだった。というかその前に受けたマクドナルドのバイトに落ちたのもあり、自分はバイトを選ぶ余地がないと思っていたのもある。
(友人に「マクドナルドのバイトって落ちるんだ」と言われた)
元々マグナ50を買うために始めたバイトだったが、バイト先が遠すぎてバイクを買うために始めたバイトに行くためのバイクを買うことにした。
そのバイクは初任給9万円で買った、その名も「レッツ2」というスクーターだ。
ツが2回続く謎の語呂の悪さと裏腹に、とんでもない加速をするバイクだった。普通高校生ぐらいが乗るスクーターだと最高速を伸ばすためのギア比に変えることが多かったが、このレッツ2はなぜか真逆のセッティングがされており、自分のバイクに初めて載ったやつはあまりの加速に100パーセントウイリーしていた(内二人が負傷していた)。
そのバイトにレッツ2で通い出したある日、新しいバイトが入ってきて、自分より後輩ができたと喜んでいた。
私は先に入った身分で偉そうに先輩ぶっていたが、バイトが終わりにその新しいバイトもバイクに乗っているという話になり、帰りに見てみると、なんとそのバイクはドラッグスターというヤンキー界の憧れのバイク(偏見)に載っていた(しかも話を聞いていると年上だということに後で気づいた)。
ドラッグスターとレッツ2と一緒に帰るのが恥ずかしかったので、先に颯爽とレッツ2を駆って猛スピードで帰宅していたところカーブで大ゴケして、お気に入りのジーンズをボロボロにしてしまった。
ちなみにそのドラッグスターのバイトはそれっきりバイトにはこなかった。
高校生なのでバイトには主に土日に行っていたが、月のほぼ全ての土日をバイトに充てていたので、数少ないバイトの休みの日に友人とするスマブラだけがもはや生きがいだった。
バイトが終わって家に着くのが23-24時ぐらいで、その時やっと食べれるお家のご飯でいつも泣きそうになっていた。
という辛すぎるバイトだったので、2、3ヶ月ぐらいして手に入れたレッツ2と20万ぐらいを手に早々とバイトをやめた。元々そんなにお金を使う方ではなかったので、高校生生活はそのバイト代をちょいちょい使うぐらいで十分だった(普通に親に小遣いももらっていたので)
そんなブラックだった居酒屋には、実は未だに客として行ったことがないのだが、20年近く経った今、妻と子供二人を連れていつかその居酒屋で、裏で泣きながら皿を洗っているバイトを横目に行ってみたいなぁと思う。