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2000年代のポップパンクが再評価! 今の世代に響くその特徴とは…

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

1月17日(月)のオンエアでは、「Y2Kムーブメント! Z世代が注目するポップパンクの美学! 」をテーマにお届け。ゲストに、ライターの辰巳JUNKと昨年解散したFAITHのアカリ・ドリチュラーが登場。

■2000年代前後のカルチャーが再評価

Y2Kというのは、「YEAR 2000」の略だが、今、アメリカのティーンの間で2000年代前後のファッション、アート、音楽などのカルチャーが大注目されているという。そんな2000年代前後のカルチャーの中でも、人気の「ポップパンク」の魅力を掘り下げた。

あっこゴリラ:辰巳さん、このムーブメントはどんなことがきっかけで始まったんですか?
辰巳:コロナ禍でこのムーブメント自体、TikTokでリバイバルヒットしてたんですけど、決定的になったのが2020年の秋、マシン・ガン・ケリーってラッパーがポップパンクに転身したことです。もともとエミネムとのビーフで注目を集めていたラッパーだったんですけど、青春時代に好きだったポップパンクをやったらすごくヒットしちゃったみたいな(笑)。
あっこゴリラ:このマシン・ガン・ケリーの楽曲は、2000年前後にポップパンクを席巻したブリンク182のトラヴィス・バーカーとの共演なんですね。
辰巳:はい。マシン・ガン・ケリーの師匠がトラヴィスで、ここ数年、トラヴィスはポップパンクの普及のためにコラボしまくっているので、それもあってすごいインフルエンサーになっているみたいですね。
あっこゴリラ:おもしろい! これをきっかけに、ポップパンクはどのように広がっていったんですか?
辰巳:トラヴィスが言うには、マシン・ガン・ケリーが商業的にヒットしたから、チャートヒット系のアーティストがどんどんポップパンクをやるようになったと言っています。
あっこゴリラ:みんな、早い! でも、最新を追ってると、“絶対、次来るでしょ”みたいな感じがしていて、ついに来たなって感じします。TikTokの影響も大きいですかね?
辰巳:そうですね。そこでもともと流行っていて、チャートヒット系で増えたポップパンクの決定版みたいなものが、オリヴィア・ロドリゴのメガヒット曲『good 4 u』です。
あっこゴリラ:確かに、オリヴィア・ロドリゴはデカかったよな~。
辰巳:このミュージックビデオも、2000年代のティーン映画を引用しています。あと、当時のポップパンクは白人が目立っていたけど、今だとオリヴィアみたいなガーリー文化系のイメージが強くなっていて、その面でもオリヴィアは時代を象徴していると思います。
あっこゴリラ:なるほど~。オリヴィアのファッション性も2000年代っぽいですもんね。
辰巳:オリヴィアは、ホワイトハウスに呼ばれてワクチン啓蒙スピーチをしたんですが、その時の服装がピンクのミニスカスーツに厚底というまさにY2Kスタイルで話題になりました。

そんなポップパンクが、今の世代に響く特徴などはあるのだろうか。

辰巳:言われてることですが、オリヴィアとかも含め、思春期に失恋したような曲が多いんですよね。“思春期の失恋って世界の終わり”みたいな、すごく大げさでダイナミックな感情表現がウケているみたいです。
あっこゴリラ:アカリちゃん、どうですか? 
アカリ:私、普段めちゃくちゃTikTokを見るんですけど、最近ポップパンクを感じることがすごく増えて。それこそオリヴィアの『good 4 u』は、アンサーソングでゴリゴリなポップパンクの男の人が動画を作って上げていたり、いろんな今の曲をポップパンクにアレンジしている人が多いです。
あっこゴリラ:へえ~!
アカリ:オリヴィアがホワイトハウスで着た服もすごくかわいくて、今の時代に沿った形のファッションのまま大統領に会いに行っちゃうところも、「これがティーンの代表なんだな」ってすごく感じられて、逆に違和感がなく素敵だなと思いました。
あっこゴリラ:Y2Kムーブメントは、ティーン世代の新鮮に経験している人にとってはリバイバル的な印象なんでしょうか?
辰巳:トラヴィス・バーカーは、「マシン・ガン・ケリーの曲が出て、アメリカのキッズたちに新しい音楽が創造された」と言ってましたね。
アカリ:確かに、そういうイメージはあります。ポップパンクがリバイバルと言っても、今の新しい音楽と融合されているので、どうしても新しいものにはなってるなって感じます。でも、高校生のときにハマってポップパンクをリアルタイムではないけどめちゃめちゃ聴いてたから、私は少なからずリバイバル感も感じてます。


ここで、2000年代のポップパンクを象徴する曲としてパラモアの『Misery Business』をオンエアした。

辰巳:この曲はオリヴィアの『good4u』の元ネタと言われた曲で、のちにパラモアのメンバーが作曲者としてクレジットされています。それもあって似てはいるんですけど、パラモアの方は「好きな男の子に近づいた女にブチ切れる」みたいな感じだけど、これと比べてオリヴィアの方は「別れた彼氏がすぐ他の女と付き合った」という男のほうにブチ切れる感じで、逆に男の子に矛先を向けるのが2000年代よりジェンダー感とか世相の変化が現れていると思います。

