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「ニューアルバムリリース!Coldplayの現在地」彼らはなぜここまで求められるのか……改めてその魅力に迫る

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

10月12日(火)のオンエアでは、「ニューアルバムリリース! Coldplayの現在地」をテーマにお届け。ゲストは、ライターの粉川しのさんが登場。

■Coldplay入門! 前半編
BTSとのコラボ曲『My Universe』がただいま全世界席巻中、1997年の結成から未だトップを走るモンスターバンド「Coldplay」。7度のグラミー賞、総セールス1億枚以上、総ストリーミング再生回数300億回以上。彼らはなぜここまで求められるのか。ニューアルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』のリリースを前に、改めてその魅力に迫った。

まずは、どのようにしてColdplayは世界的人気バンドになったのか、ボーカルのクリス自身が三部作と位置付ける、初期のアルバムを振り返っていきたい。

・Coldplay入門①「2000年デビュー、初期三部作で大ブレイク! 」
1997年、ロンドン大学で結成された4人組バンド「Coldplay」。なんと現在までにメンバーチェンジなし。そんな彼らがデビューしたのは、2000年。デビューアルバム『パラシューツ』は、いきなりの全英1位。ロックシーンに大きな話題をもたらした新人バンドだった。ちなみに、この年のサマーソニックで初来日を果たしている。

このデビューアルバムはじわじわとアメリカでも売れ、2002年にはグラミーで「最優秀オルタティブ・ミュージック・アルバム」を受賞するまでになる。その2002年に2ndアルバム『静寂の世界』をリリースし、これが全英1位を獲得。その後、現在まで出すアルバム全て初登場1位記録を更新し続けている。この頃には、世界の大型ロックフェスに次々参戦。世界的スターへとなっていく。

2005年に3rdアルバム『X&Y』を発表。デビュー時はレディオヘッドやトラヴィスを感じさせるUKロックの継承者と評価された彼らだったが、さらに壮大なサウンドを確立。結果、このアルバムは2005年、世界で最も売れたアルバムとなった。

あっこゴリラ:彼らがデビューからリスナーを魅了したのは、どんな部分だったのでしょうか?
粉川:彼らがアルバムデビューした『パラシューツ』を出した2000年は、ちょうどオルタナティブ・ロックの空白期というか、いわゆるヘヴィロック的なものは下火になりつつあって。でもストロークス的なものは、まだ出てないみたいな、ぽっかり穴が開いた時期だったんですよね。
あっこゴリラ:なるほど~。
粉川:そこで、ひたすら美しい美メロとエレガントな旋律とちょっと哀愁を感じるメランコリックなものを持っていて、他にその市場がなかったんです。それでネオアコースティックって言われるようなムーブメントが起きて、トラヴィスやダブズと一緒にColdplayが一時期を占拠したいみたいな感じがあったってことですね。
あっこゴリラ:レディオヘッドの影響は大きいんじゃないかなって思うんですけど、どうですか?
粉川:やっぱりクリスは、繰り返しレディオヘッドから影響を受けたと言っていますし、彼らが影響受けたのは、アルバム『OK コンピューター』以前の初期のレディオヘッドかなと思います。一方で、U2も大好きなんですよね。
あっこゴリラ:ああ~! なるほど~!
粉川:もちろんスタジオバンドになっていくダイナミズムみたいなものも、U2っぽいDNAを持っていたのかなって。
あっこゴリラ:この社会的な発信だったり、環境問題に対する姿勢だったりもU2の影響感じますもんね。
Coldplay『Yellow』をradikoで聴く

・Coldplay入門②「名曲『Viva La Vida』誕生! ポップシーンの頂点へ! 」
Coldplayを知らない人でも、これは知っているのではないだろうか。2008年の4thアルバム『美しき生命』に収録された楽曲『Viva La Vida』。エレクトロサウンドを取り込んだ、新たな方向性を示す作品。プロデューサーは、アンビエント・ミュージックの巨匠にしてU2のプロデュースでも知られる、ブライアン・イーノ。

あっこゴリラ:この頃のColdplayは、どのような進化を遂げていったのでしょうか?
粉川:この頃、彼らが頑張っていたのは、以前から頑張っていたソングライティングに加えて、いわゆるサウンドメイキング。自分たちの素晴らしい曲や美しいメロディーを、より効果的に響かせることができるデザインを頑張ったんです。
あっこゴリラ:うんうん。
粉川:そこで連れてきたのがブライアン・イーノで、彼はまさにその名手ですよね。Coldplayから“教会で音楽が鳴っているようなサウンドがほしい”とイーノに言って作り上げたのが、この『美しき生命』というアルバムです。ここで、バンドとしても大きな変化があったといえます。

・Coldplay入門③「コラボレーションで更なる境地へ! 」
2011年リリースの5thアルバム『マイロ・ザイロト』は、ポップ・アルバムを突き詰めた作品として評価される。このアルバムで、世界的シンガー・リアーナとコラボ。ここからバンドは、様々なアーティストとコラボを重ねていく。2015年の7thアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』では、オアシスのノエル・ギャラガー、ビヨンセ、アヴィーチー、そしてオバマ元アメリカ大統領まで。

