僕らの舞台の作り方 Lead wiz-art
舞台創作活動を始めて10年が経った。
10年前、知識・経験ゼロから手探りで初めて10余りの作品を発表してきた。
現在、次の作品の脚本を書いている最中だが、ここで自分達がどのように舞台を創ってきたのかまとめておこうと思う。
我々Lead wiz-artは私(中村聡介)と真喜屋宏音(まきやひろ)さんの2名が軸となる。
最初はいつも2人の何気ない会話から始まる。
生き方、価値観、美意識、アート、社会、人間観、世界観、哲学、宗教、愛、喜びなどどんなことでもよく話す。
お酒を飲みながら、お茶を飲みながら、時に自宅で、時にお店で、時に車中でとにかくよく話す。
その中から
「これを舞台にしたいね」
となってテーマが生まれることがある。
一方、一つのきっかけが大きな舞台になるパターンもある。
例えば、処女作の「ベルとサン」は一つの詩があった。
「鳥たちのカルナバル」という詩である。
「この詩を読んでいる人はどんな背景だろう?」
と思いを馳せるところからストーリーが出来上がった。
他には「シャラクにしよう」と宏音さんが提案し、題名が先に決まることもある。
「鬼才。パガニーニ」の時も同様であった。
時には、曲が先に決まることもある。
我々の舞台は全て真喜屋宏音さんが作曲しているが、宏音さんの曲を聞いて、そこから世界が広がり舞台になることもある。
「Eight(エイト)∞」はこのパターンだった。
テーマ、題名、曲・・・
何か一つ雫が落とされ、その波紋が大きく広がっていく。
これがLead wiz-artの舞台作りが始まる瞬間である。
ここから私が脚本を書き始める。
一通り脚本を書いた後、宏音さんと世界観を擦り合わせる。
それを反映して脚本を練り直す。
脚本はいつも10回ほど書き直す。
脚本ができたら各技術の方々、スタッフと都内で打ち合わせを行う。
照明、音響、美術、監督の方々はみなさん都内の第一線で活躍されている方々である。
15名程度の方々に協力をしていただく。
脚本の世界観、演出について説明しヒントももらう。
それぞれがアーティストであり、各担当でイメージを拡げていく。
宏音さんは、約2時間の舞台の中で音楽での演出はもちろんのこと、音響効果も創っていき、脚本に命を吹き込んでいく。
本番前日に新たな曲が加わることも珍しくない。
並行して出演者の稽古を行う。
ダンスがあるときは振付けも考え、ダンサーに振り付けていく。
出演者、スタッフ全員で初めて合わせるのは本番前日。
それぞれが最高のものを持ち寄り、舞台上で完成させていく。
全員がイメージしてきたことが、舞台上に表現され、全員が初めてその舞台の全容を見て、聴いて、感じることになる。
ここまで来てようやく最初に宏音さんと想像した世界観に近づき
「今回もイメージした以上になったね」
となる。
どの行程でも常に大切にしているのは
「喜び」「想像すること」「感動」である。
我々Lead wiz-artは、芸術の可能性に期待をし、これからも作品を生み出していく。
さあ、脚本の続きを描くとするか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?