■ポップパンクは、聴いているだけで気分が上がる

ここからは、2000年代のポップパンクのカルチャー、ファッションなどのムーブメントについて紹介した。

アカリ・ドリチュラーが在籍したFAITHは、ポップパンクの影響を大きく受けているという。アカリはバンドメンバーの影響で、2000年代のポップパンクを聴き始めたそうで、高校時代にはパラモアのコピーバンドをしていたこともあるという。

あっこゴリラ:世代違うけど、みんな通る道なのかなって思っちゃうね(笑)。特に好きなアーティストやバンドはいますか?
アカリ:アヴリルもめちゃくちゃ聴いたんですけど、すごく好きな曲はオール・タイム・ロウの『Lost In Stereo』ですね。


あっこゴリラ:このコード進行とか思春期にハマり過ぎなんだよね。
アカリ:ぴったりですよね。
あっこゴリラ:アカリちゃんが、2000年代の音楽から影響を受けているのはどんな部分?
アカリ:私、けっこうカラオケが好きで、ひとりで行くのも好きなんですけど、ポップパンクの曲って大人数向けだなってすごい思っていて。同世代のポップパンクが好きな子たちとみんなで盛り上がれるし、上手に歌わなくてもいいんですよ。
あっこゴリラ:わかる!
アカリ:聴いているだけで気分も上がるし、そういうところが大好きなので、気分を上げたいときに聴いています。あと、ファッションもすごくかわいいなと思います。今はファッションも時代が回ってきていて、ダメージスキニーとか真っ黒のスタイルにバンドTシャツを着て、目も濃いメイクをしてみたいな感じとか流行ってるなって思うんですけど、基本誰がやってもかわいいなって印象があるんですよね。
あっこゴリラ:かわいいんだよね。
アカリ:みんな似合っちゃうんですよね。あと、今、ロングブーツが流行っていて、短パンとかミニスカートで合わせるスタイルもまた回ってきていて、それもスタイルがよく見えるし、本当にかわいいなって思いますね。
あっこゴリラ:もう私からしたら、また回ってきたのが嬉しいもん!
アカリ:あははは! それが今風にアレンジされているっていうのも、時代が回ってる感もちゃんとあって、今の世代がこういう風に着るっていうのが時代にも合っていていいなって思います。


■リバイバルしたポップパンクの特徴は、多様性

ここからは、現代のポップパンクと今後について伺った。

あっこゴリラ:そもそも今、ポップパンクと言われている音楽に定義はあったりするんですか?
辰巳:基本は2000年代と同じようなサウンドなんですけど、今、ポップパンクと呼ばれているものには「インディーロックじゃない? 」というものだったり、けっこう定義はゆるゆるなんです(笑)。
あっこゴリラ:でも、逆にそれが今っぽいって感じしますよね。では、そんな今を象徴するような曲を一曲教えてください。
辰巳:Meet Me @ The Altarの『Feel A Thing』です。Meet Me @ The Altarは、フロリダを拠点とする3人組で、もともとのポップパンクシーンで育った有色人種の女の子たちのバンドです。先ほど紹介した、All Time Lowがプッシュしているようです。
あっこゴリラ:有色人種の子たちがポップパンクをやってるってところも、リバイバルを感じるというか。当時は、どうしても白人が多い印象がありましたよね。


あっこゴリラ:辰巳さん、他にも今注目のポップパンク曲ありますか?
辰巳:GAYLEの『abcdef』です。この曲は、さっきの定義で言うと、ゆるゆるの方で(笑)。ポップパンクとも呼ばれていますが、TikTokの人です。
アカリ:これ、めちゃくちゃ好きなんですよ。それこそTikTokで3つに1つくらい、この音源を使ってるのが流れてくるんです。本当にキャッチーで、共感と言うよりは曲で聴いてるって感じですね。
あっこゴリラ:どんな曲なんですか? 
辰巳:10代のシンガーソングライターのゲイルという女の子のデビュー曲で、元カレの家にみんなで侵入してめちゃくちゃにするみたいな歌です(笑)。
あっこゴリラ:最高じゃん(笑)。マジ切れしてるけど、ユーモアもあるみたいな感じ大好き!
辰巳:アメリカの若い世代にとっては、極端な感情表現とユーモアが同居してるので、TikTokの動画を作るときに合うみたいです。


辰巳:最後に紹介する曲は、先ほどから何度も名前が出ているトラヴィス・バーカーがコラボした、WILLOW & Avril Lavigneの『G R O W ft. Travis Barker』です。まさにY2Kと今のコラボ曲だと思います。
あっこゴリラ:WILLOWは、ウィル・スミスの子どもなんですね。
辰巳:はい。しかも、もともとはR&Bをやってたんです。ポップロックとかポップパンクも好きだったみたいなんですけど、「黒人の女の子でポップパンク好きなの? 」みたいな偏見があったために、それを隠してたそうです。
あっこゴリラ:なるほど~。ブラックミュージックを白人がやるっていうときの偏見のように、黒人がポップパンクをやるときにもそういう差別があるんですね。
辰巳:かなり激しいみたいで。今のリバイバルの特徴は、WILLOWとかオリヴィアとか、もともとポップパンクの主役だった白人男子以外のいろんなジェンダーとか人種の多様性があるところかなと思いますね。


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【番組情報】
J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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