あっこゴリラ:この時期のColdplayは、どんな方向に向かっていたと思いますか? 
粉川:やっぱり『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』は、その前作の『ゴースト・ストーリーズ』が、すごく内省的でクリスの個人的な傷心、離婚もしちゃったし、そういう悲しみのリハビリ作だった反動で、思いっきりポジティブなアルバムになっています。いろんな人を巻き込んで、“世の中のためにいいことしようぜ”みたいなムードになっていたときですね。
Coldplay『Hymn for the Weekend』をradikoで聴く

■Coldplay入門! 後半編
ここからは、さらにSHE'Sの井上竜馬(Vo.)も登場。Coldplay入門の後半戦をお届けした。

・Coldplay入門④「圧巻のスタジアムロック! 最高峰のライブバンド」
2000年のデビューから数々のフェスでヘッドライナーを務め、2016年には、正真正銘のスターしか出られないスーパーボウルのハーフタイムショーに出演。日本へもサマソニ、フジロックをはじめ、デビュー当時から何度も来日してきた。

あっこゴリラ:Coldplayは音楽性もどんどん進化、変化していきましたけれども、ライブの規模や演出はどのように変化してゆきましたか?
粉川:3枚目の『X&Y』の頃までは、ごく普通のロックバンドのフォーマットでやってたんですけど、『美しき生命』くらいから軍服っぽいコスチュームを着だして、どんどんコンセプチュアルなちょっとショーっぽい演出が増えていきます。
あっこゴリラ:うんうん。
粉川:映像と光とレーザーと色とすべて過剰な、全編クライマックスのような感じでどんどん作られていって、前回の東京ドームもまさにハイライトみたいなライブでしたね。
あっこゴリラ:井上さんもご覧になったということですが、目の当たりにしてどうでしたか?
井上:音源だけしか見てきてなかったから、どんなライブなんだろ~ってすごく楽しみにしてたんですけど、よくライブを“聴きに行く”じゃなく、“観に行く”っていうじゃないですか。それを、“こういうことなんだな~”って思わされるくらい、視覚を使っていっぱい楽しませてくれたので、粉川さんが言うように本当にショーだなって思いました。
Coldplay『Paradise(LIVE)』をradikoで聴く

■9枚目となるニューアルバムのコンセプトは、「宇宙」
最後のブロックでは、Coldplayの現在について掘り下げた。

あっこゴリラ:今のところの最新作は2019年の『エヴリデイ・ライフ』ですが、この時点でのColdplayはどのようなモードだったと感じますか?
粉川:この『エヴリデイ・ライフ』は、すごくメッセージ性の高いアルバムで、一日24時間を表すコンセプトアルバムになっています。世界にはすごく平和な一日もあれば、紛争やテロに明け暮れてる一日もあるよね、みたいなことを描いています。かなり社会的なことを扱った作品で、ゴスペルだったり、アラビア的な音楽だったり、すごくワールドミュージックな要素がどんどん入ってくるおもしろいアルバムですね。
あっこゴリラ:そして、ニュースとなったのが、このアルバムのリリースツアーを中止したこと。その理由が、「環境問題への配慮」。ボーカルのクリス・マーティンは、BBCの取材で「向こう1、2年をかけて、どうすれば自分たちのコンサートツアーが持続可能なだけでなく、環境に利益をもたらすものになるかを模索する」と語っていますが、改めてこれはどういったことだったんでしょうか?
粉川:Coldplayは世界中を飛行機で飛び回るワールドツアーをしますが、その飛行機に乗り続けないとツアーができないっていう構造的な問題が、Coldplayのような世界的なバンドになればなるほど大きくなっていくわけですよね。それに、一度真正面から向き合わないといけないということだったんだと思います。世界的にも、そのへんがすごくシビアに見極める時期にもなっていましたね。それで一度立ち止まるしかないよねって話になったんです。

そんな中、10月15日(金)に、9枚目となるニューアルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』がリリースされる。先行シングルとなったBTSとのコラボ曲『My Universe』はすでにヒット中! アルバムからの第一弾シングル『Higher Power』も全世界累計1億6000万回以上の再生回数を突破している。

プロデューサーは、テイラー・スウィフト『We Are Never Ever Getting Back Together』やジャスティン・ティンバーレイク『CAN'T STOP THE FEELING!』など、ヒットで知られるマックス・マーティン。
Coldplay『Higher Power』をradikoで聴く

あっこゴリラ:そして、先月先行されたBTSとのコラボ『MY Universe』ですが、今、一番ホットなアーティストとのコラボですが、どのような曲でしょうか? 
粉川:この曲は、ただBTSに来てもらって歌ってもらっただけじゃなくて、がっつりコライト、一緒に曲を作っていて、完全に共作なんです。だから、BTSらしい、ちょっとエレクトロニックなR&Bの要素とColdplayらしい旋律とが有機的に混ざっていて、最初本当にびっくりしました。ネームバリューだけじゃなくて、ちゃんと作ったんだなって、ちょっと感動しました。
Coldplay『MY Universe』をradikoで聴く

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81.3FM J-WAVE『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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