パブリックドメイン


どうやら僕は、複数居たみたいだ。

今居るところから、絶対にあり得ない場所での目撃情報が相次いでいた時期があった。


出身地であるA県の専門学校に通っていたころ、隣のB県から一時間半かけて通っていた友達が、先に教室に居た僕を見て

「B駅の向かいのホームに居たのに…」

と割と本気(マジ)な感じで言われた。僕が住んでいるのはA県なので通学に絶対そんな場所に行かないし、なぜ僕がB駅に居ることを疑問に思わなかったのか。


また別の友達は、長期休暇中に訪れた遠方の旅行先でたまたま僕を見かけたらしい。人混みの5人くらい前を歩いていたようだ。その日のX(当時はTwitter)に、僕が地元で遊んでいることを写真付きでツイートしたらすぐその友達から

「なんで!!!!???」

と個別でLINEが送られてきた。いや、こっちが聞きたい。


病院に就職した高校時代の友人からは

「入院してる?大丈夫?」

と連絡が来たが、その時僕はすこぶる健康だ。
その友達が担当している病棟とは違うところにヘルプで行った際、病室に入っていくのが見えたらしい。立て込んでいて病室を確認する暇はなかったので、心配して連絡をくれたみたいだ。


今から10年くらい前のことなので内容は正直思い出せないが、めちゃくちゃ同じようなことを立て続けに言われていた。先に挙げた三件は、なぜかずっと記憶に残っている。

しばらくすると、今までの目撃情報が嘘だったかのようにパッタリ途絶えた。


おそらく、普通の眼鏡から薄い紫のカラーレンズに変えたり髪を金髪とか青とか派手にしはじめたので、見分けがつくようになったのだろう。

もしくは一十一(ニノマエ)に、僕以外全員消されてしまったのかも知れない。




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